料理は「ラクじゃないわぁ」と思うけれど…神崎恵が紹介する“3人の息子のため”につくる毎日ご飯
CREA WEB / 2024年7月31日 11時0分
日本一忙しい美容家・神崎恵さん。美容に関する書籍も多く執筆している神崎さんが、初の料理本『神崎恵のおうちごはん さあ、なに食べる?』を刊行し、話題となっています。
「3人の息子たちのために毎日つくっているご飯を紹介しただけなんです」と話す神崎さんにインタビュー。料理への思いをお聞きしました。
「ありがとう」や挨拶以外で一番多く口にしている言葉
──なぜ料理の本を出すことになったのですか?
実はこれまでにも、いろいろな出版社さんから「お料理の本を出しませんか?」というお声がけはいただいていました。
私は3人の息子がいて、息子たちのために毎日ご飯をつくっている、というか作らざるを得ないんですけど(笑)、そんなお料理をSNSで紹介しているうちに「料理上手」と言っていただけることが増えて……。
でも私の中では、自分が料理の本を出すなんてどうなのかな、という気持ちもあったんですよね。それが今回、何度かご一緒させていただいているNuméro TOKYOの編集長から熱烈にアプローチいただいて、そこまで言っていただけるなら、頑張ってみよう。と出版することになりました。
タイトルの副題を「さあ、なに食べる?」としたのは、それがおそらく、私が今まで「ありがとう」や挨拶以外で一番多く口にしている言葉だからです。
「さあ、息子たち、きょうはなに食べる?」と言いながら毎日ご飯をつくってきた私の、家族のための日常メニューをご紹介しています。
──お料理上手の神崎さんが「本当は料理が好きではない」というのは意外でした。
本当は私、そんなに料理が好きではないんですよ。
気が向いたときにちょっと作るのは楽しくても、それが毎日となると、しんどいじゃないですか。
しかも、自分が食べるだけならいいですが、栄養バランスや好みも考えながらとなると、正直にいうと「ラクじゃないわぁ」と思ってしまいます。
自分が毎日食卓にご飯を並べる役割になってから、疲れた日も、体調がすぐれない日も、毎日家族が喜ぶご飯をあたりまえに並べてくれていた母の偉大さを感じています。
自分が食べたいものが食べられるようなメニューを用意
──「好きではない」のに、こんなにもていねいで愛情たっぷりのお料理を作り続けられる秘訣を教えてください。
息子たちの食べる姿が私に元気と力をくれるからです。
それに、自分が作ったご飯を食べて目の前で一人の人間が成長していく姿を見るのは、やりがいと責任のようなものを両方感じるんです。
母親になってから24年が経ちますが、ご飯をおいしそうに食べてくれる息子たちを見ると、どんなに大変でも面倒でも、栄養面を考えながら、おいしくて息子たちが喜ぶものを食べさせてあげたいなぁと思え、頑張れてしまうんです。
──朝ご飯も毎日お作りになっているのですね。
息子たちはそれぞれ学校や仕事に出かけるので、気持ちよく1日がスタートできるように、ご飯やパン、うどんなど、できるだけその日それぞれが食べたいものが食べられるようなメニューを用意しています。
私はジュースかスムージーで済ませてしまうことも多いのですが、満腹感がほしいときはバイタミックス(高機能ブレンダー)で、すっきりゴクゴク飲みたいときはコールドプレスジュース(低速回転で圧縮させるジュース)で、と工夫しています。
──美容のためにも、やはり朝ご飯は必要でしょうか。
「私がスムージーを飲むことが多い」というだけで、「美容のために朝はスムージー」でなければならないということはまったくありません。
個人の体質や生活にもよるので、私は、大人世代は自分にあう良い朝食を選択することが大事だと思っています。
ですが、育ちざかりの息子たちには、毎日朝ご飯を食べてほしいなと思って作っています。
料理は女性だけの役割ではない
──お忙しい神崎さんですが、「お料理したくない」と思う日はありますか? そんな日はどうされているのですか?
しょっちゅうありますよ(笑)。「食べる」って毎日続くことなので、深く考えちゃうとつらくなっちゃうんです。だから、自分がしんどくならないよう、自分のペースで続けていくことを大事にしています。
外食してもいいし、お惣菜やお弁当を買ってきてもいい。いまはUber Eatsも充実していますから、家でご飯を作らなくても困ることはないですよね。
そもそも料理は女性だけの役割ではないと思っています。日頃から息子たちへも伝えていますが、自分の食べるものは自分で作れたらいいし、将来もしパートナーと一緒に生活するなら、助け合って「おいしいご飯」を作ってほしい。「料理は女性がするもの」「女性は料理上手なほうがいい」という固定観念を変えられたらいいな、と思ったのも、今回この本を出すきっかけのひとつとなりました。
──「料理は女性だけの役割ではない」というお言葉に勇気づけられます。
今は男性も女性もみんな忙しいですからね。できる人ができることをやればいいんです。「料理は苦手だけど、作ってみよう」と思う方は作ればいいし、「料理は苦手だから作らない」と思う方は、そう宣言してしまってもいいと思います。
私は、いつか私がいなくなったあと、息子たちが「母ちゃんの料理、おいしかったな」と思ってくれたらいいな、と思いながらキッチンに立っています。それに、食の進み方や食べ方で、言葉が無くても、息子たちの心具合や体調が分かるし、息子たちの食べる姿は私に元気をくれるんです。
最近は、息子たちが料理を作ってくれたり
──神崎さんにとって「食べること」とは?
自分らしくしっかり生きていくために欠かせないもの、でしょうか。よく、食べるものが身体を作ると言いますが、私もお料理は心や体を育て守るためにとても重要だと思っています。自分が自分らしくあるためにも、息子たちがしっかり生きていくためにも、「食べる」ことを大事にしてきたように思います。
最近は、息子たちが料理を作ってくれたりもするようになったので、単純に「作り手が増えてありがたい!」と頼もしく感じています。
──息子さんのために、レシピも書き残されているのですよね。
はい。「これ、おいしい」と言ってくれたものから、一瞬でお皿の上がきれいになるものなどを息子たちに残せるように手書きでレシピノートを残してきました。
でも今回、本が出たことで「カラーの写真つきで、材料とプロセスもていねいに書いてあると作りやすい」と、息子たちが本を見ながら、いろいろ料理を作ってくれるようになりました。
私にとって、「料理は息子たちへのラブレターみたいなもの」と本のあとがきでも書きましたが、息子たちも、自分や大切な人にご飯でエールを送れるようになってもらえたら嬉しいなと感じています。
神崎恵
美容家。1975年神奈川県生まれ。美容誌をはじめ、『ESSE』(扶桑社)ほか多くの雑誌で連載を持つ他、 企業のタイアップやイベントの出演も多数。また、コスメブランドのアドバイザー、アパレルブランドとの 商品開発など活動の幅を広げている。 3人の息子をもつ母として、日々の暮らしや美容情報満載のInstagramはフォロワー数80万人超え、 現在は神崎美容塾の塾長として、後進の育成にも尽力している。書籍も数多く執筆し、 著書累計発行部数は170万部を突破。料理本としては本書が初。
撮影/花盛友里(人物)
山川修一(料理)
ヘア/津村佳奈(Un ami)
文=相澤洋美
写真=橋本 篤
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