1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. グルメ

【カフェ ヴィヴモン ディモンシュ】 “いつの間にか通りで2番目に古い店” 鎌倉で30年間愛され続ける理由

CREA WEB / 2024年6月25日 11時0分


30年のすべてが詰まってる!

 鎌倉・小町通りから1本入った路地に、「カフェ ヴィヴモン ディモンシュ」がオープンしたのは1994年のこと。おいしいコーヒーと素敵なインテリア、居心地のいいサービスや音楽は、当時はまだ当たり前ではありませんでした。

 鎌倉、いや日本のカフェカルチャーの礎となった「カフェ ヴィヴモン ディモンシュ」。その歴史のすべてが詰まった本『鎌倉のカフェ ヴィヴモン ディモンシュの30年』(KADOKAWA)が発売され、話題です。

 マスターの堀内隆志さんと奥様の堀内千佳さん、仲良しご夫婦にお話を聞きました。


鎌倉はますます自由で活気がある


今日もコーヒーを淹れるマスター、隆志さん。

 カフェとしても、コーヒーの味わいにおいても全国的にその名を轟かしている鎌倉の人気カフェ「カフェ ヴィヴモン ディモンシュ」が、今年30周年を迎えました。30年というと、当たり前ですが、生まれたばかりの子どもは30歳になり、若者だった方々は年を重ね50代、60代になっている、そんな長い年月。とはいえ、駆け抜けてきた30年は意外とあっという間で、楽しいこともあれば、もちろん、辛く苦しいこともあっただろうなと想像するわけです。マスターの堀内隆志さんと奥様の堀内千佳さんに30年を振り返ってもらいました。


30年記念のTシャツがお似合いの隆志さん、千佳さんご夫妻。

――マスターの堀内隆志さんがお店をオープンしたのは、1994年。はじめはお母様とふたりで切り盛りしていたそうですね。その当時から今も変わらず人気のオムライスは、実はお母様が考案されたもの。その後、マスターの堀内さんは結婚し、奥様の千佳さんがお店に入り、お母様は引退なさって今に至るわけですが、当初の鎌倉はどういう感じだったのでしょうか?

堀内隆志さん 僕がお店をオープンした当時、小町通りから1本入ったこの道には傘屋さんと焼肉屋さんがあって、お隣りは和食器屋さんと古い洋館で、その間にうちがありました。そして、斜め前には八百屋さんとパチンコ屋さん。なんだか、のどかでしたかねぇ(笑)。今はこんなにビルも建って、ちょっと様子は変わりましたかね。今も同じ店主で続いているのは傘屋さんとうちくらいかなぁ。

――半地下にあり、当時はカレー屋さんと間違えて入ってくる方もいて、「カレーはないの?」とよく聞かれていたとか。

隆志さん そうそう、壁が黄色かったもので(笑)。オープンしてしばらくすると、カフェブームというものがやってきて雑誌で取り上げられたりするようになり、少しずつお客さんも増えていきましたけれど、最初の頃は本当に暇でした(笑)。


お母様から受け継いだお店の看板メニューのひとつ、オムライス。950円。ハーフサイズもあり。

非常時でもおいしいコーヒーでほっとしてほしい

隆志さん しかも、当時は「カフェ」という言葉自体が今のように浸透していたわけではなく、喫茶店というほうが理解されていた時代でしたしね。鎌倉には、昔ながらのいい雰囲気の「門」や「イワタ」「扉」といった喫茶店があって、残念ながら「門」は北鎌倉店のみになってしまいましたが、他の2店は代替わりして今も人気です。


何事も、二人三脚。

――つまり、喫茶文化はあったわけですね。それから雰囲気は変わりましたか?

隆志さん 今の鎌倉は、30年前に比べると自由度が上がったかな。若い人たちも増えて活気があると思います。

 じわじわやってくる時代の移り変わりを目の当たりにしながら、常に自分たちの道を信じ、コーヒーともフードともひとつひとつていねいに向き合い、努力を惜しまず歩き続けてきた30年。その間には、記憶に新しいところでは世界中が沈黙の数年を送らざるを得なかったパンデミックがあり、その前には東日本大震災も。鎌倉は計画停電が実施され、仕入れたばかりのエスプレッソマシンを前に呆然とした、とおふたりは話してくれました。

――東日本大震災やパンデミックのような過酷な状況の中でも、お店を開けることで今までいらしてくださっていたお客さんたちが少しでもほっとしてくれたらとの思いで、スタッフを入れずにたったふたりでお店を開けていた時期もあったそうですね。

堀内千佳さん そう、やっぱりコーヒーを飲むとほっとしますからね。(本をめくりながら)30年、数えきれないほどさまざまな出来事がありました。うれしいこと、楽しい思い出もたくさんだし、人との出会いがあって、助けられながら今の自分たちがいるんですよね。

30年の思い出を詰め込んだ一冊


めくるたびに思い出が。

 6月4日に発売になった『鎌倉のカフェ ヴィヴモン ディモンシュの30年』は、そんなふうに築いてきたお店の歴史、コーヒーの焙煎やメニュー開発のこと、オリジナルグッズの歴史などとともに、ふたりを形成してきたことなどがまとめられた一冊です。

――今回発売された本には、お店の歴史はもちろん、メニューのこと、そして焙煎のことなども書かれていて内容が充実していますが、本ができて一番に何を思いましたか?

千佳さん 私は単純に「うれしい」という気持ちが一番にきました。あとはお客さんたちがそれぞれにお店の歴史とご自身の人生を重ねて喜んでくださって、メッセージをいただけたことが、幸せで。

 ここ数年、おかげさまで忙しく、今日その日を生きている感じで。なかなか振り返ることができなかったから、この本を制作することで今までのことを思い返せたのもよかったです。


現在、本に掲載された関めぐみさんの写真を展示中。

 今まで、マスターの隆志さんのコーヒーにまつわる著書はあったけれど、お店としての本は、実は今回が初めて。この本のメインともいえる、これまでのメニューについて書かれたページには、厨房のマスターである千佳さんなしでは語ることのできない秘話がたくさん。今の鎌倉のカルチャーの礎になったカフェの足跡を、たっぷりの写真やレシピで。ぜひ手に取ってみてくださいね。


鎌倉のカフェ ヴィヴモン ディモンシュの30年

定価 2,200円(税込)
KADOKAWA

カフェ ヴィヴモン ディモンシュ


小町通りから1本入った道にある。

所在地 神奈川県鎌倉市小町2-1-5 櫻井ビル1F
電話番号 0467-23-9952
営業時間 11:00~18:00
定休日 水・木曜日
https://dimanche.shop-pro.jp/

文=赤澤かおり
写真=榎本麻美

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください