仮面ライダーアクセルから14年 三十代になった木ノ本嶺浩が語る 転機となった作品
CREA WEB / 2024年6月7日 11時0分
世界的な都市伝説に日本独自の解釈を加えたサスペンス・スリラー『THIS MAN』で、家族を守る父親役に挑戦した木ノ本嶺浩。
一躍注目を浴びた仮面ライダーアクセルから14年。三十代における転機となった作品について語ってもらいました。
●俳優を目指し、自らジュノンボーイに応募
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――幼い頃の夢は?
映画好きの親に連れられて、小学4年生のときに、『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』を観に行ったのですが、アナキン・スカイウォーカー役の子役が僕と同じ1989年生だったんです。それで、まずは「ジェダイになりたい」と思いました。それが「映画に出たい」に変わり、そして「俳優になりたい」に変わっていった感じです。
――特技の空手と陸上競技に関しては、どのタイミングで始められたのでしょうか?
空手は小学校2年生ぐらいに、地元地域のスポーツ少年団みたいなところに空手教室があったのを見つけて、「やってみたい」と始めたのがきっかけですね。そこから高校を卒業して、東京出てくるまでの10年間続けました。
球技が苦手だったこともあり、どんどんハマっていき、子どもたちに教えるのも楽しかったです。陸上競技は中学の部活きっかけで、こちらも高校卒業まで、空手と並行してやっていました。中学では走り高跳び、高校では110mハードルをやっていました。
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――06年に、「第19回ジュノンスーパーボーイコンテスト」にて、審査員特別賞を受賞されます。応募理由は、やはり「俳優になりたいから」だったのですか?
高校2年生のとき、今後の進路を考えたとき、「大学に行くか? それとも俳優になるか?」という選択があり、親に相談をしたんです。そしたら、「自分の好きなことをやりなさい」と言われ、自分から応募しました。ジュノンボーイから俳優として活躍される方が多かったからです。それでダメだったら進学しようと思っていたのですが、幸運にも審査員特別賞をいただき、事務所に入ることになりました。
●プチどっきりだった「ライダー」抜擢の瞬間
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――08年、小栗旬さん主演のドラマ「貧乏男子 ボンビーメン」で俳優デビューされます。
高校3年生のとき、週に1回、地元の滋賀から大阪にお芝居のレッスンに通っていたのですが、ドラマが決まり、卒業前の冬休みタイミングで、本格的に上京しました。
まったく標準語を喋ったことがなかったので、まずは言葉を直すところから始まりましたが、とにかく現場に行き、みなさんのお芝居を見て、いろいろ学ばせてもらいました。それで俳優としての基礎といいますか、撮影の仕組みみたいなことも勉強しました。
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――そして10年には照井竜 / 仮面ライダーアクセル役として、「仮面ライダーW」に出演。桐山漣さん演じる左翔太郎、菅田将暉さん演じるフィリップに続く、三番目のライダーとして、ドラマの途中から参加されます。
主演のオーディションに落選して2~3ヶ月後に、別のライダーとしての面接の話をいただき、東映の本社に行って、プロデューサーさんや監督さんとお話したら、実はすでに僕に決まっていたことが分かり……。まるでプチどっきりのようでした(笑)。
とても嬉しかったのですが、すでに空気が出来上がっている現場に途中から参加するのは、めちゃくちゃ緊張しました。でも、みんな優しいチームだったこともあり、自然と輪に入ることができました。年齢が近かったことも大きかったと思います。
――この「ライダー」の現場で、木ノ本さんが学ばれたことを教えてください。
「劇場版」(『仮面ライダーW FOREVER AtoZ/運命のガイアメモリ』)を撮ったときに、自分が初めて映画に出演していることを実感したんです。
物語の展開だったり、丁寧に描かれる人物描写だったり、「劇場版」ならではのスケールの大きさだったり、当時は言葉にできなかったものを体験させてもらいました。独特な映画の現場の魅力にハマっていくきっかけになったともいえます。
●トーク力やリアクションを学んだ津田寛治さんとの現場
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――その後、さまざまな作品に出演されるなか、ご自身にとって転機となった作品や思い出深い作品を教えてください。
「仮面ライダーW」に関しては、昨日まで得体の知れない木ノ本嶺浩だったのが、俳優・木ノ本嶺浩として認知された作品だったといえます。その後、映画でいうと、『RUN!-3films-』というオムニバス映画。その中の『追憶ダンス』という短編で篠田諒さんとW主演をしたときに、台本の読み合わせから、丁寧に作品作りができたんです。
ロケハンにも連れてってもらって、そこで芝居を想像しながら役作りもできましたし、それをきっかけにいろんな映画祭に出向き、いろんな縁ができました。
演劇でいうと25歳のときにやらせてもらった一人芝居「芥川龍之介の恋」。そこでライブ感に代表される演劇の面白さに気づかせてもらいました。この2作が、いろいろ悩みながらお芝居をやっていた二十代の僕の中で大きな転機となりました。
――現在34歳である木ノ本さんですが、三十代での転機となった作品は?
