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双子パンダの食事に昆虫やトマトが。食べる姿が見られたらラッキー!? 新メニューの反応を上野動物園に直撃

CREA WEB / 2024年7月25日 11時0分


レイレイ。2024年6月20日(木)。(筆者撮影、以下同)

 メスのジャイアントパンダ、シンシン(真真)が19歳の誕生日を迎えた2024年7月3日(水)、上野動物園へ足を運ぶと、娘のレイレイ(蕾蕾)がいる部屋で小さな赤い物体が目に入りました。肉眼では何なのか分かりません。周りの観客も不思議そうに眺めています。帰宅後、写真を拡大したら、カットしたトマトのように見えました。

 パンダの主食は竹で、上野動物園ではモウソウチク、シノダケ、マダケなどを与えています。同園での副食はリンゴ、ニンジン、パンダ団子(材料は大豆、米、トウモロコシなど)が定番。トマトは異例です。


竹を選ぶシャオシャオ。2024年6月20日(木)。

竹を食べるレイレイ。2024年6月20日(木)。

 上野動物園に確認したところ、筆者が見たのはやはりトマトでした。「トレーニングや採食エンリッチメント(食べ物によって飼育動物の生活を豊かにする取り組み)に使う目的で、5月以降、嗜好性の高いエサの調査をしています。基本的には、上野動物園内で使用している、加工されていないものを選んで試しています」(上野動物園の担当者・以下同)。

 これまで試したものは、サツマイモ、落花生、バナナ、ミルワーム(甲虫の幼虫)、カリフラワー、トマト、キュウリ、オレンジなど。「いずれも少量で試しており、2度試したものは、まだありません」

 レイレイだけでなく、園内のほかのパンダたちにもこれらを試しました。反応は「いずれもにおいを嗅ぐことはありましたが、食べたものはありません」とのこと。筆者の観覧時も、レイレイはトマトに目もくれず、竹を食べるのに夢中でした。

パンダは肉も食べる

 今回試したエサは、前述のように野菜や果物が中心です。異色なのはミルワーム。動物のエサとしてよく与えられる昆虫です。パンダは草食だと思われがちで、実際、食べ物はほとんど竹ですが、実は「食肉目クマ科」(「食肉目ジャイアントパンダ科」とする施設もある)に分類されます。

『つなぐ――上野動物園ジャイアントパンダ飼育の50年(抄本)』(公益財団法人東京動物園協会 恩賜上野動物園)によると、ホァンホァン(歓歓)、フェイフェイ(飛飛)、トントン(童童)、リンリン(陵陵)を飼育していた頃の上野動物園では、パンダミルク、馬肉スープ、麦飯、骨粉などで作ったミルク粥もパンダに与えていたそうです。


水を飲むシャオシャオ。2024年6月20日(木)。

 リンゴ、ニンジン、パンダ団子は、嗜好性の高いエサとして現在も使われています。レイレイと双子でオスのシャオシャオ(暁暁)によるニンジンの採食については以前、「成獣と同様で、大きめに切って与えており、食べています」とのことでした。しかし最近は「レイレイは成獣と同様に食べていますが、シャオシャオはあまり食べないこともあります」

ジュースで作った氷をプレゼント

 シャオシャオとレイレイは、6月23日(日)に3歳になりました。姉のシャンシャン(香香)が上野動物園で迎えた最後の誕生日(5歳になった2022年6月12日)は日曜日で、観覧のための待ち時間が最長4時間ほどに及びました。

 一方、双子の3歳の誕生日は雨が降ったためか、同じく日曜日にもかかわらず、待ち時間は最長でも2時間未満でした。双子が別々に暮らすようになり、観覧するにはそれぞれの列に並ぶ必要があるため、観覧者が分散されたことも一因と考えられます。

 気温の高い日が続いていることから、双子の誕生日に近い日、職員はジュースなどで作った氷を双子とその両親のシンシンとリーリー(力力)にプレゼント。シャオシャオはリンゴ味の氷をよく舐め、レイレイは氷を持って舐めたり体にこすり付けたりしたそうです。職員はハート形や星形のニンジン、パンダ形のパンダ団子なども作り、氷に添えました。

 パンダは暑さが苦手なので、暑い日は冷房の効いた室内で過ごし、屋外に出られません。こうしたなか、動物園ではさまざまなエサを試すなどして、パンダが健やかに暮らせるように取り組んでいます。


シャオシャオ。双子パンダの観覧エリアでは、並んだ順に作られるグループごとに移動。観覧できるのは1カ所につき約1分間。2024年6月20日(木)。

●上野動物園

https://www.tokyo-zoo.net/zoo/ueno/


中川 美帆 (なかがわ みほ)

パンダジャーナリスト。早稲田大学教育学部卒。毎日新聞出版「週刊エコノミスト」などの記者を経て、ジャイアントパンダに関わる各分野の専門家に取材している。訪れたパンダの飼育地は、日本(4カ所)、中国本土(12カ所)、香港、マカオ、台湾、韓国、インドネシア、シンガポール、マレーシア、タイ、カナダ(2カ所)、アメリカ(4カ所)、メキシコ、ベルギー、スペイン、オーストリア、ドイツ、フランス、オランダ、イギリス、フィンランド、デンマーク、ロシア。近著に『パンダワールド We love PANDA』(大和書房)がある。
@nakagawamihoo


パンダワールド We love PANDA

定価 1,650円(税込)
大和書房

文・写真=中川美帆

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