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“猫とおじさん”は、何故バズる? 「中年の内なる弱さを猫が引き出す」SNSを席巻する大人気マンガの発明

CREA WEB / 2024年6月8日 11時0分

 1998年に日本の女性誌ではじめて「猫」を特集し、パイオニアだったCREAが、終わらない猫ブームが続くいま、12年ぶりに、猫と人との幸せな関係を紐解きます。

「CREA」2024年夏号の「猫のいる毎日は。」特集。その一部を抜粋し、掲載します。


 数ある猫マンガのなかで、最近気になるのが「猫」と「おじさん」の組み合わせだ。一般的に愛されやすい猫と、愛されにくいおじさん。その相反する存在のケミストリーが、世知辛い現実を生きる私たちの心を癒してくれる。


猫の愛らしさにおじさんの顔芸を重ねるという発明


初めての投稿は「トラックにはねられて、気がついたらねこに転生していた」という一文が添えられたイラスト。結果的に、後の『ねこおじ』誕生の1コマとなった。©やじま/KADOKAWA

 なかでも人気を博しているのが、毎晩0時前後にSNSに投稿される『ねこに転生したおじさん』。はやりの“転生もの”だが、他と違うのは、猫の背後に、やや薄い色調で転生した魂=リアルめなおじさんが常に描かれる点だ。丸いフォルムと動きがかわいい猫に、酸いも甘いも噛み分けたおじさんの顔芸を重ねて表現するスタイルは唯一無二。読者にとっては1粒で2度おいしい。フォロワーはXだけで57万人(2024年5月現在)で、23年2月のスタートから1年足らずで書籍化され、グッズ展開やアパレルとのコラボ、秋にはアニメ放映も控えている。

「猫」と「おじさん」という組み合わせの何が、多くの人を惹きつけるのか。その魅力を探るべく、作者のやじまさんに話を伺った。

おじさんの深い味わいは珍味。食わず嫌いは損をする?


交通事故からの転生にショックを受けたのも一瞬で、体の軽さを喜ぶ、ねこおじ。猫はもちろん、おじも妙にかわいい……! ©やじま/KADOKAWA

 きっかけは、やじまさんがツイッター(当時)に投稿した1枚のイラストだったという。

「落書きした猫の後ろに、同じ表情のおじさんを描いてみたんです。それが猫の中の人というか、魂っぽく見えたので、軽いネタツイートのつもりで投稿しました」

 この投稿が思いのほかバズり、続きを望む声に応える形で描き始めたのが、『ねこに転生したおじさん』。通称『ねこおじ』だ。

おじさんが内に秘めた弱さ、かわいらしさを引き出す猫


職場のコワモテ社長に道端でバッタリと出会い、イカ耳になっておびえる、ねこおじ。社長は実は大の猫好きであることが次のコマで明かされている。©やじま/KADOKAWA

「もともと、おじさんを描くのは好きなんです。おじさんのキャラクターって、頑固とか脂っぽいとか、ネガティブな属性が前に出がちですよね。それを、ギリギリ嫌悪感を抱かれない形に落とし込むのが楽しい。ねこおじも本質的にはおじさんなので、若い女性に抱っこされるとか、絵面として忌避感のあるシーンは避けています」

 そんな“クセつよ”おじさんも、猫と組み合わせればグッと飲み込みやすい味わいになる。

 もうひとりのおじさん=勤め先のコワモテ社長に偶然拾われたねこおじは、「プンちゃん」と名付けられ、一緒に暮らすことに。社長が出勤すると、勝手にテレビを見たり、パソコンから服を注文したりと、やりたい放題。そんな猫らしからぬ行動を知っても「プンちゃん、天才!」のひと言でスルーし、溺愛する社長もどうかしている。

「おじさんって、社会的権威とまでいかなくとも、強い、偉そうなイメージがありますよね。それが猫というかわいいものに翻弄され、否応なく愛情を注いでしまう様子を見たら、親しみが増すんじゃないかと。おじさん自身も、普段は虚勢を張っているけれど、猫になら自分の弱さや、ちょっと幼稚な部分も見せやすいのだと思います」

おじさんだって愛情を注げばキュルンとかわいくなる


「うちの子になってくれ」と社長に拾われたねこおじは「プンちゃん」と名付けられ、生活をともにすることに。仕事ひと筋だった社長の人生も、彩り豊かに変化していく。©やじま/KADOKAWA

「話は少し飛びますが、動物の保護活動をされている方のSNSを見ていると、ノラだったり虐待を受けていた動物も、愛情たっぷりにお世話をされるうちに、表情が変わってきますよね。いきいきとして、目もキュルンとかわいくなって。ああいう現象って、おじさんにも起こり得ると思うんです。

 おじさんはいい大人ですから、基本的にはかわいがってもらう立場にありません。でも、社長がプンちゃんを溺愛するみたいに、惜しみなく愛情を注がれたら、かわいい部分が自然と出てくると思うんですよ。それがプンちゃんにも反映されているから、背後のおじさんもこう、キュルンとしてきているわけなんです」

 確かに、初期の絵と比べると、ねこおじはもちろん、社長もどんどん表情豊かになっている。そんなラブ&ピースな世界に、わたしたちの心も癒されるのだ。

「毎日描いているので、読者のコメントからネタのヒントをもらうことも(笑)。無邪気なおじさんの表情がどこまで受け入れられるのか、ギリギリのラインを狙って反応を見ることもあります。これからも極力くだらない、ねこおじの世界を描いていきたいですね」

特別描きおろし4コママンガ「もし社長がねこに転生したら…?」

誌面には、『ねこに転生したおじさん』の描きおろしマンガを掲載。プンちゃんだけでなく、まさかの社長も猫に転生……⁉ どんな猫に転生したのか、気になる方は誌面をチェック!


社長の「夢」、どんな内容だったんでしょうか……⁉ 『ねこおじ』ファンも知らない「ねこに転生した社長」の姿はCREA夏号に掲載! ©やじま

綴じ込み付録「『ねこに転生したおじさん』プンちゃん曼荼羅風シール」


綴じ込み付録「『ねこに転生したおじさん』プンちゃん曼荼羅風シール」より。©やじま

プンちゃんと『ねこおじ』の仲間たちが“転生”にちなんで曼荼羅風のイラストに!? 猫缶やカリカリ、イカなど、『ねこおじ』のかわいいモチーフが詰まった一枚。ノートやパソコンに貼れば、見るたびに癒されちゃうかも。


やじまさん
マンガ家

SNSを中心に活動するマンガ家。マンガの制作会社を経て、2017年からTwitter(現X)にマンガを投稿。23年2月からスタートした『ねこに転生したおじさん』(通称ねこおじ)でブレイク。
猫とは:一番身近で気になる変な生き物。

 K-POP界のレジェンド、ドンヘさん、ウニョクさんをお迎えしたスペシャルインタビュ―、JOさんと愛猫ミントの貴重な2ショット、SNSで話題沸騰中のマンガ『猫に転生したおじさん』作者・やじまさんによる特別描きおろしマンガ&シール付録など、「猫のいる毎日は。」特集は「CREA」2024年夏号でお読みいただけます。

文=伊藤由起

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