【まだ見ぬ台湾に出合う旅】 「星のやグーグァン」からたどる 原住民の暮らしと日本の面影
CREA WEB / 2024年6月2日 17時0分
台湾・台中駅から東へ車で1時間半。3,000メートル級の山々に抱かれた温泉郷、谷關(グーグァン)の高台に「星のやグーグァン」はあります。日本統治時代に湯治場として発展した谷關は、台湾原住民・泰雅(タイヤル)族の集落としても有名。現在発売中の「CREA Due 愛しの台湾」でご紹介しきれなかったアクティビティに沿って、古の谷關を旅します。
![](https://crea.bunshun.jp/mwimgs/0/9/-/img_090e69199657a8b9bbd13f73112818be195662.jpg)
日本の面影が残るレトロ温泉街を歩く
「星のやグーグァン」では、谷關(グーグァン)温泉の歴史をたどるアクティビティ「グーグァン歴史散策」を開催。スタッフのガイドでレトロな温泉街を歩きながら、土地の歴史をさかのぼります。
日本統治時代の1907(明治39)年、台湾原住民の泰雅(タイヤル)族によって発見された谷關温泉。大甲渓の流れに削られた谷間に、いまもこんこんと湧き出ています。当時は「明治温泉」と呼ばれ、警察の招待所もつくられた台湾有数の保養地でした。
![](https://crea.bunshun.jp/mwimgs/5/d/-/img_5d83da71d56488157634d898b5db9f27219234.jpg)
![](https://crea.bunshun.jp/mwimgs/5/e/-/img_5efb06384cf90e277e1f5f53b9194d45206037.jpg)
![](https://crea.bunshun.jp/mwimgs/5/2/-/img_527f7d54428347ef534f1b8e1d7ec09e329781.jpg)
![](https://crea.bunshun.jp/mwimgs/e/1/-/img_e16b686a4d5badd256ffc6811705daf8217832.jpg)
泰雅族の意匠が施された温泉街のランドマーク「谷關吊橋」から下をのぞくと、水着姿で和気あいあいと温泉を楽しむ老若男女が。台湾の温泉はこのスタイル(水着&混浴)が多いのですが、日本の銭湯に似た親しみを感じます。界隈には、比較的大型のスパリゾートが立ち並び、いずれも趣向を凝らしたお風呂が楽しめる“温泉天国”となっています。
![](https://crea.bunshun.jp/mwimgs/9/e/-/img_9e9e7750b1a93c6edc6c0d31f8de3c9f168251.jpg)
![](https://crea.bunshun.jp/mwimgs/2/d/-/img_2d71312d907fab00758ceaf865170844236312.jpg)
![](https://crea.bunshun.jp/mwimgs/a/8/-/img_a86e7f827108d6eafc3c7146cf3b9f93267819.jpg)
![](https://crea.bunshun.jp/mwimgs/8/1/-/img_813b2d3cf100e5b6bb9daabdd2dc1b9e272502.jpg)
水力発電所が売るアイスキャンディの謎
谷關吊橋を渡って少し歩くと見えてくるのは、水力発電所の宿舎。中には入れませんが、こちらの購買部で販売されている名物のアイスキャンディは「星のやグーグァン」でもいただくことができます。
なぜ水力発電所でアイスキャンディなのか? それは、ダム建設の際、コンクリートの冷却のために導入された製氷機を利用して、従業員のサービスとしてつくられていたものが、後に一般販売されるようになったものだそう。
ミルク、梅子、フルーツなどさまざまなフレーバーがありますが、珍しいのが「五葉松」。いわば松の葉の青汁味なのですが、意外と爽やかでおいしいのです。騙されたと思って食べてみてください。
![](https://crea.bunshun.jp/mwimgs/c/8/-/img_c84095a8d990f8526125d5647b0e1942297931.jpg)
![](https://crea.bunshun.jp/mwimgs/a/4/-/img_a43ee9a61aac2570865b5853e71fe7bc121911.jpg)
温泉街の中心には、2021年にリニューアルした谷關のビジターセンター兼博物館があります。谷關の歴史や地理、変化に富む生態系などがわかりやすく紹介されており、谷關ツアーの拠点として、休憩スポットとしても覚えておきたいスポット。豊かな自然の中に生息する鳥の図解や蝶の標本展示は一見の価値ありです。
![](https://crea.bunshun.jp/mwimgs/0/1/-/img_0114b11a21e6573c8618742a0a77c432219560.jpg)
