食料品からアウトドアグッズまで 今年オープンの古民家ストアで見つける台湾土産
CREA WEB / 2024年8月7日 11時0分
築90年の木造家屋を再利用した、山林がテーマのコンセプトストア
観光客で賑わう永康街から少し南に歩くと、落ち着いた住宅街が広がっています。その一角に今春オープンしたのが、「勤美Okm山物所」。ここは世界的にも珍しい、「山林」をテーマにしたコンセプトストア。大勢の人たちが訪れる人気スポットとなっています。
お店は、緑あふれる路地に並んだ木造家屋。日本統治時代の1930年代に台湾総督府山林課が宿舎として建てたものです。長い時間をかけて修繕されており、本来の姿を生かしつつ丁寧に整備されています。
店内には、山林や自然をコンセプトにしたデザイン性あふれるグッズが並んでいます。お茶やお菓子、スパイス、アロマグッズ、バッグ、食器、アウトドア用品、文房具など、ありとあらゆる商品が揃っています。
日本や欧米の商品もありますが、メインはあくまでも台湾ブランド。その数は全部で140ブランド、合計2,000点におよび、多種多様なブランドに圧倒されます。
館内には研究者とコラボしたという自然生態に関する展示スペースもあり、台湾の山や森について深く学ぶことができます。
また、人気カフェ「COFFEE LAW」が常駐しています。散策に疲れたら、畳敷きの部屋でコーヒーやスイーツをゆっくりと味わってみてはいかがでしょう。
500坪を誇るという敷地には、油杉や朴樹(えのき)など樹齢100年の老樹が保護されています。また、台湾固有種や絶滅危惧種の植物も栽培されています。
建物の隣には「複合森林」もあり、都会の中で森林浴が楽しめます。この空間は火災で消失してしまった木造家屋の跡地で、近所の人たちが樹木を植え、再生させた小さな「森」です。
勤美Okm山物所を運営するCMPグループという企業は、もともと鋳物業のメーカーでしたが、近年は循環経済や持続可能な発展に積極的に取り組んでいます。
コロナ禍を経た台湾では、キャンプやハイキングを愛する若者たちが増えています。そこで、彼らにより深く台湾の風土や自然を知ってほしいという願いを込めて、この場所を整備したそうです。
「Okm(ゼロキロメートル)」とは、登山家はご存知のとおり登山の起点を意味しています。この言葉が示しているように、今後もさまざまな事業を展開していくそうです。
なお、建物の外観や室内、庭園、ビジュアルデザインなどは、いずれも台湾のデザインチームが手がけており、「台湾の今の姿」が感じられるスポットになっています。緑に癒やされながら、お土産探しを楽しんでみてください。
台湾の山の香りを表現したチョコレート
◆海拔巧克力巡禮 9枚入り599元
ビーントゥーバーのチョコレートブランド「TERRA 土然巧克力専門店」とのコラボで誕生したオリジナル商品。台湾の山々の植生をお茶やフルーツ、ハーブなどで表現したというユニークなお菓子です。
チョコレートは3種類あり、「3,952m」と書かれたのは、台湾の最高峰である玉山の海抜を指します。ほのかにキノコやミントのような風味が感じられ、冷涼な気候の森の香りが感じられます。
「2,216m」は、森林鉄道や高山茶で知られる阿里山の海抜。烏龍茶やジンジャーリリー(野薑花)、グアバの葉を用いた香りで、甘いベリーのような風味となっています。
そして、「1,092m」とは台北近郊の大屯山の海抜を指し、マリーゴールドやオールスパイス(多香果)などを用いた香りで、爽やかな柑橘類の風味が感じられます。
それぞれ特色があるので、口に含みながら台湾の山々を思い浮かべてみてはいかがでしょうか。
アウトドアの必需品、万能軟膏
◆山林療癒萬用膏 499元
台湾を代表するアロマテラピーのブランド「肯園」とコラボした商品。イヌコウジュや紅檜精油(ベニヒオイル)、芳香性マリーゴールド精油など、台湾の地に育つ植物を中心に、修復力と保湿力の強いアフリカンシアバターや複数の植物オイルをベースにしています。
ナチュラルな香りで肌への馴染みも良く、アウトドアで痛めた肌を労わってくれると評判。山登りやハイキングのあとに使用したい商品です。
台湾の土壌の色を表現したリサイクルクレヨン
◆0km x 產房 土壤蠟筆組(土壌クレヨンセット) 1,650元
短くなってしまった使い残しのクレヨンを回収し、これを原料とした再生クレヨン。色は植物や季節を表現したものなどいくつかありますが、勤美Okm山物所とコラボしたオリジナル商品は台湾の土壌の色を表現しています。
海辺から台地、丘陵、火山、高山まで、それぞれの土壌は色が異なりますが、これを11色で表しています。シックなアースカラーが目を引く大人っぽい色のクレヨンです。
