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『ミッシング』で石原さとみの弟役を演じ注目! リリー・フランキーの付き人も務めた個性派俳優の森優作

CREA WEB / 2024年6月21日 11時0分


森優作さん。

『ミッシング』(現在公開中)で石原さとみ演じるヒロインの弟役で、一気に注目を浴びている森優作。

 普通さや素朴さが印象的な彼のキャリアについて振り返ると同時に、最新出演作『輝け星くず』についても語っていただきました。


●通訳に憧れ、イギリス留学


森優作さん。

――幼い頃の夢は?

 小学3年生のときから中学の途中までリトルリーグに入っていたこともあって、プロ野球選手になりたかったです。

 それで、新庄(剛志)選手がセンターだった頃の阪神タイガースがとても好きで、TV中継を見ながらリコーダーで応援したり、解説や実況もしていました。

――そこから、通訳を目指すことになった理由は?

 中学2年生のときに、日韓で開催されたFIFAワールドカップがあり、トルシエ監督の通訳を行っていたフローラン・ダバディさんに憧れました。

 自分自身が言葉で表現することが苦手だったこともあり、言葉とともに感情や体の動きで表現しているダバディさんに衝撃を受けたんだと思います。それで、17歳のときにイギリス留学することを決めました。

――そこから役者を目指すことになったきっかけは?

 イギリスの予備校から大学に進学して、言語心理学を学んでいました。でも、講義や提出するレポートについていくのが大変だったんです。

 そんなとき、アメリカの大学の日本校に編入することを勧められて、帰国しました。そこで知り合った友だちと一緒に、「演劇」の課目を取ることになったんです。

●俳優を目指し、リリー・フランキーの付き人も


森優作さん。

――もともと、俳優に興味はあったのですか?

 母親の影響で、子どもの頃から映画を観るのは好きでしたが、俳優になろうと思ったことはありませんでした。それで学期末の演劇の発表会で、全編英語の三人芝居をやることになったのですが、いざ舞台に立ったら恥ずかしくなってしまって、袖に逃げちゃったんです。

 それで後々、「なんで、あんなダサイことしちゃったんだろう?」といった思いになったのが、役者を目指すようになるきっかけです。

――13年、古厩智之監督のワークショップに参加し、古厩監督の『「また、必ず会おう」と誰もが言った。』に出演されます。

 大学にも行かず、バイトしつつ、映画を観まくっていたときに、ネットで古厩監督のワークショップがあることを知り、なんとなく「お芝居の講義を受けられたらいいな」程度の気持ちで応募しました。

 それで主演の佐野岳さんの同級生役で、映画にも出させてもらって、「お前、大丈夫かよ?」というセリフももらったんです。でも、本番では、その一言が上手く言えなくて、「なんで、こんなにできないんだろう?」という悔しさが募りました。

――その後、塚本晋也監督作『野火』のオーディションで、若い兵士・永松役に抜擢されます。

 友だちから、「こんなオーディションあるよ」って連絡をもらい応募しました。そこで、いろんな経験をさせていただき、特にアナログな映画の現場の面白さに気づかせてもらえるきっかけになりました。

『野火』は撮影から劇場公開されるまで2年ぐらいかかっているのですが、じつはそのあいだの半年ぐらい、共演させていただいたリリー・フランキーさんの付き人をやらせてもらったんです。リリーさんの現場に行ったときは、ずっとモニターを見つめて、演技を勉強していました。

●自身を大きく変えた演出家・赤堀雅秋の言葉


森優作さん。

――本作での演技は高く評価され、「高崎映画祭」では最優秀新人男優賞を受賞されます。

 高崎映画祭に関しては、塚本監督の強い作家性と、「野火」という作品の力のおかげだと思っていますし、今でも「何で、自分がもらえたんだろう?」といった気持ちでした。

 ただ、アフターパーティーでオダギリジョーさんにお会いできることになり、それがきっかけになって、オダギリさんと同じ事務所に所属することが決まったんです。

――そんな森さんにとって、転機となった作品・出来事は?

