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地産イタリアンとカウンセリング コーヒーに舌鼓! 山梨県・月光寺、 河口湖畔の隠れ家を巡る旅

CREA WEB / 2024年7月7日 11時0分


左/俳優・石川古都さん、右/映画監督・金子由梨奈さん。河口湖湖畔のL'ESSENCE(レソンス)にて。

 幅広い知見を生かしてアウトドアカルチャーを提案するレーベル「焚火遊道」の猪野正哉さん、田中行太さんが、自然もグルメも街歩きも楽しめるウェルネスな日帰りトリップをコーディネート。

 第四弾は、連載で初となる一泊二日の旅を敢行! 山梨県の三ツ峠山(みつとうげ山)で朝から手軽なショートトレッキングを楽しんだあとは、その地ならではの食彩を巡る街歩きタイムです。

 今回の旅の主役は映画監督の金子由梨奈さんと俳優の石川古都さん。心地いい疲労感を抱えながら、まずはノスタルジックな商店街で知られる富士吉田の月江寺(げっこうじ)界隈へ。大通りから少し外れた細い路地裏に、ひっそり佇む素敵なお店を見つけました。


レトロな路地に佇む大人の隠れ家イタリアンへ


もとはホルモン焼肉店だったという建物を、オーナー自らDIY。外壁の色は、友人の元大工が塗装したそう。

 江戸時代より織物産業や富士山信仰により栄えた山梨県・富士吉田。とくに月江寺駅周辺の新世界乾杯通りや子の神通りなどでは、昭和初期に賑わいをみせたスナックやカフェ、宿場の廃墟が残されており、なんともノスタルジックな雰囲気に包まれています。

 昔情緒にあふれる町並みを散策していると、壁が薄あさぎ色に彩られた小さな店を発見! その素敵な店構えと「TRANSPARENT FULLMOON(トランスペアレントフルムーン)」という店名に惹かれた金子さんと石川さんは、この店でランチをしようと決めました。


月江寺の“月”、オーナーの“望月”さんにちなんだフルムーンと、名付けに悩んでいるときにふと目に留まった裸電球が透明(=トランスペアレント)だったことが、店名の由来だ。

 電球のやさしい灯が印象的なほの暗い店内は、大人の隠れ家のような落ち着いた空間が広がります。トレッキング後でお腹を空かせた二人は、早速ランチコースをオーダー。

コンセプトはスローフード。山梨ならではの幸を堪能しよう


ランチコースにはサラダと前菜、スープ、デザートがついてくる。

窓際にカーテンがわりに装飾された生成りの布帛もシックな雰囲気。

 まず提供されたのは前菜のサラダと豆のスープ。野菜は隣の都留市でオーガニック野菜を育てている農家さんから仕入れるなど、山梨県産のものを取り入れるようにしているとか。

「豆の素朴でやさしい味のなかに、しっかり出汁の旨みも感じられて美味しいです」と金子さんはスープを絶賛。オーナーの望月さんからスープにカツオを入れていると聞き、大きく頷きます。

 ちなみにこの日は豆スープでしたが、一年を通してはカーボロネロという黒キャベツを使ったスープを提供していることが多いそうです。


ポテトピューレを添えた国産牛ほほ肉の赤ワイン煮込みはお店の看板メニュー。

 そして二人がメインディッシュに選んだのは、ほほ肉の赤ワイン煮込み。口の中に入れると肉の繊維がほどけるような柔らかい食感に加え、赤ワインが引き出す上品な肉の旨みとコク、ポテトピューレの爽やかな甘みが交互に押し寄せてきます。


一口食べるやいなや「口のなかで溶ける!」と、感嘆の声をあげる石川さん。

同店ではコロナ禍よりランチ営業をスタート。ランチ営業開始当時から、ほほ肉の赤ワイン煮込みと同じく人気なのが、甲州産クリスタルポークを使用したボロネーゼだ。

 イタリア発祥である「スローフード」、つまり地のものを旬の時季に体に取り入れることをコンセプトにスタートしたトランスペアレントフルムーン。山梨県で採れた新鮮な野菜をふんだんに使って丁寧に振る舞われるイタリア料理は、どれも奥ゆかしく、滋味深い。さらに料理とのペアリングを楽しめるナチュラルワインも豊富に取り揃えているので、夜にゆっくり訪れるのもオススメです。

 気さくなオーナーとの楽しい会話もまた絶好のスパイスとなり、楽しい食事タイムを過ごすことができる知る人ぞ知る名店。月光寺を訪れた際は、ぜひトランスペアレントフルムーンで心温まるスローフードを楽しんでみてほしい。


オーナーの望月千博さん。かつて山中湖にあったイタリア人が営むイタリアン料理店で修行した後、10年前に同店をオープン。望月さんのたしかな腕前と気さくな人柄が評判をよび、地元の人々も足繁く通う隠れた名店だ。

トランスペアレントフルムーン

所在地 山梨県富士吉田市下吉田3丁目7−25
Instagram @transparent_full_moon

カウンセリング式のスペシャルティコーヒーが飲める新名所


店のサインや看板は出ていない。アンティーク調の木製扉や外灯を施したモルタル壁の建物が目印だ。

 次に訪れたのは、河口湖・大石公園の近くに2023年にオープンしたカフェ「L'ESSENCE(レソンス)」。こちらのカフェではバリスタ兼パティシエの佐藤美範さんが、お客様一人一人に対してじっくりカウンセリングを行うのが特徴。好みや気分、飲みたい印象を伝えると、それにあわせたコーヒーを淹れてくれるというわけです。


カウンターでカウンセリングを受ける二人。

 今回は“挑戦の旅”だという石川さんは「ビターが好きだけど、軽めのコーヒーにも挑戦してみたい」とリクエスト。すると佐藤さんはコロンビア産のゲイシャコーヒーを提案してくれました。「アールグレイティーのようなテイストで、後口はゲイシャらしく山椒のようなスパイシーなニュアンスが感じられます。全体的に爽やかで、シャープな酸が伸びていく印象です」(佐藤さん)

「苦めは好きだけれど、酸味が強いのは苦手。でもフルーツの酸味は好きです」という金子さんの嗜好に対して、佐藤さんがオススメしたのはケニア産ティム・ファクトリーの中深煎り豆。「ビターななかに、オレンジ系の酸味がしっかり残っている。フルーツの酸味なので飲みやすく、ビターと酸味をバランスよく感じられます」(佐藤さん)


素材のよい高品質な豆にこだわり、トップクオリティのスペシャルティコーヒーだけを扱っている。

気分や好みにあわせて、器も自由にコーディネート


グラスや陶器のマグカップ、皿など多種多様な器が棚に並んでいる。

 店内には大きな食器棚が置いてあり、そのなかには素敵な器がずらり。コーヒーを注ぐカップ、スイーツを置く皿も一緒に楽しんでほしいという佐藤さんの思いから、レソンスでは自分の好きな器を指定することができます。(混雑時は不可)


石川さんは、千葉で作陶する中村かおりさんの半磁器に一目惚れ。なお、器選びは佐藤さんにお任せすることももちろん可能。お客様の第一印象や服との相性まで見てコーディネートしてくれるそう。

 器を自由にコーディネートできる斬新なサービスによって、さまざまな作家の作品と出合うことができるのもまたこの店の魅力です。石川さんは作家・中村かおりさんが手がけたブロンズカラーのカップ&ソーサーを、金子さんはトルコ人作家・ジェンギズ ディクドウムシュさんの器をチョイスしました。


山梨の上野原市で作陶するジェンギズ ディクドウムシュさんの作品。結晶釉を用いて作られる、トルコらしい美しいターコイズブルーが印象的な器だ。

出来上がったコーヒーを早速賞味する二人。「クリーンなのにどこかスパイシー! 軽さのなかにちゃんと飲み応えもあって美味しいです」(石川さん)。「最初はビターですが、冷めるにつれて徐々にオレンジのジューシーさが口にあふれてくる。この酸味なら全然いけます」(金子さん)

パティシエこだわりのスイーツも一緒に


カウンターのショーケースに並ぶ手作りのスイーツ。

 レソンスを訪れたら、スペシャルティコーヒーと一緒にスイーツもぜひ堪能してほしい。フロランタンにシューアラクレーム、塩キャラメルのケーク、フィナンシェ、ミルクフランスと、ショーケースに並ぶスイーツはどれも美味しそうでつい目移りしてしまいます。

