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自分用にもお土産用にも! 創業43年の台北の名店で選ぶ種類豊富な台湾茶と手ごろな茶菓子

CREA WEB / 2024年8月8日 11時0分

ホスピタリティあふれる、居心地の良い茶葉店

 台北の街には茶葉店やティーサロンがいくつもあり、どこへ行こうか迷ってしまうという方も多いはず。そんななかで初心者でも気軽に入れると人気なのが、繁華街・中山にある「新純香」。1981年創業で、日本語が流ちょうな2代目の王昭瓔さんが切り盛りしています。


王さんは、千葉大学で文学を学んでいた才女。明るく優しい人柄で、常連客に慕われています。

 2018年には台北市政府が推進する老舗再生プロジェクト「台北造起來」に選ばれ、内装やロゴ、パッケージなどを一新。リニューアルされた店舗は明るくすっきりとした印象で、以前よりもさらに入りやすい雰囲気になっています。


広いカウンター席があり、ここに座って試飲や茶席体験ができます。

 なんといってもここの魅力は、良質な茶葉が豊富に揃っていること。これは長年にわたり、茶農家との間に厚い信頼関係が築かれていることを示しています。台湾を代表する烏龍茶のほか、最近話題になっている紅烏龍茶や白茶、紅玉紅茶などもあり、なかには茶農家の方と一緒に開発したオリジナル商品まであります。


さまざまな種類の茶葉がずらりと並ぶ棚。とても見やすくなっています。

 茶葉は100g単位で販売しており、ランク別に価格を表記した値段表があるので安心して購入できます。最近は16種類のティーバッグを1袋単位でも購入できるようになったので、気になる茶葉を組み合わせ、お試しで購入するのもおもしろいかもしれません。


パッケージもかわいらしい、ティーバッグのコーナー。

 試飲をさせてくれるのはもちろん、昨年からは3種類の茶葉を飲み比べできる「茶席体験(1人200元)」もスタート。これにはおいしいお茶請けも付いてきます。1~3人までは1組の扱いとなり、3種類の茶葉を楽しめます(4人の場合は4種類の茶葉が楽しめます)。


茶席体験は予約するのがベター。飲み比べをすると、自身の好みを理解できます。

 そのほか、手ごろな値段の茶菓子が充実しているのもこの店の特色。パイナップルケーキや蓮の実パイのほか、舞茸(マイタケ)チップスや椎茸(シイタケ)チップス、竹炭をコーティングしたピーナッツ、ドライフルーツなどがあり、いずれも人気があります。


リーズナブルな茶菓子も豊富に揃っていて、お土産にもできそうです。

 日本人旅行者が集まるエリアだけあって、日本人の常連客が多い店ですが、コロナ禍ではマーケットやイベントに出店し、地元での認知度を高めるよう努力されたとのこと。

「台湾の若者たちはペットボトルやドリンクスタンドを好みますが、最近は本格的な茶葉に興味を持ってくれるようになり、店に買いに来てくれることが増えています」とうれしそうに話す王さん。その姿には台湾茶への深い愛情が感じられました。

 ぬくもりあふれる空間で専門的な知識をわかりやすく説明してもらえるほか、希少な茶葉も置いてあるので、初心者の方でも詳しい方でも必ずや満足されるはず。自分用にもお土産用にも、じっくりと茶葉選びを楽しみたいものです。

人気が高いおすすめの茶葉3選

◆金萱烏龍茶 100g350~650元
◆貴妃蜜香烏龍茶 100g450元
◆紅玉紅茶 100g650元


3種3様の特色をもつ茶葉。台湾は最近、烏龍茶のほかにも紅茶が高い評価を得ています。

 まずは、台湾を代表する茶所、阿里山で栽培されている「金萱烏龍茶」。これは発酵の程度が軽く、ミルクのような香りをもつことで知られています。ここで扱っているのは自然な甘味が感じられる製法で、爽やかな風味が愛されています。

「貴妃蜜香烏龍茶」は、1999年に発生した921大地震(台湾中部大地震)がきっかけで生まれた品種です。台湾中部の南投県にある鹿谷は凍頂烏龍茶で知られていますが、ここは地震で大きな被害を受けました。管理が行き届かなかった茶畑には大量のウンカが発生し茶葉が被害を受けましたが、この茶葉を利用して東方美人茶の製法を応用してみたところ、ライチやドライリュウガンのような香りがするお茶が誕生したといわれています。名前はライチを愛した楊貴妃に由来します。店では鹿谷よりも海抜の高い杉林渓で生産されているものを扱っており、フルーティーな香りに驚かされるはずです。

「紅玉紅茶」は、南投県の風光明媚な日月潭周辺で栽培されている紅茶です。この一帯では日本統治時代から紅茶の栽培が行われてきましたが、戦後は海外の安価な紅茶との競争力に勝てず、長らく低迷していました。その後、921大地震をきっかけに地場産業の復興策として生まれたのが「紅玉紅茶」です。ミントのような香りとまろやかな風味で、渋みが感じられないのが特色です。ミルクや砂糖は一切不要で、ストレートのまま美味しくいただけます。

