愛子さまは天候の変化に「蚕」の心配を…“生き物好き”の雅子さまから受け継いだ命あるものへの愛情
CREA WEB / 2024年8月2日 6時0分
仲睦まじく養蚕に臨まれる天皇ご一家
7月23日、雅子皇后陛下は皇居内の紅葉山御養蚕所で「御養蚕納(ごようさんおさめ)の儀」に臨まれた。儀式では、日本の古来種「小石丸(こいしまる)」などの生糸の束を神前に供えて祈りを捧げられ、今年の養蚕を無事に終えられることに感謝された。
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その日の午後、天皇陛下と愛子内親王殿下もご一緒に「天蚕(てんさん)」と「収繭(しゅうけん)」を手伝われた。
愛子さまは、今年の天候の大きな変化に、蚕(かいこ)が順調に生育されるか心配されていたというが、良好だったことを確認なさると安心されていたという。
「収繭」は、蚕が繭を作る足場となる「蔟(まぶし)」から繭を取り出す作業の事。ご一家は手を動かされながら仲睦まじく蚕について語り合われていたそうだ。
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天皇ご一家が3人で「繭掻き」や、蚕に桑の葉を与える「御給桑(ごきゅうそう)」に臨まれるようになったのは、2022年からだった。「陛下が養蚕の歴史にご関心が高く、ご家族で作業なさることを自然と楽しまれていらっしゃる」と宮内庁職は、その理由を語る。
幼いころから生き物が好きだった雅子さま
養蚕作業は、歴代の皇后が引き継いできたもので、雅子さまも皇后となられた後の2020年から携わってきた。皇太子妃時代には「虫嫌い。皇后として養蚕を継いでいけるのか」といった根拠のない批判もあったが、雅子さまは養蚕をしっかりと引き継がれている。素手で蚕を触られることもあるという。
雅子さまは幼い頃から生き物が好きだった。幼い頃、ご実家で飼っていたハツカネズミが増え過ぎてしまい、保健所を呼んだこともあった。家に飛んできたカブトムシやクワガタを飼ったことも良い思い出だといわれた。
愛子さまはダンゴムシを手のひらに
皇室に入られてからも東宮御所に飛んできたクワガタなどを飼われて、幼虫から成虫になるまで飼育なさったこともあった。陛下も幼い頃に東宮御所で見つけたカブトムシやクワガタを飼われたことがあって、懐かしがられたという。
「両殿下(当時)は、昆虫をいくつものプラケースに入れて、登り木や朽木、栄養保水液などを入れて観察なさっていたそうです。飼育は、湿度の管理が難しいといわれましたが、何匹も産卵して幼虫から成虫になる過程をお二人で楽しまれていたそうです」(元東宮職)
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両陛下の命あるものを大切になさる姿勢は、愛子さまにも伝わってきたようだ。「宮さま(愛子さま)は好奇心旺盛で、蟻やダンゴムシの生態を面白がられて、東宮御所で石をひっくり返して蟻の巣を見つけられたり、ダンゴムシを手に乗せて丸くなるところを見せてくださったりしました。飼育もなさっていましたね」(前出・元東宮職)
雅子さまが育てた繭は、伊勢神宮に送られた
愛子さまは学習院初等科3年生の時に学校でもらった蚕の飼育を今でも続けている。学習院大学生となった2020年には、宮内庁は愛子さまの蚕が作った繭や卵を産んでいる写真を公開。蚕に病気が出た時のことを考えられて、2グループに分けて飼育するなど、大切になさっているご様子が伝わってくるものだった。
愛子さまは蚕にも名前を付けられて、ご一家で名前を呼ぶなどしておられるという。
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宮内庁の紅葉山御養蚕所主任は、23日の会見の中で、 「去年の御給桑の時に愛子さまが『この蚕おかしいんじゃない』と持ってきたことがありました。蚕はお腹のところに『脱皮がら』が付いていて、輪になっていたんです。この『脱皮がら』を取れば普通に成長しますよとお伝えすると、愛子さまは『取ればいいんだ』とにこやかな笑顔でいらっしゃいました。おそらく死んでしまうのではないかと案じられたのではないでしょうか」と語った。
今年は天候が不安定な時も多かったり、就職活動が始まったりなさったことで、目が行き届かない時間などもあったため、より蚕の様子に注意を払われたという。
皇居で育てられた「小石丸」の生糸は、秋篠宮皇嗣殿下の長男・悠仁親王殿下がご誕生なさった時のおくるみに使われたり、海外の賓客に贈られたりしている。今年、雅子さまが育てた繭30キロは6月中旬に伊勢神宮に送られて、20年に一度の「式年遷宮」(次回は2033年)に新調される絹織物に使われる予定だという。
愛子さまが育てられている蚕の繭からできた生糸も、いつか大切な御用途に供せられることだろう。
友納尚子(とものう なおこ)
1961年生まれ。新聞記者、雑誌記者を経て独立。2003年から雅子妃のご体調について初めてのスクープ。以降『文藝春秋』『週刊文春』などで執筆。最新刊は、15年に刊行した『ザ・プリンセス 雅子妃物語』にその後の復活までの日々を加筆した『皇后雅子さま物語』(文春文庫)。
文=友納尚子
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