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公式YouTubeの再生回数は2億超え 韓国ではパンダの親子が大ブーム 0歳の双子パンダはすくすく成長中

CREA WEB / 2024年6月5日 7時0分


韓国・エバーランドの木の上でうとうとするフーバオ。2024年3月1日(金)(筆者撮影、以下同)。

 韓国でのフーバオ(福宝)の人気ぶりを示すエピソードは、まだまだあります。3月1日(金)は、パンダの観覧を終えて外に出たら、待機列の待ち時間の掲示は「360分」になっていました。6時間です。パンダ館のパンダグッズ売り場も大混雑で、入場を制限していました。


360分待ちの表示。2024年3月1日(金)撮影。

エバーランドのロープウェーから撮影したパンダ観覧の待機列。2024年3月1日(金)撮影。

 ちょっとしたハプニングもありました。昨年7月7日に生まれた双子(フーバオの妹)の公開が1月から始まったので、パンダ館では基本的に午前は双子と母親、午後はフーバオを公開し、3月1日(金)~3月3日(日)のみフーバオを終日公開する予定でした。

 ところが、あまりにも多くの人がフーバオに会いに来たので、急きょ1日前倒しして、2月29日(木)~3月3日(日)にフーバオを終日公開としました。その間、双子と母親は公開されないので、2月28日(水)午後~3月1日(金)に訪問した筆者は、この3頭を観覧せずに帰国しました。

 園内で1月20日(土)にオープンした、パンダ一家をテーマにした「バオハウス」の入場予約も争奪戦。予約は、来館当日に園内から公式アプリで行う必要があり、筆者が2月29日(木)に予約した時は、5分ほどで全ての予約枠が埋まりました。館内ではフーバオの動画も上映されていて、飼育員のカン・チョルウォンさんがフーバオへの手紙を読む声が流れると、観客の1人の女性が泣き崩れました。

 パンダ館の近くの飲食店は軒並み満席。園内のスターバックスコーヒーでパンダのチョコレートドリンク(6,500ウォン)を買ったら、注文まで15分、受け取りまで30分待ちました。

 園内はテーマパークらしく、テイクアウト用のチーズドッグやアイスなども、あちこちで販売しています。パンダの観覧待機列をいったん離れて、これらを買いに行き、食べながら並ぶ人も少なくありません。また、多くの人が折り畳み式の椅子を持参していて、座りながらパンダの待機列に並んでいました。



エバーランドに入場するとすぐ目に入る「ジャイアントバオ」(写真左)、ロープウェー乗り場と「バオハウス」(写真右)。この辺りは日中、大勢の人で賑わっていた。2024年2月28日(水)撮影。

室内で眠るフーバオ。滑り台もある。2024年2月29日(木)撮影。

室内も屋外もガラス越しでなく観覧できる2024年3月1日(金)撮影。

帰りのバスの時間に注意

 筆者が世界各国のパンダを見てきたなかで、最も長く並んだ時間は4時間。上野動物園でのシャンシャンの観覧で経験しました。フーバオはそれに匹敵します。フーバオの公開終了直前という特殊事情もあるかもしれませんが(シャンシャンの公開終了直前は抽選で人数を絞った)、エバーランドは交通の便が良くないことや入場料が高いことなどを踏まえると、大変な人気だと言えます。

 エバーランドは、ソウル近郊の龍仁市に位置します。ソウルの人気エリアの江南からバスで約40分、運賃は片道300円ほどです。バスは高速道路を走るので、渋滞にほとんど巻き込まれません。ただし帰路は遅い時刻になると、なかなか乗車できない恐れがあります。筆者は2月28日(水)午後7時過ぎにエバーランドを出たら、江南行きのバス乗り場が大混雑で、1時間以上並ぶ羽目になりました。

 日本人観光客の多い明洞や東大門とエバーランドを結ぶバスも運行しています。こちらは予約が必要で、複数の日本語サイトからも予約可能。運賃は往復で1,500円ほどです。

 エバーランドはアトラクションもあるテーマパークなので、入場料は高め。1日の入場券の場合、公式サイトでは時期によって4種類の料金があり、大人一般が46,000~68,000ウォン(約5,000~約7,500円)。旅行予約サイトなどでは、もっと安く買えることが多いです。このほか半年や1年などの期間に何度でも入れるパスポートもあります。3日間通った筆者の場合3カ月間のパスポートが1番お得だったのでそれを買いました。



エバーランドと駐車場の間を運行するバス(写真左)。江南のバス乗り場(写真右)。5002のバスがエバーランドを通る。2024年2月29日(木)撮影。

コロナ禍に動画で全国的な人気に

 韓国は1994年9月に中国から2頭のパンダ、ミンミン(明明)とリリ(莉莉)を受け入れました。しかし1997年に発生したアジア通貨危機でパンダにかかる費用が重荷になったため、後に中国へ2頭を戻しました。再び韓国にパンダが来たのは2016年3月。このパンダがフーバオの両親のアイバオ(愛宝)とロバオ(楽宝)です。

 筆者が2016年12月27日にエバーランドへ行くと、アイバオとロバオを観覧できたものの、パンダ館は閑散としていました。それがフーバオの誕生を機に様変わりしました。

 エバーランドによると、フーバオが2021年1月4日に一般公開されてから、今年3月3日の最終公開までの1155日間にパンダ館を訪れた人は約550万人。昨年1年間のパンダ館の訪問者は215万人で、フーバオ公開前だった2020年の107万人の倍です。

 人気の背景には、フーバオの愛らしさに加え、エバーランドの巧みなプロモーションもあると考えられます。

 エバーランドが運営するYouTubeチャンネルにアップされたフーバオの動画の総再生数は5億回に上ります。特に、フーバオが飼育員のカンさんの足にしがみついて、遊んでほしいとせがむような素振りを見せる動画は1600万回の再生を記録。コロナ禍で外出がままならないなか、韓国全土でのフーバオの人気につながりました。公式のパンダグッズも2016年当時と一変し、魅力的なものを次々と投入。フーバオのグッズは330万個ほど売れたとのことです。

 エバーランドはマクドナルドともコラボしていて、同園のパンダのイラストの焼き印が入ったハンバーガーが5月に韓国で発売。韓国の化粧品会社アモーレパシフィックのブランド「ラネージュ」ともコラボし、聖水洞(ソンスドン)に期間限定のポップアップストアがオープン。ケースにパンダをあしらったクッションファンデーションやパフが発売されました。

 現在、エバーランドではアイバオとロバオ、双子のルイバオ(叡宝)・フイバオ(輝宝)の4頭のパンダを観覧できます。双子も大人気。エバーランドによると、同園が運営するチャンネルで初めて映像をアップした昨年7月から今年5月までの10カ月間の総再生数は2億回を超えたそうです。

 入場方法など戸惑うこともありますが、日本から比較的行きやすい韓国で、異国のパンダ観覧を体験してみるのもいいかもしれません。


エバーランドに掲示されているパンダ一家の図。2024年3月1日(金)撮影。


中川 美帆 (なかがわ みほ)

パンダジャーナリスト。早稲田大学教育学部卒。毎日新聞出版「週刊エコノミスト」などの記者を経て、ジャイアントパンダに関わる各分野の専門家に取材している。訪れたパンダの飼育地は、日本(4カ所)、中国本土(11カ所)、香港、マカオ、台湾、韓国、インドネシア、シンガポール、マレーシア、タイ、カナダ(2カ所)、アメリカ(4カ所)、メキシコ、ベルギー、スペイン、オーストリア、ドイツ、フランス、オランダ、イギリス、フィンランド、デンマーク、ロシア。近著に『パンダワールド We love PANDA』(大和書房)がある。
@nakagawamihoo


パンダワールド We love PANDA

定価 1,650円(税込)
大和書房

文・撮影=中川美帆

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