![](https://crea.bunshun.jp/mwimgs/5/3/-/img_53cec555091eb45d28ba7e5984183c17104587.jpg)
「星のやグーグァン」では、ほかにも地域の自然や文化に親しむさまざなアクティビティがあります。お次は、泰雅族の暮らしや文化に触れる館内でのアクティビティをご紹介します。
泰雅族の口琴が奏でる神秘の音色
![](https://crea.bunshun.jp/mwimgs/2/9/-/img_2918a39233d115354d7002cd8d48158a116965.jpg)
谷關は温泉地として開発される以前から、台湾原住民・泰雅(タイヤル)族の集落があった場所。その独自の文化、言葉、風俗習慣の一旦を知ることができるアクティビティが「タイヤル族の調べ」です。
泰雅族の起源にまつわる伝承や、ミステリアスな紋面(顔の入れ墨)、女性の必須技術であった織物、楽器でありコミュニケーションツールでもある口琴について紹介する座学は、興味深い話の連続。
紋面は、男性なら狩猟、女性なら織物の技術を習得して初めて入れることが叶う、一人前(成人)の証。また女性は、結婚できる年頃になると花嫁衣装のための機織りを始め、技術の優劣で女性的地位が決まっていたとか。
![](https://crea.bunshun.jp/mwimgs/0/5/-/img_05789f34b79f01090fcec6128a8dbc0b209858.jpg)
![](https://crea.bunshun.jp/mwimgs/9/4/-/img_948b30237acfd2acd9a56e847acffab1158064.jpg)
口琴は本来、男性がつくるもので、女性への求愛にも使われたそう。また情報伝達にも使うことができたため、日本統治時代に禁止され、その技術は徐々に失われてしまったという悲しい歴史があります。
座学の後は、本物の竹を彫刻刀で削って口琴をつくるワークショップ。つくるのはリードが1本のもっともシンプルなタイプですが、けっこう本格的です。
![](https://crea.bunshun.jp/mwimgs/1/f/-/img_1fc86a1307b030bb97d439c2203daaa5121988.jpg)
![](https://crea.bunshun.jp/mwimgs/3/8/-/img_38ff0dce75e683097b379d98fe7e6717104294.jpg)
出来上がった口琴は、もちろん使用可能。口元で固定し、紐を引っ張ると、リードが振動してビョーンという音が出ます。口の開き方によって音の高低や調子が変わり、言葉代わりになったというのも納得。
口琴は、東南アジアおよびユーラシア大陸にも広く分布している楽器で、日本ではアイヌの「ムックリ」が有名。泰雅族の口琴も、どこからどのようにして伝わってきたのか、興味はつきません。
![](https://crea.bunshun.jp/mwimgs/0/d/-/img_0d1362125299194decd6e719f2c8c61e293376.jpg)
ご当地フードを洗練されたスタイルで
![](https://crea.bunshun.jp/mwimgs/6/8/-/img_68a180019321606fa7a13a6061751c7790095.jpg)
「星のやグーグァン」は連泊するゲストが多いこともあり、食事のバリエーションが豊かです。夕食は台湾の食材を取り入れた日式の会席料理と、ルームダイニング用のアラカルト。朝食は、台湾式のお粥セットのほか、和食、洋食を用意。昼食は台湾ならではのコンローハン(豚角煮丼)や牛肉麺のほか、稲庭うどん、カレーなどの日本的なメニューが揃います。
![](https://crea.bunshun.jp/mwimgs/1/8/-/img_18f67fa8b4f941d774d29aaf90401a90136865.jpg)
木々の間に水路を巡らせたウォーターガーデンを望む湯上がり処では、10時半から11時半の時間帯に「谷茶のひととき」というサービスを実施。ドリンク&オリジナルスイーツが振る舞われます。時期によっては客家(ハッカ:中国大陸南部~台湾に住み独自の文化を持つ民族)の「擂茶(レイチャ)」が振る舞われることも。
14時半から16時半までは、オリジナルカクテル&モクテルのサービスを実施しています。木々や睡蓮、トンボや蝶を眺め、せせらぎに耳を傾けながら、心安まるひとときを過ごせます。※「谷茶のひととき」およびカクテル&モクテルのサービスは、季節により内容、時間、場所が変更されることがあります。
![](https://crea.bunshun.jp/mwimgs/c/8/-/img_c800798aca9fd84a597a01e3e450977a149481.jpg)
![](https://crea.bunshun.jp/mwimgs/e/a/-/img_ea91954f402fa58a4bc1f7d7b5de81b9174881.jpg)
![](https://crea.bunshun.jp/mwimgs/e/f/-/img_ef3e3928e725f0f125e9609e48c6eadb165887.jpg)
![](https://crea.bunshun.jp/mwimgs/4/c/-/img_4c7729c7dddb49b861bd1bc10c449a2952092.jpg)
![](https://crea.bunshun.jp/mwimgs/5/0/-/img_50c714be1fc86fc5d73a8f0b05bf9caf65218.jpg)
ソファを配したライブラリーラウンジでは、フリーのコーヒーやお茶を片手に、地域の文化や旅などに関する本を自由に読んだり、チェックアウト前のひとときをゆったりと過ごすことができます。同フロアのショップでは、お土産にぴったりなオリジナルパッケージのお茶、お菓子、泰雅族にゆかりのある竹細工の雑貨などが揃います。
![](https://crea.bunshun.jp/mwimgs/5/a/-/img_5a41cba30d2b23466bbc9148a191fc40171635.jpg)
![](https://crea.bunshun.jp/mwimgs/5/2/-/img_52e1c423eb184df8b919aafe66a56e3987862.jpg)
![](https://crea.bunshun.jp/mwimgs/0/0/-/img_003dbea41b1926ba770d9d70f4b48529130028.jpg)
清らかな水の気配に満ちたサンクチュアリ
![](https://crea.bunshun.jp/mwimgs/2/a/-/img_2af1a553fa1bddcbbe3ddee415519ea5199534.jpg)
「星のやグーグァン」のパブリックエリアは、豊かな温泉と台湾中央山系の湧き水、周囲の自然に溶け込む緑を軸にデザインされています。どこにいても水の気配に包まれ、ただそこにいるだけで心身が浄化されていく感覚。
泰雅(タイヤル)族とも縁の深い竹林のアプローチを抜けて館内に入ると、まず目に飛び込んでくるのが、レセプション正面に掛けられた、谷關の水と山をイメージした水彩画。ほかにも、水・光・生命をテーマに台湾人を含む28人のアーティストが制作した111作品を見ることができます。
![](https://crea.bunshun.jp/mwimgs/4/d/-/img_4dde2432c1d9470c67651c75ca59a30e154731.jpg)
![](https://crea.bunshun.jp/mwimgs/f/2/-/img_f2f5fbe0cdb7136737446f5a87d7d34890189.jpg)
![](https://crea.bunshun.jp/mwimgs/3/d/-/img_3d59c2eeb47c5142e06ad23c1984dafc44236.jpg)
![](https://crea.bunshun.jp/mwimgs/a/1/-/img_a1d44f58ab4e319734257e88f7e2b74378821.jpg)
湧き水の水路が張り巡らされたウォーターガーデンには、いつも心地よい水音が響き、木々の合間を爽やかな風が抜け、かぐわしい花の合間に蝶が舞う別天地。プールや温泉の露天風呂も水の流れに沿ってつくられているため、敷地全体がひとつの生命体のような美しさをたたえています。
森に湧く泉のようなプールに遊び、ウォーターガーデンに点在するガゼボでくつろぎ、肌当たりのやさしい温泉につかり、サウナで思い切り汗をかいて、露天風呂で自然に溶け込む。本物のラグジュアリーとは、こうした無為な時間をいうのかもしれません。
![](https://crea.bunshun.jp/mwimgs/0/8/-/img_0864a32348844f6af8b7cee42f6fa9dc348072.jpg)
![](https://crea.bunshun.jp/mwimgs/6/2/-/img_6287d7aa51de60da69e8c7405b9061d6510633.jpg)
![](https://crea.bunshun.jp/mwimgs/f/2/-/img_f27dc1ee730925ce9b83367880bec72f176259.jpg)
![](https://crea.bunshun.jp/mwimgs/1/b/-/img_1bd9074dbb93b7415ca23aad8f8e782b228427.jpg)
