1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

アメリカ人がつくる“津軽弁ビール”?「こちょがす」「めっきゃさ」…弘前アートと立ち寄りスポット3選

CREA WEB / 2024年7月27日 11時0分

「AOMORI GOKAN アートフェス 2024」開催中


「弘前れんが倉庫美術館」外観。

 2024年9月1日までの期間、青森県の美術館5館が協働した「AOMORI GOKAN アートフェス 2024」が初開催中です。このイベント最大の特徴は、フェス全体を総括するアートディレクターを配置せず、地域に根ざした各館のキュレーターが企画・運営していること。

 2024年度は、共通テーマである「つらなりのはらっぱ」を、それぞれが解釈し、展覧会やプロジェクト、パフォーマンスなどに落とし込んで展開します。

 CREA WEBでは、「AOMORI GOKAN アートフェス 2024」の開催に合わせて、短期集中連載をスタート。5館の展覧会と、各館へ行ったら立ち寄りたいスポットを、青森県在住のライターがご紹介します。第3回は「弘前れんが倉庫美術館」です。


「弘前れんが倉庫美術館」のメイン企画は「蜷川実花展」と、「弘前エクスチェンジ#06『白神覗見考』」


「蜷川実花展 with EiM: 儚くも煌めく境界 Where Humanity Meets Nature」を開催中。

「弘前れんが倉庫美術館」では、「AOMORI GOKAN アートフェス 2024」のメイン企画として、日本を代表する写真家で映画監督でもある蜷川実花と、クリエイティブチーム・EiMが協働する大規模個展「蜷川実花展 with EiM: 儚くも煌めく境界 Where Humanity Meets Nature」を開催。


本展会場風景。

 活動初期から重要なモチーフとして花を撮り続けてきた蜷川が特に惹かれるのは、野に咲く花でなく、人間の手によって育てられ、人間界と共存する花々。国内の公園や花の名所などでも撮影を行ってきた蜷川が、撮影の旅の中で出会ったのは、弘前の桜。本展では、弘前で撮影した桜が展示のクライマックスになっています。


本展会場風景。

 EiMのメンバーであるデータサイエンティストの宮田裕章、セットデザイナーのEnzo、クリエイティブディレクターの桑名功らが協働することにより、写真作品の展示だけでなく、インスタレーションでも展開。鑑賞者は空間の内部をさまよい、自らが作品の一部となったように体感することができます。


蜷川実花 《Sanctuary of Blossoms》 2024年。

弘前の歴史や伝統文化に新たな息吹を吹き込む「弘前エクスチェンジ」

 また、「弘前エクスチェンジ#06 『白神覗見考』」も同時開催。2020年にスタートした「弘前エクスチェンジ」は、弘前にゆかりのあるアーティストや国内外で活躍するアーティストなどを招聘し、地域の歴史や伝統文化に新たな息吹を吹き込んでもらうことを目指して、作品制作や調査研究、地域コミュニティとの関わるワークショップなどを行うプロジェクトです。


佐藤朋子による「向こう側研究会」の活躍資料。

 6回目となる今回は、青森県南西部から隣県・秋田県西北部にまたがる白神山地をテーマにリサーチ・プロジェクトを実施しました。狩野哲郎、佐藤朋子、永沢碧衣、 L PACK.の4組が、各自の視点で、作品展示やワークショップなどを行います。


手前:狩野哲郎《魔術的な道》2024年、奥:狩野哲郎《垂直らしさ(海中の彫刻)》2021年。

 狩野哲郎は、白神山地が1993年に世界自然遺産に登録されたことで、それまで暮らしていた人や動物に生まれた変化を探り、立体作品を中心に美術館内外で展開。

 永沢碧衣は、自身の狩猟経験をもとに制作した絵画作品を展示します。


永沢碧⾐《共鳴》2023年。

 佐藤朋子は長期的なリサーチの過程を、会期を通じてアップデートし続けます。L PACK.は、弘前市では馴染み深い夏祭り「宵宮」に触発され、展覧会期末の3日限定のイベントとして体験型作品を公開します。


佐藤朋子《Song of the Fox, August 2022 Version》2022年。

「蜷川実花展 with EiM: 儚くも煌めく境界」も、「白神覗見考」も、人間と自然という二項対立的な見方ではなく、人間と自然がゆるやかにつながっていることが表現されています。それこそが「弘前れんが倉庫美術館」の解釈した「つらなりのはらっぱ」です。

弘前れんが倉庫美術館

所在地 青森県弘前市吉野町2-1
電話番号 0172-32-8950
開館時間 9:00~17:00
休館日 火曜(祝日の場合は翌日に振替)、年末年始
観覧料 一般1,500円※展示会ごとに異なる
https://www.hirosaki-moca.jp/