 29歳のときに出してもらった「美しく青く」という、向井理さん主演の舞台です。そのときは自分だけオーディションで選ばれたのですが、作・演出の赤堀雅秋さんに、もの凄くシゴかれたんです。

 お芝居云々ではなく、すごく人間的な部分をハッキリ言ってくださいました。また、「野球でいう犠牲バントを覚えろ」という赤堀さんの言葉も記憶に残っていて、自分の存在を消して相手を引き立たせる芝居を意識するようになりました。その結果、相手の芝居を受ける役など、仕事の幅が増えたと思います。


森優作さん。

――個人的には20年の『佐々木、イン、マイマイン』や21年の『ゾッキ』あたりから、日本映画における気になる俳優の一人になりました。

 赤堀さんからの言葉もあって、素人っぽさや華のなさみたいなところが求められていることに気付き始めたんです。それで『ゾッキ』では斎藤工監督にも呼ばれたりして、このような作品が続いたことは、とても幸運でした。

 自分の感覚では代表作のひとつだとも思っているんですが、コロナ禍真っ最中に公開されたこともあって、誰からも「良かったよ」って言われないんですよ(泣)。

●コロナ前後で撮影された新作『輝け星くず』


森優作さん。

――現在公開中の『ミッシング』では石原さとみさん演じる沙織里の弟・圭吾を演じられています。

 台本を読んだとき、「ちゃんと会ったことも話したことのない吉田恵輔監督が、なぜ自分の根っこの部分というか、本質的な部分をこんな分かっているんだろう?」と驚きましたし、この役をもらえて凄く嬉しかったです。

 石原さんを始め、ほかのキャストさんとの絡みに関してはどうなるか分かりませんでしたが、自分としては「圭吾という役を生きることができる」と、どんどん思い入れが強くなったことを覚えています。

 楽しい現場でしたし、思っていた以上に、いろんな友だちから連絡がきて、多くの方に観てもらっている実感があります。


(C)ノブ・ピクチャーズ

――そして、最新出演作『輝け星くず』では理由あって、恋人の父親と旅をすることになる、お人よしの青年・光太郎を演じられています。

 台本を読んだとき、いい意味で絵本みたいな作風で、甘酸っぱいセリフ回しもあったりして、「自分がやるより2枚目の方とかがやった方が良さそう……」と思ったんです。

 でも、恋人のお父さん役を尊敬する役者さん一人である岩谷健司さんだと聞いて、是非やりたいと即答しました。どうしても、岩谷さんと一緒にお芝居したかったんです。

 クランクインは(2023年3月撮影の)『ミッシング』の前だったのですが、コロナで中断してしまって、役作りで7キロ増量した『ミッシング』のクランクアップ翌日から続きを撮り始めました。だから、よく観ると顔が丸いんです。


(C)ノブ・ピクチャーズ

――ちなみに、どのようなことを学んだ現場でしたか?

 主演の恋人役の山﨑果倫さんは撮影当時、新人だったこともあり、彼女より経験がある自分が現場でちゃんと立ち振る舞うべきというか、とても責任感を強く感じていました。

 さらに、とても自主的な現場だったので、自分が役を演じること以上に、撮影スタッフの動きなど、いろんなところに視野を広げることを学びました。

●責任を持って、役を演じる役者になりたい


森優作さん。

――本作では、どんな新しい森さんが見られると思いますか?

 光太郎という役に関しては、これまで以上に、普通にそこにいそうな人間だと思うんです。だから、特に何かを持ち込んで演じたわけではないので、岩谷さんと楽しんでやっている掛け合いだったり、オフビートなコメディ要素をクスクス笑いながら観てほしいですね。

――今後の希望や展望、そして憧れている役者について教えてください。

 お客さんとのティーチイン(討論会)付き『ミッシング』上映会に参加したときに、自分が思っていた以上に、みなさん作品に対して熱い思いを持たれていたり、自身の日常や経験を重ねて観られていることに気付いたんです。自分はそこまで考えて、誠実にその役を演じているか? と言われると、そうでもないような気がして……。

 だから、今後はその部分を強く意識しつつ、責任を持って役を演じる役者になりたいです。そして、いろんな人のいろんな人生を演じることによって、人として大きくなっていきたいです。

 好きな役者さんは、佇まいを含めて、『ダンケルク』などに出演しているバリー・コーガン。日本だと、岸部一徳さんや荒川良々さんも好きです。


森優作さん。


森優作(もり・ゆうさく)

1989年12月4日生まれ。大阪府出身。13年、「『また、必ず会おう』と誰もが言った」で俳優デビュー。15年に公開された塚本晋也監督作『野火』では、第30回高崎映画祭の最優秀新人男優賞を受賞。主な出演作に、『佐々木、イン、マイマイン』(20年)、『花束みたいな恋をした』(21年)、『騙し絵の牙』(21年)、『ゾッキ』(21年)などがある。

文=くれい響
撮影=佐藤 亘

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