宿泊することが未来のハワイに繋がる 今年で創業60周年を迎えた「カハラ」 でサステナブルを感じる豊かな滞在を

今年で創業60周年を迎えた「ザ・カハラ・ホテル＆リゾート」

カハラホテルを象徴するカラフルなシャンデリア。

　ワイキキの中心地を離れた、喧騒とは無縁のエリアに佇む名門ホテル「ザ・カハラ・ホテル＆リゾート」。今年で創業60周年を迎えたカハラは、ハワイの中でもいち早くサステナブルを取り入れたリゾートホテルとして知られている。

60周年を記念した宿泊プランや記念品も登場。

　エネルギー効率性、水資源の保護、リサイクル、リサイクル製品の購入、汚染対策、フードサービスという6つのカテゴリー別に目標を設定し、全社をあげてサステナブル活動に取り組んでいる。その活動はハワイ州にも高く評価され「ハワイ・グリーン・ビジネス・アワード・プログラム（HGBP）」を通算5回も受賞しているのだ。

　特に、2017年からスタートしたKISCA（Kahala’s Initiative for Sustainability, Culture ＆ the Arts -）はオアフ島の土地や海、文化の保存を目指したサステナブル活動で、自然保護団体や地域コミュニティと協力して活動を拡大していることから注目を集めている。

KISCAマネージャーのテイラー・ロジャーウッドさん。

　世界的にも先駆的な取り組みを行うカハラのサステナブルへの取組について、本年度からKISCAマネージャーを務めているテイラー・ロジャーウッドさんにお話を伺った。昨年大学を卒業し、カハラホテルのレストランスタッフとして働いていたテイラー氏。KISCAの活動を強化するという重要なミッションを託されるとは想像もしていなかったと話す。

「話を聞いた時は驚きましたが、大学時代からサステナビリティについて専門的に学んでいたので、その経験が活かせるポジションに抜擢されたのはとても喜ばしいことでした。KISCAは環境保全に向けたサステナブルな取り組みを地域住民と二人三脚で行うことをテーマにしています。この土地は私が生まれ育った場所なので、地域と一体化してサステナブル活動を推進していくという意味においても適任だと考えられたようです」

月に一度開催されるサンセットセミナーはカハラを象徴するプログラム

2017年にスタートしたKISCAプログラム。

　KISCAにはハワイアンカルチャーを体験できるものから、子供がサステナブルについて学ぶことができる教育系まで多彩なプログラムがラインナップ。特に人気を博しているのが、月に一度開催されるサンセットセミナーだ。

美しいサンセットを眺めながらこの景観を守るための活動について考える。

「“ハワイの自然環境と文化をどのように守っていくか”というテーマについて、様々な分野のプロフェッショナルに語ってもらいます。宿泊者に限らず誰でも参加可能で、無料のおつまみとドリンクも用意しています。サンセットを眺めながら一時間ほど対話をするカジュアルなスタイルが地域住民からも好評で、リピーターも多いんです」

　最近では日本人を含む観光客も増えてきているそうで、旅行者がハワイの環境について考えるきっかけに繋がっているのが誇らしいと顔を輝かせながら話していたのが印象的だった。

外来種の影響による固有種の減少が問題視されている。

　今後はハワイの固有種を植えるアクティビティや環境問題に取り組むNPO団体が活動発表できる場所を積極的に作っていきたいと話すテイラー氏。

「同世代の若い人たちにもポジティブな印象を持ってもらえるような活動を増やしていきたいです。サステナブルな活動に参加することってクールだよね、という風潮が生まれつつあるので、そのムーブメントをもっと活性化させたいんです」

若きリーダーの活躍に期待が高まる。

　キラキラしたほがらかな笑顔でハワイの自然への関わりや目指すべき未来について語ってくれたテイラー氏。そのピュアな想いが心に響き、短い時間ながらすっかり彼女に魅了されてしまった。きっと多くの人が同様に心を動かされ、これからさらに活動の輪が広がっていくのだろう。

ザ・カハラ・ホテル＆リゾート

https://jp.kahalaresort.com/

文・写真＝星子莉奈