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生田斗真「人生を変えてくれた」 劇団☆新感線で生まれた”絆” 中村倫也との芝居を語る

CREA WEB / 2024年8月9日 17時0分


左から、生田斗真さん、中村倫也さん。

 今年旗揚げから44周年を迎え、チケット争奪戦は常に熾烈を極める劇団☆新感線。2024年劇団☆新感線44周年興行・夏秋公演は、いのうえ歌舞伎『バサラオ』。主演に生田斗真さん、そしてバディ役に中村倫也さんを迎えるという豪華布陣で上演中です。

 実は生田さんと中村さんは、2016年の劇団☆新感線の作品で共演し、それがきっかけで公私ともに仲良くしているという間柄。8年ぶりの共演や稽古場の様子について伺いました。


新感線の稽古場は遊び心が詰め込まれていて本当に尊い!


左から、生田斗真さん、中村倫也さん。

――生田さんと中村さんは劇団☆新感線での共演が、2016年『Vamp Bamboo Burn~ヴァン!バン!バーン!~』から8年ぶり。それぞれ、お互いに対しての印象や「8年ぶりにこんな自分を見せたい」という意気込みを教えてください。

生田斗真さん (以下、生田) 倫也は歌が上手いとか踊りが上手いとか、そういうことはもちろん兼ね備えていますが、“場を掌握するチカラ”というか、空気を変えるチカラを持った俳優です。

 演劇においては、空気を変えるというコントロールがとても大事なのですが、やりたくてもできるものではないので、甘えるところを甘えつつ、よい相乗効果が出せればと思います。

中村倫也さん(以下、中村)今回の作品は、負けてなきゃいけない役なんです。負けていながらの勝負の挑み方はあると思うので、僕の役はそこで張り合っていくようなスタイルになると思います。やることが違うから、斗真くんには思う存分やってもらいつつ、こっちはこっちで寝技をジワジワ仕掛けているみたいな、そういう関係性になると思います。

 あとは、おいしいお肉を奢ってもらうことしか考えてないので、財布を持たずに出歩きたい。8年前に共演したときは僕は仕事が多くはなかったので、プロテインとかサプリまで買ってもらってまして(笑)。

生田 そんなことあったっけ?

中村 うん。(吉田)メタルさんっていう筋肉に詳しい、歩く“筋肉”みたいな劇団員の方がいるんですけど(笑)、メタルさんにいいサプリとか聞いて、しれっと僕のぶんも買ってくれていました。


撮影中のオフショット。

――劇団☆新感線の稽古場の空気で、「ここがやっぱり好きだ!」と思うポイントを教えてください!

生田 僕は17歳のときに劇団☆新感線の皆さんと初めてお会いして、ある意味、人生を変えてくれたような人たちなんですよね。新感線の方々からすると「制服着て稽古場に来ていた斗真が大きくなったね」みたいな、ちょっと親戚の人っぽい関係性。でも、それがいまだに変わらないんだよね。初日の本読みのときも「斗真、お前今年40歳になるのかー。制服着てたのにな」って3人くらいに言われて。

中村 アップデートされてなさ過ぎる(笑)。

生田 されてない。当時のまんま(笑)。でも、その頃はお姉さん、お兄さんたちも若かったんだよね。実家みたいな居心地のよさもあるし、でも逆に言うと、一番近くで見てもらっているからこそ、この人たちの前で下手なことできないというか。緊張感を持たせてもらえて、リラックスもできる。その両面あるところが好きです。

中村 僕は、40年経ってもなお「いのうえさんが考えること、面白いな」って、汗水垂らして形にするのを楽しんでいる劇団員との関係性が、すごく尊くて。

生田 本当に楽しそうだよね。

中村 みんなアラ還目前ですが、飛んだり跳ねたりしながら、小学生みたいなギャグをやったりしてキラキラしているのって、本当に財産です。あんな人たち、なかなかいないから。モノづくりをするうえでの遊び心だったり、童心のような…そういったもので満ちている空間なんですよね、新感線の稽古場は。


生田斗真さん。

――おふたりともそれぞれ何回か新感線に出演されていますが、稽古場や本番でピリッとした緊張感が走るのはどんなときですか?

