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女性ディレクターには寿命がある!?「くりぃむさんがいる限り私は粘り続けたい」

CREA WEB / 2024年7月19日 17時0分


岡部知穂さん。

 配信プラットフォームが活況を呈し、テレビの観られ方が大幅に変わりつつある今、番組のつくり方にもこれまでとは違う潮流が勃興しています。その変化の中で女性ディレクター/プロデューサーは、どのような矜持を持って自分が面白いと思うものを生み出しているのか。その仕事論やテレビ愛を聞く連載です。

 今回は、くりぃむしちゅーファンの間では知らない人はいない!?、フリーランスで活躍する、岡部知穂さんにお話を伺いました。


「有田さんは些細な行動ひとつを褒めてくれる、素敵な人」


フリーディレクターの岡部知穂さん。

――大ファンであることを前面に出して仕事するのはメリット・デメリットがあるじゃないですか。そこはどう考えているのか気になっていたんですが、やはり迷いもあったんですね。

 正解ではないとはずっと思ってました。でもこれだけは曲げられないなって。本人たちには「死ぬまで一緒にいる」って言ってるんですよ。私多分、あの二人がいない世界で生きていけないと思います。

――もはや神様じゃないですか。

 実は、『くりぃむナンタラ』を辞めることになったときにお二人が小田さん(番組プロデューサー)に「YouTubeに岡部を残して欲しい」って直訴してくれて、それで戻ることができたんです。

――え! 

 後で小田さんから教えてもらって、めちゃくちゃ感動しました。なぜかくりぃむさんはそれを認めてくれないんですけど……(笑)。結局くりぃむさんか小田さんかどっちかはわからないのですが、どっちにしても未だに嬉しいですね。一生ついていこうと思ってるし、毎日くりぃむさんのことを考えてます。本当にずっと神様みたいなもので、どれだけ一緒に仕事をして慣れてきてもそこは変わらないですね。

――そんなことがあったらますます信仰が篤くなりますね。ずっと画面越しに観てきた憧れの人たちと仕事をしてみて、あらためて尊敬の念を抱いた部分はありますか?

 私ごときがすみませんという感じですが、まず有田(哲平)さんはやっぱり企画力が抜群です。『くりぃむナンタラ』は有田さんとスタッフが企画会議をしてつくってる部分が大きくて、その力が番組の核になっているなと思います。

 それと、有田さんは観察力がすごい。ADだった頃、スタッフ全員でご飯を食べに行ったときに有田さんが近くの人と企画の話をしているのが聞こえてきたんです。私はADなので有田さんからは遠い席だったんですけど、耳をすまして聞いて、机の下でメモしてたんですね。そしたら有田さんがパッとこっちを見て「岡部ちゃん、そういうところだよ」って褒めてくれて。「見えてたの!?」って衝撃でした。ちょっとしたことをちゃんと見ててくれて、こんな下っ端の些細な行動ひとつを褒めてくれる、素敵な人です。

――めちゃくちゃいい話です。

 上田さんはもう、ツッコミの速さ、頭の良さがすごい。初めてちゃんと番組に関わって素材を観たとき、ツッコミが速すぎて鳥肌が立ちました。20年くらいくりぃむさんを撮り続けてるカメラマンでさえ追いつけてないくらい速くて、感動してその場面だけでも100回観ましたね。

 それに、やっぱり有田さんと同じで人間力があるんですよね。上田さんはめちゃくちゃ謙虚なんですよ。普段から結構しゃべってるんですが、私が仕事で落ち込んだ話をすると「まずは目の前のことを前向きに、一生懸命やれよ」って毎回言われるんです。それは上田さん自身がそうだからなんですよね。最初は本当にただただ憧れだったんですけど、今は「上田さんみたいに生きたい」って、人間としての目標になってます。

「周りに“女性っぽく”扱われないことは居心地よくもある」


フリーディレクターの岡部知穂さん。

――岡部さんは「ナンタラちゃんねる」ではよく出演もされていて、名物ディレクター的存在になってますよね。

 そうなのかな……(笑)。出たいわけじゃないんですよ。目立ってもいいことはないんで。

――やはりそういう認識なんですね。テレビ業界では昔から裏方を表に出す文化がありますが、コメント欄やSNSで視聴者の声が直接届く今のメディア環境だとリスクは高まっていると思います。

 そうですね。アンチコメントを書かれたら人間として普通に傷つきますよ。くりぃむさんと仕事できてるし、応援してくれる人もいるからいいとは思ってますが。

――動画のコメント欄では「かわいい」というような書き込みもありますが、ストレスにならないですか? 知らない人から容姿に対して何か言われるのは嫌な気持ちになりそうだなと。

 そこはわりと平気ですね。そもそも私、人に「かわいい」と思われたい気持ちがあんまりないんです。言われたら言われたで嬉しいですけど。仕事と関係ない飲み友達からよくブスいじりされるんですが、全然気になりません。だからコメントで「マスクとったらブサイクだな」とか書かれていても余裕ですね。

――なるほど。バラエティやお笑いは長年にわたって男性が制作の中心にいたと思います。働く中で男女差のようなものは感じますか?

 私自身は「女性っぽい」感性みたいなものをディレクターとして武器にすることが全然できなくて、そこはむしろコンプレックスです。そもそも脳内が女性っぽくないからだろうし、そういう性格だから周りも自分を女性として扱わないし。それが心地よくて楽なところはあります。

 ただ、現実的なことをいうと体力面の壁はあります。睡眠不足や帰れない日が続くと体調を崩すこともあるので、体力を削ってやってるところはあると思いますね。だから女性ディレクターはどうしても寿命というか、限界がある気がしてます。すごく年上の女性ディレクターってほとんど会ったことないんですよ。一度だけ、60歳くらいの方にお会いしたことがあって「すげぇな」と思いました。

――局員はいずれ演出やプロデューサーになっていくことが大半なので、ずっと現場のディレクターとなると制作会社やフリーの方が中心ですよね。たしかに、その領域は特に男性が多いイメージです。

 そこをやり遂げたいという気持ちはありますね。「女性だから無理」みたいには思われたくない。くりぃむさんがいる限り、私は粘りますよ。

岡部知穂

福岡県出身。フリーランスのディレクター。YouTube『ナンタラちゃんねる(くりぃむナンタラ公式チャンネル)』のほか、『街グルメをマジ探索!かまいまち』(フジテレビ)、『ZIP!』(日本テレビ)内「流行ニュース キテルネ!」コーナーなどを担当。なお、着用しているTシャツのQRコードは「ナンタラちゃんねる」のURL。
https://www.youtube.com/@creamnantara

文=斎藤 岬
撮影=平松市聖

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