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「ホラーは演じる方が好き」『フンパヨン 呪物に隠れた闇』主演アップが語る“博士課程”での研究

CREA WEB / 2024年6月27日 11時0分

 タイの人気BLドラマ『Lovely Writer The Series』や『Step By Step』などに出演し、アップの愛称で親しまれるプーンパット・イアン=サマンが来日。初めてのホラー映画出演となる『フンパヨン 呪物に隠れた闇』では、身寄りのない自閉症の青年テを演じている。俳優業に加え、日本で言えば東大に当たる、タイの名門国立大学であるチュラロンコーン大学の博士課程で学ぶ学生でもあるというから驚き。その素顔に迫ってみた。(全2回の前編。)


フンパヨンは一部の地域に残る風習


アップさん。

――『フンパヨン 呪物に隠れた闇』はとても怖いホラーでした。まさかアップさんがこういった役をやると思ってなかったので、ちょっと驚きました。

 僕にとってもすごくチャレンジでした。新しい役に挑戦するのは毎回楽しいです。

――ホラー映画への出演は初めてですよね。元々お好きでしたか?

 初めてですね。でもホラーは、見るよりも演じる方が好きです。だって見るのは怖いですから(笑)。演技自体は楽しかったですし、この役を演じることができて幸せでした。自分にとってはすごくチャレンジだったと思ってます。ロケ地となったのは、映画に出てくるような儀式を実際に行っている場所で、バンコクからとても離れた山奥なんです。そこへスタッフが50人から60人ぐらい一緒に行って暮らしたので、それも楽しかったですね。


『フンパヨン 呪物に隠れた闇』より © Five Star Production Co., Ltd. 2023

――映画のタイトルであるフンパヨン(パヨン人形)は、土偶や人形を意味します。タイでは、フンパヨンを使った神聖な儀式が有名なのでしょうか?

 実は僕も今回、初めて知ったんです。出演するにあたってフンパヨンについて色々調べたんですが、大昔からタイにあって一時期すごく流行ったけれども、今はかなり廃れてきていることがわかりました。今でも実際にフンパヨンを作っている人はいますけれども、ごく一部の地域にだけ残る風習です。

――いわゆる地方ではまだ行われているということですか?

 そうですね。でも実際には、この映画に出てくるような大掛かりな儀式ではありません。あの儀式ができるのは呪術師だけなんです。

空白があったテの人物像

――アップさんが演じたテは身寄りがなく、自閉症の影響でコミュニケーションが他者と上手に取れない、子供のようなところのある青年です。演じるにあたってどのような準備をされましたか?

 まず最初に自閉症の子供達の財団に行き、子供たちと様々な話をしました。そして気づいたのは、子供たちはそれぞれに違う才能を持っているということでした。その財団の理事長からも詳しいことをお聞きして、いろいろなことがわかりました。僕は演じるために情報を集めるんですが、今回は特に学びがありました。

 演技に役立ったのはもちろんですが、『フンパヨン 呪物に隠れた闇』に出演することで得た一番のことは、自閉症の子供たちについて理解を深められたことでした。それが自分としてはとても嬉しかったですね。またリサーチした結果を持ち帰って、監督と演技コーチとも相談をして、テのキャラクターを一緒に作りました。


アップさん。

――ではテの人物像については、最初の脚本から変わった部分もあるんですか?

 はい。彼のキャラクターについては、監督が書いた脚本の段階で空白の部分が結構あったんです。ですから、僕は最初からテと青年のキャラクター作りに関わることができ、監督やプロデューサーたちと、彼はどんな人物なのかという話し合いをして、最終的にテの人物像を作り上げました。だから最初の脚本で書かれていたテのキャラクターと、実際に撮影に入った時のテは全く別人のようでした。

――すごくやり甲斐のあるお仕事だったんですね。

 そう、とてもやり甲斐がありました。僕にキャラクターを作る機会を与えてもらい、とてもよかったです。

――アップさんも、共演のプーウィン・タンサックユーンさんも有名な俳優ですが、今回は全ての役をオーディションで決めたと聞いています。アップさんはこの役のオーディションを受けようと思った理由は何でしたか。

 プロットと、それぞれのキャラクターのバックグラウンドを書いた内容が送られて来て、それを読んだ時にぜひ自分が演じてみたいと思いました。理由としては、まずホラー映画だということ、そして演技者としてすごくチャレンジになるだろうと思ったからです。この役を演じられたら役者としてスキルアップになるだろうと思い、オーディションに行くことを決心しました。

ラフで楽しいことが好き

――ホラー映画だからやってみたいと思った理由は?

 ホラー映画に出たことがなかったから。全くこういうジャンルの作品に出たことがなかったんです。

――確かにアップさんは「Lovely Writer The Series」はじめ、楽しく、明るいイメージがありますね。

 僕自身もすごいラフで楽しいことが好きな人間なんですけど、やっぱり毎回違う役を演じることが、役者であることのモチベーションになっています。

――アップさんは役者であると同時に今、博士課程に在籍中の学生でもありますね。

 はい、そうです。


アップさん。

――では忙しいのに、勉強を続けているモチベーションはなんですか?

 好きだからです。

――なんと素晴らしい! 勉強が好きだって言ってみたいです。

 (照れながら)仕事は仕事で全力で頑張る。でも個人的に好きなもの、ある種の趣味として、その学問の分野をもっと勉強したいなと思ったからなんです。

――専攻はなんですか?

 国際関係学を専攻しています。

国際関係を学びイギリスに留学

――イギリスにも留学されていたそうですね。きっかけはなんですか?

 チュラロンコーン大学のコミュニケーションアーツ学部は4年制なのですが、3年間でほとんどの単位が取れてしまったんで、4年目に時間ができたんです。それでいろんな本を読んでいたら、ある本に戦争のことが書かれていて、世界中のあらゆる出来事は繋がっているんだと思いました。そこで国際関係を学びたいと思って考えた末に、イギリスに留学することにしました。国際関係学の修士号を取ったんです。

――イギリスはどちらに行かれていたんですか?

 ロンドン大学の大学院ですね。イギリスでの生活は実質、1年間だったんですが。

――イギリスでの生活で勉強以外にも得たことはありますか?

 イギリスに行って視野が広がりました。タイに住んでいた時に自分が理解している、知っていると思っていたことは、実はほんの少しでしかなかったと分かったんです。いわば両手を広げるぐらい。だけどイギリス、そして世界に出てどんどん視野が広がるにしたがって、自分が知っていることは非常に少なかったと実感しました。だから帰国後も、もっと勉強して色々と学びたいと思ったんです。

Poompat Iam-samang /UP (プーンパット・イアン=サマン/アップ)

1994年12月4日、タイ・バンコク生まれ。国立チュラロンコーン大学大学在学中、2015年に映画『Gifted』で俳優デビュー。2021年、BL小説を原作としたテレビシリーズ『Lovely Writer The Series』で主人公の小説家を演じ、大人気に。インスタのフォロワーは156万人以上。歌手デビューも果たしている。

X:@uppoompat
Instagram:@uppoompat

文=石津文子
写真=志水隆

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