人にも環境にも優しいものを集めたセレクトショップ「green」


2009年に現在の場所へ移転。もともと眼科が入っていたという建物。

 弘前れんが倉庫美術館でアートを楽しんだら、周辺をぶらぶら。美術館から徒歩約8分の「green」は、センスのいいセレクトショップが集まる代官町エリアにあります。築96年のモダンな洋館風の外観が特徴で、店内は白を基調とした温かみのあるインテリア。


こぎん刺しのアイテムが並ぶ。こちらは藍染した糸を使用している。

 一番目立つところにレイアウトされているのは、津軽に伝わる刺し子の技法である「こぎん刺し」のアイテムたち。津軽こぎん刺しの名刺入れやしおり、トートバッグなどが並びます。

 2010年頃から〈弘前こぎん刺し研究所〉とコラボレーションし、弘前の桜のピンク色と、弘前の洋館に多いグレーを組み合わせたものや、青森で伝統的に行われてきた藍染で染色した糸を使ったものなどをオリジナルで商品化しています。


弘前の桜と、洋館を組み合わせたカラーリングは「green」のオリジナル。

津軽塗りブランド「KABA」のアクセサリー。

 他にもレディースの衣類や生活雑貨、東北の工芸品などが集まります。

green

所在地 青森県弘前市代官町22
電話番号 0172-32-8199
営業時間 11:00~18:00
定休日 水曜、隔週木休

「HIROSAKI ORANDO」と「cidre & café POMME/MARCHÉ」


「HIROSAKI ORANDO」外観。

 美術館から歩いて約13分の「HIROSAKI ORANDO」は、弘前公園からも徒歩10分圏内の百石町にある複合施設。昭和53年築の元セレモニーホールの建物をリノベーションし、カフェやギャラリー、ゲストハウスなどで構成されています。


2階にはゲストハウス「ORANDOの二階」が。りんご箱で作ったベッドで眠れる。

「HIROSAKI ORANDO」のカフェスペースは起業のチャレンジの場にもなっており、現在は移住者夫婦によるシードルカフェ「cidre & café POMME/MARCHÉ」が営業中。りんごの生産量が日本一の弘前のシードルをメインに、世界中のおいしいシードルが集まります。フードは軽食のほか「季節のグラスデザート」や「バスクチーズケーキ」など、スイーツを提供しています。


「cidre & café POMME/MARCHÉ」。

 また、ギャラリースペースでは、展覧会などを開催。すでに終了しましたが、7月15日までは「どんころ」展を開催し、7組のアーティストが津軽西海岸で採取した石をもとに、それぞれの解釈によって石の魅力を表現しました。


展示風景。

HIROSAKI ORANDO
cidre & café POMME/MARCHÉ

所在地 青森県弘前市百石町47-2
電話番号 0172-40-3950
営業時間 12:00~18:00(金土12:00~16:00、18:00~21:00)
定休日  水・木曜、祝翌日休

クラフトビールを飲むなら「ギャレスのアジト」へ


店内イメージ。

 美術館からタクシーで約7分。2016年にオープンしたビール工房「Be Easy Brewing」と、醸造したてのビールを味わえるタップルーム「ギャレスのアジト」があります。オーナーは、県内のテレビ番組などでも活躍する、米国出身のギャレス・バーンズさん。2005年に三沢の米軍基地に配属されて来日したのち、ビールの醸造をスタートしました。


ギャレスさん。

 ビールはすべて津軽弁で、「こちょがす(くすぐる)」「のっつど(たくさん)」「めっきゃさ(おいしいよね)」など、ユニークなネーミングがつけられています。

 津軽のお米や青森県産の玄米、りんご、いちご、宇治抹茶、沖縄黒糖、スパイスなどを原料に、これまで約150種類のクラフトビールを造ってきたそう。


こちらは弘前市出身のマンガ家、石塚千尋とのコラボレーションで生まれた「Magic Spell」シリーズ。

 お店がオープンして1年後からは自ら畑を耕し、野菜づくりをスタート。収穫した野菜はギャレスのアジトでも味わえます。また、自社畑で育てたホップで造ったビールは、毎年9月の1週目にふるまわれます。


野菜を作っている畑。

 カウンターの奥にはタップが12口並びます。時期によって仕込むビールを変えるため、どんなフレーバーがあるかはそのときのお楽しみ。

ギャレスのアジト

所在地 青森県弘前市松ケ枝5-7-9 2F
電話番号 0172-78-1222
営業時間 17:00~22:00(21:30LO)
定休日 日~火曜休
https://www.beeasybrewing.com/


》第4回「八戸市立美術館」の見どころと立ち寄りスポット3選を見る。

文=栗本千尋

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください