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不自然な手形、あるはずのない墓地…仙台の心霊スポット・葛岡墓園で松原タニシが“見てしまったもの”

CREA WEB / 2024年8月10日 20時0分

 怪談界きってのストーリーテラーであり、著者累計の売上は40万部を突破した松原タニシ氏。この夏上梓した『恐い怪談』(二見書房)は、タニシ氏が取材を重ねた実話怪談から選りすぐりの100本を構成して書き下ろしたもの。

 お盆だもの、タニシさんの珠玉の怪談で涼しくなってみませんか? 初日の本日は「給水塔の女」。



松原タニシ氏。文藝春秋にて。

給水塔の女

 ユーチューブで「松原タニシのぞわぞわチャンネル」という番組をやっている。その日は過去に行った心霊スポットについて解説するという配信だった。

 2017年はとにかくいろんな心霊スポットを回った。そのなかから仙台で行われた怪談イベントの帰りに寄った3カ所の心霊スポットについて話した。

 まず初めに行った八木山橋は、標高差70メートルの高さがあり、飛び降り自殺が多いことで有名な橋である。2メートル以上ある飛び降り防止フェンスは上部が鼠返しのように内側を向いていて、乗り越えられないようにされている。

 橋の真ん中付近で手すりに不自然な手形を見つけたが、特に霊感のない僕には何も感じない。ただ、次の目的地までの道中、切っているはずのカーステレオから雅楽のような音が流れたのは変だった。

 次に行った葛岡(くずおか)墓園は、中心部の頂上付近に建っている給水塔を反時計回りに3周すると、車のエンジンが止まったり、何かがついてきたりするなどの心霊現象が起こると噂されている。また、この墓地はアルファベットのA地区からY地区までエリアごとに区切られているのだが、夜中に行くとあるはずのないZ地区が現れるという話もある。

 僕はこの給水塔を反時計回りに13周した。しかし誰かが追いかけてくる気配はない。

墓園から何か連れてきてしまったかな?


写真はイメージです。©kurono/イメージマート

 最後に太白山(たいはくさん)トンネルに行く。ここはかつて石材を運ぶ列車が通っていた廃トンネルである。徒歩で通り抜ける人が列車の下敷きになって死亡する事故が起きたという情報があるが、真相はわからない。

 高さもなく、幅も狭い。長さは百メートルほどで、反対側に抜けるまでそんなに長く感じない。

「こんなもんか」と特に立ち止まることもなく入口まで戻ろうとすると、入口付近にある退避場所のようなスペースに、長い髪の毛の束を見つける。見落としていただけかもしれないが、入ったときにはそんなものはなかったような気がするが……これは葛岡墓園から何か連れてきてしまったかな? と結論づけた。

「あの、思い出したんですけど」

 突然番組プロデューサーのS本氏が口を挟む。彼は仙台市出身なのだ。

「実は僕も高校生のころに葛岡墓園に行ったんですよ、友達と。夕暮れ時だったと思うんですけど、給水塔に着いたときにはもう日もほとんど沈んでて……そしたらなんか、給水塔に向かって手をふっている女の人がいたんですよ。あれ何してんだろうと友達と言ってたら、急にこっちをふり返ってニコッとしたんです。僕ら急いで逃げたんですけど、いま思い出しました」


松原タニシ氏が厳選した怪談を100話収録した『恐い怪談』から抜粋。

松原タニシ(まつばら・たにし)

1982年、兵庫県出身。松竹芸能所属のお笑い芸人。事故物件に住み続ける"事故物件住みます芸人"として知られる。YouTube「松原タニシch」、「松原タニシのぞわぞわチャンネル」を運営。ラジオレギュラー番組に「松原タニシの生きる」(ラジオ関西)、「松原タニシの恐味津々」(MBSラジオ)などがある。『事故物件怪談 恐い間取り』(二見書房)がベストセラーとなり、著者累計40万部を誇る。
X:@tanishisuki

文=松原タニシ
写真=志水 隆

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