中村 台本にない立ち回りが急に増えたとき。いのうえ(ひでのり)さんに「ここもやるから」って言われると、「ん?」って(笑)。

生田 ただでさえ多いのに。

中村 どのくらいですか?って聞くと「ちょっと、ちょっと」って言って、3分くらいになったりして(笑)。あれはみんなに一瞬緊張が走ります。僕は新感線の舞台は3回目ですが、だんだん分かってきました。あ、ここ台本より長くなるなとか、ここはサラッといきそうだなとか。台本を信じつつ、鵜呑みにしないようにしています。

生田 日々セリフが足されていくしね。稽古していない、一発本番っていうときもあるんですよ。いのうえさんが楽屋に来て「斗真、今日はここのセリフのあとに、一言足してくれ」って。もう70回とか80回本番をやったあとでも足す。

中村 あるあるだよね。いのうえさんが観ていて飽きてくるから足していくっていう(笑)。

生田 今回は97ステージありますけど、1回目と97回目はえらい違いになっていると思いますよ(笑)。でも最後の最後まで向上させていきたいっていう強い想いがずっと続いていくのはすごいよね。

中村 楽しんだ顔で劇場を出ていくお客さんを見て、いのうえさん、すごく嬉しそうにしてますもんね。


中村倫也さん。

――劇団☆新感線の醍醐味はたくさんありますが、出演者のみなさんが縦横無尽に舞台を走り回るのも、そのひとつだと思います。他の舞台に入る時とは異なる心構えや、事前に用意していることはありますか?

生田 本当に毎日運動会みたいな感じなんです。走り回って、チャンバラして、大きい声出して。体が資本なので、新感線の稽古に入る前はスタミナをつけるために走り込む人もいれば、体力をいろんなカタチでつけてくる人が多いと思います。

 僕も心拍数を急激に上げるバーピージャンプというトレーニングをやります。立ち回りをやって、急に止まってセリフを言って、また立ち回りに戻ったり、歌に入ったりという展開がいっぱいあるので、どんなことがあってもちゃんとセリフが言えて動ける体づくりを心掛けています。

中村 今回は美しさもキープしないといけないから、ゼーハーできないね。

生田 そうだよね。

中村 僕は…入念なイメージトレーニングを行っています(笑)。

歌も18曲あり、踊りもあって……。マシマシで全部盛りの『バサラオ』


生田斗真さん。

――今回の最初の本読みのときはどんな雰囲気でしたか?

中村 多分、ちょっと照れてたよね。

生田 いやもう本当に戯曲を読んでほしいんですが、バカみたいなセリフがいっぱいあるんですよ。美の真ん中にいるのがこの俺だ!みたいな、「えええーー」みたいなセリフをどう乗りこなしていくか。

中村 そこの照れや不安をどれだけゼロに出来るかというのが、斗真くんの役作りだと思うので、それを見ているとワクワクします。でも、僕が板の上で一緒に芝居をしていて少しでも「ふっ」ってなったら素に戻るだろうから、責任重大です。本読みでも「何言っちゃってんだ、この人」ってなっちゃいましたから(笑)。

――実際にお稽古が進んできたところで、今回の『バサラオ』について現時点(取材は6月中旬)でどんな感想をお持ちですか?

生田 歌も踊りもあって、立ち回りもあって、もちろんお芝居もあって。とにかくやることがたくさんあります(笑)。今の劇団☆新感線が“やりたいこと”を全部詰め込んでいる感じかな。でもお客さんとしては毎分毎秒何かが起きるから、かなり楽しいと思います。その分、我々は本当に準備が大変なんですが……。

中村 「稽古、最後まで出来るのかな、ちゃんと」って思うくらい、本当にやること多いよね。まだ一回しかやってないところもあるし……。大丈夫かなと思いながら、いまからやれることは個人でやっておこうという準備を、みんな始めています。


中村倫也さん。

――さきほど生田さんが「新感線がやりたいことを全部詰め込んだ」とおっしゃいましたが、具体的にはどのような感じですか?

中村 舞台に出たら戦ってるし、歌も18曲あるんだっけ?

生田 そう、18曲。もう、ミュージカル(笑)。

中村 そうそう。何曲か減らしてほしいって思うんだけど……(笑)。僕らだけでなくて、劇団員の方も「今回の物量はちょっとエグいね」って言ってるんです。これがラーメンだったら、もうマシマシすぎて食べ終わったあとに吐いちゃいそうなくらい(笑)。

――今回は【ピカレスクロマン】ということで、生田さんが演じられるのはヴィランであり、色悪だと思います。今までの生田さんのキャラクターとは真逆ですが、どんな感想をお持ちですか?

生田 いつか自分も新感線の悪役をやってみたいなとずっと思っていました。劇団☆新感線が描く悪役というのは、独特の色気というか、触れてはいけない危うさとか、そういったものが描かれていて、40歳になる年にこういう役をいただけたというのは、とても感慨深いですね。

 一昨年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で僕は源仲章というちょっと悪い役を演じていたのですが、それをいのうえさんと中島かずきさんがご覧になったことで、今回主役が悪役になったという経緯もあるんです。過去に“点”のように打ってきたものが、だんだん繋がってきているという感覚はあります。

 40代の始まりで今まで経験したことのないような役にたくさん出会えるといいなと願っていますが、その始まりとしてはとても楽しみなキャラクターですね。

生田斗真

1997年、連続テレビ小説『あぐり』(NHK)でドラマ初出演を果たす。2007年、ドラマ『花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス~』(CX)の出演を機に注目を集め、以降、ドラマ・映画・舞台を中心に活躍。社会派作品でのシリアスな演技やアクションへの挑戦、映画でトランスジェンダーの女性役を好演するなど実力派俳優として幅広い作品に出演している。近年の主な出演作に、【ドラマ】『警部補ダイマジン』(23・EX)、特集ドラマ『幸運なひと』(23・NHK BSプレミアム/NHK BS4K)、【映画】『告白 コンフェッション』(24)、『渇水』『湯道』(23)、『土竜の唄 FINAL』(21)、『友罪』(18)、【舞台】『てなもんや三文オペラ』(22)、「挑む Vol.10~完~」新作歌舞伎『赤胴鈴之助』(21)などがある。劇団☆新感線には、『スサノオ~神の剣の物語』(02)、『Cat in the Red Boots』(06)、『Vamp Bamboo Burn~ヴァン!バン!バーン!~』(16)、『偽義経冥界歌』(19-20)以来5作目の参加となる。2025年放送予定のNHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』への出演を控える。


中村倫也

2005年に俳優デビュー。数々のドラマ・映画などの映像作品や舞台作品に出演し、確かな演技力と豊かな表現力で役者として存在感を放っている。また、近著に「THE やんごとなき雑談」「THE やんごとなき雑炊」など俳優業のみならず多方面に活躍の場を広げる。14年に初主演舞台『ヒストリーボーイズ』で第22回読売演劇大賞優秀男優賞を受賞。19年にはエランドール賞新人賞を受賞。近年の主な出演作に、【ドラマ】『沈黙の艦隊シーズン1~東京湾大海戦~』(24・Prime Video)、『ハヤブサ消防団』(23・EX)、『石子と羽男-そんなコトで訴えます?-』(22・TBS)、【映画】『ミッシング』(24)、『沈黙の艦隊』『宇宙人のあいつ』(23)、『ハケンアニメ!』(22)、【舞台】『OUT OF ORDER』『ケンジトシ』(23)など。劇団☆新感線には『Vamp Bamboo Burn~ヴァン!バン!バーン!~』(16)、『狐晴明九尾狩』(21)以来3作目の参加となる。主演ドラマ『Shirink-精神科医ヨワイ-』(NHK)が8月31日より放送スタート。

文=前田美保  写真=佐藤亘
ヘア&メイク=豊福浩一(Good)、スタイリスト=前田勇弥<生田斗真さん>
ヘア&メイク=Emiy、スタイリスト=戸倉祥仁(holy.)<中村倫也さん>

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