 フランスで修行を積んだ佐藤さんが、試作に試作を重ねて辿りついたこだわりの手作りスイーツ。なかでも一番の人気はシューアラクレームだと言います。


シューアラクレームは、別名“限界シュー”として常連客の間でも親しまれている。

「フランスの粉をベースにした少し厚めの生地は、毎朝焼き上げています。その上にクッキー生地を重ね、ボリューミーな印象に仕上げています。クリームには最高級のタヒチバニラを使用し、3日かけてフレーバーを抽出。作り立てのフレッシュなふわふわのクリームを、オーダーを受けてから限界ギリギリまで絞り込んでいます」(佐藤さん)


ケークキャラメルサレの生地の中にはビターに仕上げた自家製のキャラメルが練り込まれている。

 ビターに焦がしたキャラメルとオーガニックナッツを添えた、口溶けしっとりのケークキャラメルサレも人気。ラムの香ばしい香りと、ジュワッと上品に広がる甘さはヤミツキ必至です。二人とも幸せそうに頬張りながら、贅沢なひとときを過ごします。


「おしゃれなのにボリューミィなのも嬉しい!」(金子さん)

 河口湖に登場した新たな隠れ家的カフェ。自分史上最高のコーヒーと出合えるチャンスとなるかもしれないので、ぜひ訪れてみてほしい。

 ただし一人一人に対して丁寧にカウンセリングをおこない、商品の説明もしっかり伝えてくれるため、提供までに少し時間がかかってしまう場合も。訪れる際は、時間に余裕をもつことをオススメします。


大石公園からすぐ近くというのもうれしい。

L'ESSENCE(レソンス)

所在地 山梨県南都留郡富士河口湖町大石1456−1
Instagram @lessence_patisserie

映画監督
金子由里奈(かねこ・ゆりな)


金子由里奈さん。

1995年生まれ。立命館大学映画部にて映像制作を開始し、短編映画やミュージックビデオなどの監督を行う。『21世紀の女の子』『眠る虫』で注目を集め、2023年公開『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』では「第33回日本映画プロフェッショナル大賞」で新人監督賞受賞。最近は“私の百名山”をセレクトすべく、日本各地の山でトレッキングにいそしんでいる。

俳優
石川古都(いしかわ・こと)


石川古都さん。

2003年生まれ。小学6年生のときに自ら『赤毛のアン』のオーディションに応募。見事、主役アン・シャーリー役に抜擢され、舞台デビューを果たす。以降、ミュージカルを中心に活動。近年は映像にも活動の幅を広げ、映画『遠まわりする青』やドラマ『マイファミリー』などに出演。現在はメインで出演する『DELL』CMが世界配信されるなど、今後の活動に期待大の俳優。趣味はドライブ。歌やダンスも得意で、なかでも昭和の歌謡曲がお気に入り。

焚火遊道


猪野正哉さん(左)と田中行太さん(右)。

焚き火マイスター/日本焚き火協会会長
猪野正哉さん

メンズノンノモデル出身。モデルやライター、千葉市でアウトドアスペース「たき火ヴィレッジ〈いの〉」を運営するなどマルチに活躍。焚き火を中心としたアウトドアアクティビティを通して、自然の魅力を伝えるために奔走中。著書『焚き火の本』、『焚き火と道具』。

ファッションディレクター/プロモーションプランナー
田中行太さん

ブランドプレスやセールス、セレクトショップのキュレーターやバイヤーを歴任。現在は、ブランドやショップの販売戦略から企画、WEBデザイン、生産管理まで、多くのブランド・ショップのディレクション業を担う。Tシャツブランド「WHO’sMAKING...」主宰。

クレジット

<金子さん>
シャツ 17,600円、パンツ22,000円/フーディニ(フルマークス カスタマーサービス)、サコッシュ8,800円/クレッタルムーセン(クレッタルムーセン トーキョー)、シューズ22,000円/ブルックス(アキレスお客様相談室)

<石川さん>
カットソー16,500円、パンツ22,000円/フーディニ、中に着たTシャツ 13,200円/アクリマ(フルマークス カスタマーサービス)、バックパック 37,400円/クレッタルムーセン(クレッタルムーセン トーキョー)、シューズ 19,800円/ブルックス(アキレスお客様相談室)

<問い合わせ先>
アキレスお客様相談室 
クレッタルムーセン トーキョー 03-6380-9200
フルマークス カスタマーサービス cs@full-marks.com

文=平野美紀子
撮影=深野未季
スタイリスト=永田哲也

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