![](https://crea.bunshun.jp/mwimgs/2/5/-/img_25c840009b45dd45026f83b2b8af757a114020.jpg)
![](https://crea.bunshun.jp/mwimgs/4/2/-/img_42b8120a3dab5930832d8583c80e1d59180718.jpg)
![](https://crea.bunshun.jp/mwimgs/6/3/-/img_6333d23c414ead20a0e567fea1802ddc212066.jpg)
客室は、ほとんどがメゾネットタイプで、温泉の半露天風を完備。メゾネットの理由は、温泉専用のフロアをつくり、その両面に窓を配して、心地よい風を取り入れるためだそう。湯上がりにくつろぐためのスペースもあり、かけ流しの音をBGMに、プライベートな時間を満喫できます。
また、リビング&寝室フロアは天井の高さまで一面に張られたガラス窓が、屏風絵のような景色を描き出します。とりわけ、山に靄がかかった朝は幻想的な水墨画のよう。いつまでも心に残ります。
![](https://crea.bunshun.jp/mwimgs/0/2/-/img_02507e6f633b48957f5b857c42a8498d120502.jpg)
![](https://crea.bunshun.jp/mwimgs/c/2/-/img_c21643068f68d3c4576bd7b8f442d33e99249.jpg)
谷關の自然と共鳴するような建築、ランドスケープデザインで、台湾に数ある温泉リゾートのなかでも抜群の人気を誇る「星のやグーグァン」。賑やかな街なかとはひと味違う、“まだ見ぬ台湾”に出合えます。
![](https://crea.bunshun.jp/mwimgs/5/b/-/img_5ba518e18427b8eff1212ac4713fbfe7141565.jpg)
星のやグーグァン
所在地 台中市和平区博愛里東關路一段温泉巷16號
電話番号 050-3134-8091(星のや総合予約)
宿泊料金 1泊1室あたり18,000元~(税サ別・食事別)
客室数 49室
チェックイン15:00/チェックアウト12:00
アクセス 高鉄台中駅から車で1時間半
https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/hoshinoyaguguan/
●Wi-Fiあり
文=伊藤由起
写真=榎本麻美
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
厳かな雰囲気漂う、究極の“源泉かけ流し”…温泉大国〈新潟県〉が誇る、一度は足を運びたい「至極の秘湯」5選【温泉博士がおすすめ】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月19日 16時0分
-
未知なる食の新体験を! 洗練された台湾のモダンダイニング“ネオタイワニーズ”4軒
ananweb / 2024年6月16日 22時0分
-
「これぞ本物」…温泉博士も唸った、屈指の温泉大国〈栃木〉〈群馬〉で出会える「感動の秘湯」7選
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月8日 16時0分
-
【検索数ランキング】人気No.1温泉地「草津」…2024年4月に最も注目された「温泉旅館」は?【第1位~第10位】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月5日 11時30分
-
【夏の手土産】Minimalより、夏季限定のパッションフルーツを使った冷やして楽しむ南国気分なガトーショコラが6月8日より発売。
PR TIMES / 2024年5月29日 11時45分
ランキング
-
1チョコやサプリで話題の「GABA」。ストレス軽減効果は本当にあるのか
オールアバウト / 2024年6月25日 20時45分
-
2安易な投稿を後悔しています… SNSで交際発表したカップルの「悲惨な末路」4つ
ananweb / 2024年6月25日 20時45分
-
3【お風呂掃除】カビが生えにくくなる入浴後の習慣とは? - リンナイが解説
マイナビニュース / 2024年6月24日 12時27分
-
4ドトールコーヒーに注がれる「石丸効果」都知事選でヒモ付き隠さず3番手から猛追、株価も爆上がり
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年6月26日 11時22分
-
5「3大疾病」と「7大疾病」の対象になるのはどんな病気?50代が検討するときのポイント
オールアバウト / 2024年6月25日 19時30分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)