津田寛治さんとご一緒させていただいた、ドラマ仕立てのグルメ番組「京都・味の大捜査線リターンズ」です。目の前の料理について、自分の言葉でちゃんと紹介する・伝えるというトーク力やリアクションについて学ばせてもらった番組でした。
そして今回、『THIS MAN』に携わらせていただいたことも、大きな転機になったと思います。俳優さんがたくさんいらっしゃる中で、主役として作品に関われることって、なかなかないことだと思うんです。しかも、今回も津田さんとご一緒させていただきました。
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――最新主演作となるサスペンス・スリラー『THIS MAN』では、出口亜梨沙さんと愛娘を持つ夫婦役を演じられています。
そろそろ年齢的にも役柄的にも夫婦や子供がいる役をやりたいと思っていたんです。だから、撮影中は「自分にとって大事な人が突然、不幸に見舞われたらどうするんだろう?」「自分が不幸の渦中にいるとき、何ができるんだろう?」と、ずっと家族について考えていました。
八坂義男という登場人物を演じるうえで、常に緊張状態だったことは、自分にとって挑戦だったかもしれないです。
●初めて演じる家族を守ろうとする大人の男性役
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――本作ではどんな新しい木ノ本さんが見られると思いますか?
やはり、奥さんがいて、子供がいる家族を守ろうとする役どころもそうですし、社会的に責任を負う立場の役どころだというところ。つまり、大人の男性の役をやらせてもらえたので、そこは観てほしいです。
あと、これまでにもホラー映画に出演したことはあるのですが、そのときとは違う翻弄されていく様を楽しんでもらいたいと思います。
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――今後の希望や展望、憧れの先輩について教えてください。
自分の見た目の雰囲気や声色とかもあるとは思いますが、やっぱり悪い人間を演じたいですね。
また今回、渡辺哲さんや津田寛治さんとご一緒させていただいたことで分かりましたが、いかに作品に出続けることが大変なことだと。だから、この仕事をやり続ける、お芝居を探求し続ける、努力を怠らないということが目標です。
津田さんと渡辺さん、お二人ともカッコいいんですよ! ずっとニコニコしながら、アイディアを枯渇させないというか、常に新しいことを考えられているんです。そういうところも憧れる理由です。
木ノ本嶺浩(きのもと・みねひろ)
1989年11月22日生まれ。滋賀県出身。06年、「第19回ジュノンスーパーボーイコンテスト」にて、審査員特別賞を受賞。08年、ドラマ「貧乏男子 ボンビーメン」で俳優デビューし、10年放送の「仮面ライダーW」にて照井竜 / 仮面ライダーアクセル役を演じる。翌年には同作品のスピンオフ作品「仮面ライダーアクセル」でVシネマ初主演も果たした。
文=くれい響
撮影=細田忠
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