1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. 芸能総合

「現役時代よりその後のほうが長いのに…」女子選手の「生理」について元五輪代表・杉原愛子が思うこと

CREA WEB / 2024年8月10日 17時0分

 2016年リオデジャネイロ、2021年東京とオリンピック2大会連続で出場している体操選手・杉原愛子さん。2023年に考案した日本初のスパッツ型レオタード「アイタード」は生理中でも安心して演技ができ、盗撮被害から選手を守ることができるユニフォームとして話題に。

 インタビュー後篇では、生理が始まった頃にはすでにアスリートとして活躍していた杉原さんに、生理やPMSとの付き合い方を教えていただきました。


吸水ショーツを穿いて練習すると安心できます


基礎体温の測定や食生活を見直したことで、生理周期が安定してきたという杉原さん。

――女性アスリートにとって生理の問題は、切っても切り離せないと思いますが、杉原さんは、これまでに生理で悩んだ経験や、対策されていることはありますか?

 私は生理もPMSも結構ひどい方で……以前は周期も不安定で、2~3週間ごとに生理があるような状態だったので、貧血の症状もありました。ピルを試したこともあったのですが、体に合わなかったようで副作用が辛くて、結局すぐにやめてしまいました。

 周期が安定するようになったのは、武庫川女子短期大学で食物栄養科学部の先生からレクチャーを受けてからです。基礎体温を付けたり、定期的に体組成計で自分の脂肪量や筋肉量を測定することで、生理のタイミングを把握できるようになり、少しずつ生理の周期も安定していきました。

 鉄分の多い食材を意識して食べるようにしたり、PMSの時期から痛み止めを飲むことで、生理中の辛い症状も緩和されています。

 PMSの時はむくんだり、イライラしたりもするけれど、「しょうがない」と受け入れる。

 あとは、高温期に入ってからは、いつ生理が始まってもいいように吸水ショーツを穿いて練習しています。それだけで気持ち的に安心できます。

――武庫川女子大学体操部のコーチ時代には、スポーツ向け吸水ショーツ「PlayS」の開発にも携わったそうですね。


「吸水ショーツを穿いていると、それだけで安心です」と杉原さん。

 大学の卒業生から共同開発のお話をいただいて、体操部のメンバーみんなで「こんな商品がほしい」というリクエストを出しました。それで作っていただいたのが、レオタードを着ていてもはみ出ない「ハイレグ型」の吸水ショーツです。肌に近いベージュなので、ちょっとぐらいだったら見えても目立ちません。

 私はそれまで吸水ショーツを穿いたことがなかったのですが、とにかく吸水力が高くて、すぐに乾くので、ムレにくいんです。抗菌・消臭機能もあるので、ニオイも気にならないし。量が多い日はこれ1枚だとちょっと心配ですが、タンポンを併用すればストレスなく競技に集中できます。


プレイショーツ - ハイレグタイプ 5,500円。XS、S、M、L、XLの5サイズ展開/PlayS

生理やPMSについてもっとフランクに話せる環境に変わってほしい


「コーチやチームメイトなど、身近な人と生理について話し合うのは大切なこと」と杉原さん。

――自分に合う対策方法がわかっていると、不安も軽減されますね。日常的にハードな運動をしているアスリートの方は、エネルギー不足から無月経に陥りやすいと聞きました。

 そうですね。特に体操選手は、レオタードを着るので必要以上に体重を気にしたり、中には指導者でさえ生理が来ない方がいいと思いがちですが、本当は、毎月あるはずの生理が「ない」状況って、体に何らかの異常があるサインなんですよね。

 きっと、体操選手として生きる人生よりも、その先の人生の方が長いし、いずれ子どもを産むかもしれない。自分の身体を理解して、毎月やってくる生理と向き合うことは本当に大切だと思います。

――選手同士やコーチと、生理やPMSについて話すことはありますか? 特に、スポーツの指導者は男性が多いかと思うのですが……。

 (武庫川女子)大学時代から、フランクに話し合えるようになりました。生理中は練習着の上から腹巻もしてますし(笑)。

 私は特に、コーチにこそ自分のコンディションを隠さずに伝える必要があると思います。

 日本人の女性の中には、生理について人前で話すことは「恥ずかしい」とか、男性には「伝えてもどうせわからない」と思っている方も多いですよね。私自身も以前、生理中であることを伝えられなくて、無理をしてケガをしてしまったことがありました。

 現在のコーチは男性ですが、「自分にはその痛みや辛さがわからないからこそ、少しでも負担が少ないように」と、無理がないプログラムを一緒に考えてくれます。

 また、女性同士だったらわかり合えるのでは、とも思われるかもしれませんが、かつて体操選手だった方の場合は「自分が現役時代もそれで大丈夫だったから」と流されてしまうことも。性別に関係なく、コーチが選手の状態を把握して、向き合うこともとても大切なことだと思います。

――2016年のリオ五輪では、中国の競泳女子選手が「昨日、生理になって……」とコメントしたことが注目されました。これまでなんとなくタブーとされてきた「生理×スポーツ」が話題になる機会も増えましたが、どう感じていますか?

 確かに以前よりは、私自身も含めて女性アスリートが積極的に発信したり、メディアで取り上げられることも増えたとは思いますが……海外と比べるとまだまだ関心度は低いですよね。

 文化の違いなどはあるかもしれませんが、生理やPMSについて、男女関係なくもっとフランクに話せる環境に変わっていってほしいですね。

杉原愛子(すぎはら・あいこ)

1999年大阪府出身。2015年、日本代表として第6回アジア体操競技選手権大会に出場し、日本女子団体総合で金メダル、個人総合でも金メダルを獲得。 2016年リオデジャネイロ、2021年東京、2大会連続オリンピック出場。2017年10月、モントリオールで開催された世界体操競技選手権大会では個人総合決勝の平均台で披露した「足持ち2回ターン」が、新技「SUGIHARA」と命名された。 2022年に選手として「一区切り」し、第一線から退くことを発表。翌年、全日本体操種目別選手権で1年ぶりに競技復帰し、床で2年ぶりの優勝を果たした。2023年に株式会社TRyASを立ち上げ、体操競技の普及活動や後進の育成にも力を注いでいる。

TRyAS https://tryas-inc.co.jp/
Instagram @aiko_sugihara

文=河西みのり
撮影=佐藤 亘

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください