『ユミの細胞たち』『梨泰院クラス』世界で注目を集めるアン・ボヒョンが語る俳優としてのターニングポイント
CREA WEB / 2024年6月16日 11時0分
『梨泰院クラス』『ユミの細胞たち』など、次々と話題作に出演し、日本でも注目を集めているアン・ボヒョンさん。日本でファンミーティングを行うため来日したアン・ボヒョンさんに、演技のこと、プライベートのこと、そして「究極の選択」まで、たっぷりお聞きしました。
ドラマのOSTも担当する歌唱力を披露!
――日本ファンミーティングは、ミニライブ形式で行うそうですね。
1部と2部で違う構成でいきたいと思い、1部は歌にフォーカスしたコンサート形式で行うことにしました。
――主演を務めた『生まれ変わってもよろしく』ではOSTの「I’ll Embrace Your Past」を歌っていらっしゃいます。バラエティ番組『知ってるお兄さん』で披露した生歌も、とてもお上手で驚きました。
自分が歌が上手いと思ったことはないのですが(苦笑)、よくファンの方に、どんな曲を聴いているのか聞かれるので、僕の好きな曲を中心に練習して、披露することにしました。
――ちなみに、十八番は?
あはは。十八番ですか? 悲しい歌も歌いますし、希望に溢れた曲も好きだし……1曲を選ぶのは難しいですね。最近、一番歌っているのは、『梨泰院クラス』の「Start Over」です。ファンミーティングのオープニングで歌うために猛練習中です。
――『生まれ変わってもよろしく』は、アン・ボヒョンさんのソフトな魅力を感じられる作品でした。原作ファンの方々からも好評でしたね。
原作ファンの熱さに、初めは戸惑いました。この作品で演じたソハは、芯は強いけれど、感情を外に出さない役だったので、どう表現すればいいのか、悩む時間もありました。考え抜いて演じた結果、原作ファンの方にも納得していただける作品になって安心しました。
――ご自身とソハは似ていると思いますか?
心の内を人に見せないところは似ていますね。もちろん、仲のいい人には自分のことをオープンに話しますが、そこまで親しくない人といる時には、聞き役に回る方です。
――役作りで8キロ減量したそうですね。
ソハという役は、少し弱々しい面があるキャラクターなので、見た目にも変化を与えたいと思いました。僕にはどうやら「強い男」のイメージがあるようなので(笑)、演技だけでなく、外見的な努力もお見せしたいという気持ちが大きな原動力となりました。
――どうやって8キロ落としたのでしょうか?
撮影が始まる前の2カ月ほど、ほとんど食べませんでした。1日1食にして筋トレもして。
――俳優魂ですね。
動機があれば、誰でも頑張れると思いますよ(笑)。次はどんなキャラクターを演じるのかわからないので、今は、また自分のベスト体重に戻そうとしているところです。
ターニングポイントとなった作品とは
――アン・ボヒョンさんと言えば、日本では『ユミの細胞たち』と『梨泰院クラス』のイメージが強いように思います。ボヒョンさんが考えるターニングポイントとなった作品は何ですか?
俳優としてはやはり『梨泰院クラス』だと思います。海外でも多くの方が観てくださったおかげで、たくさんの方に名前を知っていただくことができました。
演技的な面で言えば、『財閥×刑事』でしょうか。イスというキャラクターは、とてもテンションの高い役で、アドリブもたくさん入れたんです。監督や脚本家さんが僕のことを信じてくださり、「ボヒョンがやりたいようにやっていい」と言ってくださったので、自分が正しいと思う解釈で演技ができましたし、それを評価していただけて、クランクアップした頃には、演技的な自信が生まれました。
――実際のボヒョンさんは、テンションの高いイスとは真逆の落ち着いた方ですよね。声を張るのは大変ではありませんでしたか?
初めのうちは、どこまでテンションを上げればいいのかわからず悩んだりもしました。監督や脚本家さんと相談したり、話をしたりしながら、撮影の中盤頃から、少しずつ掴めるようになっていきました。
――どのようにテンションを上げたのでしょうか?
