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南アフリカ出身シェフが作る世界各国の食事パイとスイーツ神戸・魚崎「グランピーキッチン」

CREA WEB / 2024年7月14日 7時0分


パイいろいろ。

 パイというと、日本ではアップルパイやチョコパイなどの甘いパイを思い浮かべますが、世界各地には、メインディッシュや軽食になる様々な甘くないパイ、いわば食事パイ、おかずパイがあります。


その日焼かれた、焼きたてのパイが並ぶコーナー。商品価格は変動あり。

 私が暮らす神戸の東部に、そんなパイのお店「グランピーキッチン」ができていました。場所は、阪神電車魚崎駅から徒歩1分。取材前に伺いパイを買って食べてみると、どのパイもボリュームたっぷりでリーズナブルな価格、驚きのおいしさ。2019年12月15日オープンと聞くと、コロナ禍だったとはいえ、知らずにいたのが悔しくなる、とてもいいお店です。


リチー・グラエムさんと奥様のリサさん。

 オーナーシェフのリチー・グラエムさんは、南アフリカ・ヨハネスブルグ出身。南アフリカ、ザンビアなどアフリカだけでなく、マレーシア、インドネシア、タイ、シンガポール、香港、そして神戸で30年余り働き、ホテル総料理長も務めてきたのだそう。販売を担当するのは、奥様で日本人のリサさん。普段はテイクアウトだけの小さなお店です。

 赤いテント、赤いドアのお店に入ると、その日焼かれたパイがずらり。冷蔵ケースには見慣れないスイーツが並んでいます。

 まずは、食事パイのいろいろを紹介しましょう。


丸いパイ。左上から時計回りに、「パプリカチキンパイ」520円、「オージーパイ」540円、「チキンカリーパイ」500円、「ビーフパイ」570円。商品価格は変動あり。

 取材に伺った時は、丸いパイが4種類。上部分のハートや星のマークで見分けます。どれもずっしりとした重さ。フィリングがたっぷり入っています。

「ビーフパイ」のフィリングは、牛肉、玉ネギのみじん切りを黒ビールを入れて煮込んだもの。しっかりした味わいに、ゴロゴロ入った角切りのパテがアクセント。

 オーストラリア伝統の「オージーパイ」は、牛肉と豚肉を使い、味付けはケチャップとデミグラスソース。一品料理のような味わいで、外国人客に人気なのだとか。

「パプリカチキンパイ」の具材は、鶏胸肉、枝豆、トマト、玉ネギ。スモークパプリカがほのかに香り、ワインやビールが進みそう。

「チキンカリーパイ」は、スパイシーで程良い辛さ。ジャガイモやトマト、玉ネギなどの野菜もたっぷり入っています。

「丸いパイは、温めて食べるとおいしいですよ」とリサさん。フィリングの味わいがぐんと増して、極上の一品になります。

 丸形だけでなく、様々な形に包んだパイも気になります。片手で持って食べるのにぴったりのものもあって楽しい。


左上から時計回りに「ポパイパイ」340円、「里いもチーズオニオンパイ」350円、「サーモンパイ」380円。商品価格は変動あり。

 ホウレン草とモッツァレラチーズの「ポパイパイ」は、優しい味付けでホウレン草の風味が際立ちます。

「里いもチーズオニオンパイ」は、外国では味わえない里芋を使っているオリジナル。もっちり食感で日本人好み。

「サーモンパイ」の中身は、サーモンと自家製のスモークマヨネーズを使ったポテトサラダ。スモークの風味が後口に残り、印象的。


左から時計回りに「テキサスパイ」370円、「バブルスクィークパイ」360円、「中華パイ」360円、「ソーセージロール」390円。商品価格は変動あり。

 四角く仕上げた「中華パイ」は、胡椒餅をアレンジしたもの。胡椒がきいていて、胡麻油が香ります。「ビールにぴったりですよ」とリサさんはにっこり。

 外国人客に大人気の「ソーセージロール」は、リチーさんが作ったイギリスの伝統的なカンバーランド・ソーセージを、パイ生地で包んで焼いたもの。。太くてボリュームのあるソーセージは、ハーブ風味がポイント。他にはない味です。

 他にも、トウモロコシが入った「テキサスパイ」、キャベツ、ソーセージ入りの「バブルスクィークパイ」と種類豊富で、どれにしようか迷ってしまいます。

 パイは、それぞれ数量限定なので、早々に売り切れてしまう日もあるとか。


「ブリティッシュポークパイ」1,200円。商品価格は変動あり。

 唯一冷蔵ケースに並んでいて、冷たいまま食べるのが「ブリティッシュポークパイ」。イギリスでは「パイの王様」と言われるほど有名なパイで、パイ生地とフィリングの肉との間にゼラチン(アスピック)を流して固めてあるのが特徴。「イギリスの伝統的な作り方で、3日かけて作るんです」と、リチーさん。ぜひ、食べてみたい逸品です。