「產房」は「廃棄物を再利用し、生活に彩りを与えるものを手がけたい」という理念を持つブランド。このクレヨンを使って山や森を描いてみてはいかがでしょう。
デスクワークを楽しくしてくれる付箋&しおり
◆Studio unto Petalnote 1枚240元
やさしい色合いの花の形をした付箋&しおり。これは花びらを一枚ずつ外して使うという遊び心のあるアイテム。メッセージを記入して、資料につけるだけで明るい気分になります。
また、使用していないときは台紙をスタンド代わりにして飾っておくことができます。デスクワーク中に癒やされること間違いなしです。花の種類はバラや朝顔、ツバキ、ポピーなど6種類あります。
台湾×西洋の香りをミックスさせたお香
◆浪活香旅人 250元~1,200元
原料工場「萬吉香料加工場」の3代目が立ち上げたお香のブランド。ここでは、台湾の伝統的な香料や技術、工法を用いながら、若者に人気のパロサントやセージなどの西洋的な香りを組み合わせています。
化学香料は一切用いず、天然の素材のみを使用。どこか懐かしさを感じさせる香りで、誰もが惹きつけられてしまうはず。種類はいくつかありますので、お好きな香りを選んでみましょう。
レトロ模様を用いたモダンなプレート
◆磨石計畫 ミニプレート 六角形480元、円形580元
台湾の古いアパートでは磨石子(テラゾー/人造大理石)の床がよく見られます。近年はこれらを商品のデザインに取り入れるケースが増えています。
こちらの商品は、それをモチーフにしたプレートや置時計など。モダンなデザインの中にも懐かしさが感じられ、部屋に置いておきたくなります。ミニプレートは小物やアクセサリーなどを置くのに重宝します。
台湾の野山を感じられる野草茶
◆桂花野香茶 5パック240元
野草茶専門ブランド「三玉號 野草茶」。ブランドの創業者は大学院時代から山間部の村々を訪ね歩き、各地の伝統的な野草を研究してきたという蘇立中さん。最近ではミシュランのグリーンスターを取得しているレストランのシェフとともに「iá野植風味學」という台湾の野草に関する本を出版しました。
ここでは、「三玉號 野草茶」のオリジナル野草茶をいくつか取り扱っています。「桂花野香茶」は桑の葉やドクダミ、キンモクセイの花などを用いたもので、優雅な香りが感じられます。野草茶と聞くと「苦い」というイメージを抱きがちですが、こちらは飲みやすくアレンジされているので、まったく心配はいりません。
また、以前、本連載で紹介した「山林的香氣糖漿」というシロップも販売されています。こちらは台湾の原住民族の人々がよく用いるスパイス「馬告」や月桃の種、種無しレモンなどを原料にしており、サイダーに加えると、クラフトコーラができあがります。
現在、「三玉號 野草茶」は実店舗がないため、こちらで購入することをおすすめします。
上質な甘さの日月潭産紅茶を用いたお菓子
◆HOHOCHA喝喝茶 日月潭茶豆 130元
台湾中部の日月潭にある紅茶工場が立ち上げたブランド「HOHOCHA喝喝茶」。ここは衛生面にも優れ、高い評価を得ています。新ブランドでは良質な紅茶を用いたお菓子を開発しており、ピーナッツに紅茶の粉をまぶした茶豆や紅茶クッキーなどがあります。まろやかな紅茶風味がたまらないお菓子です。
台湾のコシヒカリ、池上米を用いたエッグロール
◆台東縣池上郷農会 手工米蛋捲(手作りのライス・エッグロール) 4本入り100元
ここでは各地の農會(農協に相当)が手がけた商品を扱っていますが、こちらは台湾の米所、台東県池上郷の農會が作っている米粉を含んだエッグロール。
お米の風味がしっかりと感じられ、ほのかに甘いやさしい味わいです。防腐剤や人工の食品添加物、香料なども一切使用していないので、味わっていると清らかな空気や水に恵まれた台東の田畑が思い浮かんでくるはずです。
勤美0km山物所(チンメイリンケーエムサンウースオ)
所在地 台北市大安區金山南路二段203巷21號
電話番号 02-7755-7526
営業時間 11:00~20:00
定休日 不定休
アクセス MRT古亭駅5番出口から徒歩約10分
https://www.0km.com.tw/
片倉真理(かたくら まり)
台湾在住ライター。1999年から台湾に暮らし、台湾に関するガイドブックや書籍の執筆、製作に携わる。そのほか、機内誌への寄稿や女性誌のコーディネートなども手がけている。
文=片倉真理、撮影=片倉佳史、片倉真理
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