現場で髪をアップにセットした瞬間、自然とテンションが上がった気がします。現場でもイスとして扱ってくださったので、ON・OFFが上手くいきました。
――様々なキャラクターを演じ分けるところから「カメレオン俳優」の異名をお持ちですが、作品選びの際、意識していることはありますか?
新しい挑戦ができる役、観る方に「新鮮さ」を感じてもらえる役を選ぶようにしています。性格のいい役の次は悪役をしたり、温厚な役をしたら、ワイルドな役をしたり。いろんな顔になれるのが、俳優の魅力ですから。
俳優としてのやりがいを感じるとき
――演技にやりがいを感じるのはどんな時ですか?
どんな役でも、自分の考えたことや、悩んだ部分がピタッとハマる感じがする瞬間があります。その時は、俳優としての喜びを感じますね。
また、監督や撮影スタッフ、共演者の方々が僕の演技や演じたキャラクターを評価してくださった時、「ああ、上手くやれているんだな。面白いんだな」と安心します。もちろん、視聴者の方の反応も気になりますが、世に出る前の最終試験を受けているような気持ちですね。
――なるほど。緊張する瞬間でもありますね。今も悩ましかったり、難しいと思ったりする演技はありますか?
僕は昔ボクシングをしていたので、誰かに殴られたり蹴られたりするのは平気なんです。でも「殴る」のは、演技でもいまだに躊躇してしまいます。相手が痛いと思うと心苦しいですし、少しでもずれると怪我をさせてしまったりもします。
通常、一つのシーンを撮るのに何テイクもするので、何度も殴られなければいけないんですよ。僕がNGなんて出した日には、もう……。謝っても謝っても、申し訳なさが抜けません。
『梨泰院クラス』で、僕がホジン(イ・ダウィ)の頭に牛乳をかけ、ほおをひっぱたくシーンがありました。仲のいい俳優だったので、特に心が痛かったです。
――1VS1のアクションと大勢を相手にするアクション、どちらが大変ですか?
大勢を相手にする方が気持ちはずいぶん楽です。もちろん危険ではありますが、負傷を避けるために、事前に入念にリハーサルをして型を合わせたりもしていますし、何日もかけて練習しているので、「演技」をすればいいんです。でも1VS1だとどうしても「加害」をしている気分になってしまうので、気が重くなります。
――大勢を相手にするアクションシーンは迫力があっていつもかっこいいですよね。
『軍検事ドーベルマン』や『財閥×刑事』、『マイネーム:偽りと復讐』には、特にたくさんのアクションシーンが出てきました。中でも『軍検事ドーベルマン』のアクションはよかったと思います。軍服が醸し出すかっこよさもありますし、ド・ベマンの怖いもの知らずな性格から繰り出されるアクションが熱くもあり、爽快さもありました。
『財閥×刑事』は、アクションシーンが多くて大変でした。でも、撮影がとても楽しかったので、辛いと思うことはありませんでしたね。現場に行くとスタッフの方が拍手して出迎えてくださるので、現場に行くのも楽しみでした。
――『財閥×刑事』は、シーズン2が制作されるそうですね。今から楽しみです。
まだ何も始まっていない段階なので、お話しできることはないのですが……。「シーズン2があるなら、絶対にこの方たちとやりたい」と思っていたので、それが叶いそうな感じがしてうれしいです。
アン・ボヒョン
1988年5月16日生まれ。2015年MBC 『最高の恋人』でドラマデビュー。2020年1月から放送されたJTBCドラマ 『梨泰院クラス』は日本でも話題に。同年に「百想芸術大賞」新人賞にノミネート。さらに「2020 MBC 演技大賞」では男性新人賞を受賞。最近の出演作は『生まれ変わってもよろしく』(2023年)、『財閥X刑事』(2024年)などがある。
アン・ボヒョン日本公式ファンクラブ「AHN BOHYUN JAPAN OFFICIAL FANCLUB」
https://ahnbohyun-fc.com/
文=酒井美絵子
撮影=平松市聖
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