【未知なるフィリピン美食新時代②】 手づかみで食べるワイルド焼鳥に 大盛りライスがフィリピン流
CREA WEB / 2024年7月4日 11時0分
フィリピン・ネグロス島の料理は、砂糖産業で栄えた歴史と多様な文化を反映したもの。スペイン、アメリカ、中国、マレーなどの影響を受けながら、独自の多様性を形成しています。島の北西部に位置するバコロド市周辺には、旅行者も入りやすいレストランが多く、変化に富んだローカルフードを楽しむことができます。
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バコロド発祥の「チキンイナサル」
バロコド発祥といわれる「チキンイナサル」。イナサル=焼くという意味で、要はフィリピン流の焼鳥です。味付けは店によって異なりますが、酢や醤油、鶏油、生姜、にんにく、カラマンシーなどでマリネした肉に、真っ赤なアナトーオイルを塗りながら炭火で焼くのが基本。見た目こそワイルドですが、日本のたれ焼鳥に比べると甘みは控えめで、素材本来の旨みが際立ちます。
もも、むね、ペタ(ぼんじり)、内臓類など部位別に注文でき、お値段は日本円で1本100~300円ほど。好みでカラマンシー(柑橘の一種)を搾ったり、唐辛子をかじりながら食べます。これに、たっぷりのライスを添えるのがフィリピンスタイル。お米はパラッとした粘り気のないインディカ米です。
一緒にオーダーした牛すじのスープ「カンシ(Cansi)」は、コラーゲンたっぷり!といった感じの、とろっとした口当たり。この地域で酸味料として使われる果実、バトワン(Batuan)を使うのがポイントだそうで、牛の濃厚な旨みをキュンと引き締めています。これぞ体に染みわたる滋味。
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現地のお客さんは、ほぼ手食。郷に従いマネしてみると(ビニール手袋もある)、フォーク&ナイフよりずっと食べやすいことが分かります。骨際の肉をはがし、ごはんに絡めて食べると最高だということも。ごはんはそのままでもいいのですが、アナトーオイルをかけ、ガーリックチップをふりかけるとこなれた仕上がりに。
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なぜチキンイナサルがバコロドの名物なのか? バコロド市を含むネグロス島は昔から闘鶏が盛んで、開催時は多くの人々が集まり、その場で食事を楽しむのが習わしだそう。そこで気軽に食べられるチキンイナサルが人気を呼び、次第に専門店が増えてきた――というのが通説です。
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アイダズ チキン Aida's Chicken
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シライの老舗ベーカリーで朝食を
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シライ市は、バロコド市街から北へ車で30分ほどの街。スペイン統治時代の風情が残るのんびりとしたエリアで、いくつものヘリテージハウスが残り、老舗のレストランも点在しています。
1920年創業の「エル・イディアル・ベーカリー」は、食事パンだけでなく、さまざまなペストリーが人気。遠方からもたくさんのお客さんが訪れます。フィリピンは東南アジアで唯一スペインの植民地だったため、パンやスイーツがおいしいお店が多いのだとか。
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名物は、フィリピンの果物グアップル(りんごに似た味のグアバ)を使ったパイ(1ピース150円くらい)。サクサクのクランブルの下に、甘酸っぱくねっとりとしたグアップルのフィリングがたっぷりと入っていて、アメリカのカントリースイーツを思わせる素朴なおいしさです。
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店内のイートインメニューもかなり魅力的。フィリピンのローカルフードがバラエティ豊かに揃います。肉や魚のおかずと目玉焼き、ご飯がのった定食プレート「シログ」から、スペイン風のグリル料理や煮込み、中国風の麺料理やスープ、アメリカ風のハンバーガーやサンドイッチと、この国の歴史を反映したダイバーシティ的ラインナップ。こんなお店が近所にあったら、通ってしまいそう。
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エル イディアル ベーカリー EL IDEAL Bakery
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激旨! 豚モツラーメン「バッチョイ」
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バコロドの市街地にある「21レストラン」は、もともと小さな定食屋として営業をスタートした、ローカルに大人気の小洒落たレストラン。店名の「21」は、21street沿いにあることから。
看板メニューは「バッチョイ」(400円くらい~)。フィリピンのローカルフードレストランでは定番のスープ麺で、発祥はネグロス島の隣・パナイ島のイロイロ市だといわれています。お店によってかなり味の差があるので、一度食べただけで好き嫌いを判断するのは早計。
こちらのバッチョイは、イヤな臭みがなく、牛骨から取る澄んだスープに、丁寧に下処理・調理されたであろう豚の内臓や、骨髄が入っているのが特徴。トッピングの揚げニンニクやチチャロン(豚の皮を揚げたもの)が食欲をそそり、ボリュームもほどよいので、小腹を満たすのに最適です。
21レストラン 21 Restaurant
https://www.facebook.com/p/21-Restaurant-100064638521808/
やさしい味のローカルスイーツ
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甘いものは別腹、ということで訪れたのが「クアン デリカシーズ」。バコロド市を中心に多くの食料品店を手掛ける、クアン(QUAN)グループのお店です。カジュアルなカフェ風の店内では、さまざまなローカルフードのほか、バラエティ豊かなフィリピンスイーツが食べられます。
キャッサバのケーキや、甘いルンピア(春巻き)、もち米を使った蒸し菓子プト、豆を包んで揚げたエンパナーダなどの伝統菓子は、いずれも昔ながらのレシピでつくる素朴な味わい。激甘なものもありますが、これが慣れるとクセになってくるので、食べ過ぎ注意です。
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クアン デリカシーズ QUAN Delicacies
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ネグロス島の名物ピアヤ
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ピアヤ(Piaya)は、ネグロス島でつくられるマスコバド糖の入った、お焼きのようなお菓子です。島内にはたくさんのピアヤを売るお店がありますが、もっとも人気が高いお店のひとつが1960年代創業の「クリスピー ピアイータ(バイロンズとも呼ばれる)」。
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昔と変わらぬレシピ、製法でつくられるピアヤは、1日1100枚限定(1袋10枚入りで340円くらい)。一般的なピアヤに比べて皮がとても薄くパリッとした食感で、とろっと甘いマスコバド糖とのバランスが絶妙なのです。
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お店の奥にある工房を見せてもらうと、中央に大きな焼き台があり(いまはガス火ですが、その昔は薪を使っていたそう)、職人さんが丸く延ばした生地をフリスビーのように投げ入れ、もうひとりの職人さんが上下を返しながら焼いていました。つまり、完全な手作業で、1日につくられる数に限りがあるというのも納得です。
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クリスピー ピアイータ Crispy Piayita Inc.
https://www.facebook.com/crispy.piayita/
老若男女が集まるカフェのケーキ
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フィリピンのスイーツは伝統的に甘みが強いものが多いのですが、近年では地元の人も「甘さ控えめ」を好む傾向があります。「カレアペストリーズ&コーヒー」のケーキは、そんなニーズを反映しているようです。
まず、ケーキの種類がとにかく豊富! 看板メニューのチョコレートケーキだけでも5種類あり、ほかにも20種類ほどのケーキがショーケースに並んでいます。どのケーキも1ピース300円前後。あれこれ頼んでシェアし合うのも楽しそうです。
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人気のケーキ屋さんということでお客さんは若い女性ばかりかと思いきや、3世代のファミリーで来ている方も多く、色とりどりのケーキを食べながら老若男女がワイワイ。フィリピンらしい賑やかなムードもこのお店の魅力です。
カレア ペストリー&コーヒー Calea Pastries & Coffee
所在地 15th st, Balay Quince,, Bacolod, 6100 Negros Occidental
電話番号 +63 34 435 8413
【協力】
フィリピン政府観光省 https://philippinetravel.jp/
文・写真=伊藤由起
協力=フィリピン政府観光省、shifumy(江藤詩文)
写真協力=Kazuki Kei Kiyosawa
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