冷蔵ケースには自家製の燻製マヨネーズやお惣菜なども並ぶ。

世界のスイーツも食べられます

 職人気質のリチーさん。スイーツにもこだわっています。

「アップルパイ」は、最適な品種・王林がある時だけ作るのだそう。バターが香る、薄く多層になっているパイ生地が、リンゴの酸味を引き立てます。

 珍しいのが、オーストラリア・クイーンズランド発祥の「ラミントン」と、アメリカ発祥の「ウーピーパイ」。

「ラミントン」は、スポンジ生地をチョコでコーティングして、ココナッツをまぶしたお菓子。手でつまんで食べられる手軽さで、こちらでも人気だそう。

「ウーピーパイ」は、しっとり柔らかな生地で自家製マシュマロをサンドした、食べやすい、まさに、おやつ。


左上から時計回りに「チョコレートブラウニー」680円、「アップルパイ」380円、「ウーピーパイ」400円、「ラミントン」390円、「バナナブレッド」350円。商品価格は変動あり。

 バナナにキャラメリゼの風味がプラスされた「バナナブレッド」もおいしいし、「お店の一番人気のスイーツです」とリチーさんが自慢する「チョコレートブラウニー」も、コク深い大人向けの味わい。一度で虜になってしまいます。

 他にも「メレンゲ」などのスイーツも作り、おやつ需要にも対応。食事パイとお菓子、両方買って帰りたくなります。

 そして、最近の人気は「フォカッチャ・バレーゼ」だとリサさん。イタリア・プーリアの州都バーリのフォカッチャで、生地に強力粉を使ったモチモチ感がポイント。オリーブオイルをたっぷり使っているのだそう。フォカッチャでも、他にはないバレーゼにこだわっているのです。


「フォカッチャ・バレーゼ」1カット450円。商品価格は変動あり。

「お店では、午後からフィリングの仕込みをして、翌朝6時半からパイ生地を作り、それぞれ包んで焼き上げます」とリチーさん。「ブリティッシュポークパイ」の他は、全て、その日に焼いた、焼きたてのパイ。


パイやスイーツを作るベテランシェフ、リチー・グラエムさん。

 そして、リチーさんは、手作りであること、保存料や着色料などの添加物不使用にこだわるだけでなく、使用する調味料にも工夫をこらしています。

 既製のスペイン産のスモークパプリカパウダーを用いるだけでなく、スモークソルト(塩)、スモーク醤油、塩レモンなどを自ら手作りし、さらには、スモークパウダー(ヒッコリースモーク)を固形にして保存し使用するなど、独自の調味料を作って熱心に味を創作しています。


こだわりの調味料いろいろ。左からスペイン産スモークパプリカパウダー、自家製のスモーク醤油、スモーク塩、右端の瓶と前の皿は、スモークパウダー(ヒッコリースモーク)を固形にしたもの。

 そんなリチーさんオリジナルの味をお店で楽しめるのが、毎週金・土曜の、17時からの立ち飲みバル営業。パイはもちろん、リチーさんが腕をふるうタパスメニューが5、6種類用意されることもあって、足繁く通う常連客も多いそう。南アフリカのリンゴのサイダーやアマルーラというリキュール、原産地のルイボスティーも発見。いろいろな初めての味に感動です。


立ち飲みバルのタパスメニュー「サーモンのブルスケッタ」350円には、自家製のサンドライトマトや塩レモンを使用。

「僕のルーツは母方のオランダと父方のスコットランド。母方の祖母はお料理上手でした。ヨーロッパの伝統的なパイを日本の人に食べてもらいたい。でも、日本人の口に合う味にするのではつまらない。日本で見かけないパイをどうしたら広められるかにチャレンジしています。パイには、自分のアイディアで味を自由にできる面白さがあるから。僕が作ったパイを全国の方に食べていただきたくて、オンラインショップでのお取り寄せも始めました」とリチーさんはにっこり。

 パイの魅力に夢中になりそうです。

グランピーキッチン


所在地 兵庫県神戸市東灘区魚崎中町4-6-14 
電話番号 078-453-0170
営業時間 11:00~19:00 金・土曜の立ち飲みバルは17:00〜21:00 ※変動あり
定休日 日・月曜
Instagram @grumpykitchen105

文・撮影=そおだよおこ

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