ここ数年、注目を集めている紅茶のような烏龍茶「紅烏龍茶」

◆丹蜜烏龍茶 100g550元~
◆台東紅烏龍茶 100g800元~


地域によって葉の形状も異なります。王さんによれば、高山紅茶は正式な名前がまだ決まっていないとのこと。台湾茶の世界は常に変化が見られます。

 紅烏龍茶は台湾南東部、台東県鹿野が産地で、十数年前に誕生した比較的新しい製法です。烏龍茶が半発酵であるのに対して、紅烏龍茶は紅茶と同じく完全発酵なのが特色。ルビーのような美しい色合いで、烏龍茶の爽やかさと紅茶の芳醇さがミックスされています。

 現在は、台東県以外でも南投県の杉林渓や梨山といった標高が高い場所でも生産されており、店では台東産と区別するため、「丹蜜烏龍茶」(高山紅茶)と独自に名前を付けています。

 同じ製法であっても産地によって味わいや香りは異なり、「丹蜜烏龍茶」のほうが甘さがよりはっきりしている印象です。好みによって選んでみましょう。

ティーバッグで楽しめる16種類の茶葉

◆四季春茶 1袋30元
◆馬告紅玉紅茶 1袋60元
◆金萱烏龍茶 1袋30元
◆台湾茉莉花茶 1袋30元
◆貴妃蜜香烏龍茶 1袋50元


いろいろな種類のお茶を気軽に楽しめます。

 ティーバッグは「四季春茶」や「金萱茶」「凍頂烏龍茶」「貴妃蜜香烏龍茶」「杉林渓高山茶」など、全部で16種類あります。1袋単位で購入できるほか、箱に5袋、10袋入ったものや10袋入りのバラエティパックもあります。

 なかには、「馬告」といわれる台湾の原住民族がよく使うスパイスを入れた「紅玉紅茶」もあります。これは日月潭産の紅玉紅茶に花蓮産のレモングラスのような風味の馬告を用いたもので、「新純香」のオリジナル商品。ただし、天候不順により、今年は質の良い馬告が収穫できなかったため、現在あるものが売り切れたら品切れとなるそうです。気になる方はお早めに購入してみてください。

 また、ジャスミン茶は市場では中国産のものが多いのですが、ここでは台湾産のものを販売。新鮮なジャスミンの花と茶葉を一緒に燻して香りづけしており、香料などは用いません。そのほか、キンモクセイ入りの烏龍茶も人気があるそうです。

 なお、この店のティーバッグは粉々になった茶葉ではなく、葉の形がそのままの状態で入っています。

食べ始めたら止まらなくなる舞茸チップス

◆秀珍菇酥 60g入り110元


1袋にたっぷりと入っています。粉々にならないように気をつけて持ち帰りましょう。

 店ではさまざまな種類のお茶請けを扱っていますが、個人的にイチオシしたいのは「秀珍菇酥(舞茸チップス)」。サクサクとした食感で、甘味と塩味が絶妙なバランスのお菓子は一度食べ始めたら止まらなくなります。

 ワサビ味もあり、ピリッとした風味が欲しい方はこちらを。キノコなので、食べ過ぎても罪悪感が少なくて済むのがうれしいところ。また、お茶だけでなく、ビールにもぴったりです。舞茸のほか、椎茸チップスもおすすめです。

ピーナッツ好きにはたまらない竹炭ピーナッツ

◆竹炭の花生(竹炭ピーナッツ) 150元


台湾では竹炭が用いられている食品が少なくありません。

 台湾は竹やピーナッツの産地としても知られています。これはその2つの特産品を組み合わせたもので、竹炭粉をコーティングしたピーナッツ菓子です。ポリポリとした食感でほのかな甘さがあり、やみつきになるおいしさです。映える見映えではありませんが、老若男女を問わず喜ばれます。

お茶請けに欠かせないドライフルーツも種類豊富

◆愛文芒果乾(ドライマンゴー) 120g160元
◆台東柴燒鳳梨乾(ドライパイナップル) 120g130元
◆黄金柚皮乾(文旦ピール) 120g130元


質の良いドライフルーツが揃っています。

 茶菓子の定番と言えば、ドライフルーツ。店ではマンゴーやグァバ、パイナップルのほか、文旦の皮やイチゴ、サンザシなど、いろいろな種類があります。台湾のフルーツはそのまま食べてもおいしいのですが、乾燥させたものはより甘さが凝縮されている気がします。

 なかでも台東県にある自然農法を採用したパイナップル農家「阿榮自然農園柑仔店」の炭火で乾燥させたパイナップルは、独特な味わいとなっています。スライスした状態のパイナップルを使っており、花びらのような形をしているのもキュートです。

丁寧に作られたパイナップルケーキと蓮の実パイ

◆鳳梨酥(パイナップルケーキ) 3個135元、6個270元
◆香蘭酥(蓮の実餡入りパイ) 3個195元、6個390元


一口食べるだけで、丁寧に作られているのが伝わってきます。

 店主の知り合いが手作りしているというパイナップルケーキ「鳳梨酥」と、蓮の実餡入りのパイ「香蘭酥」もおすすめ。どちらも中の餡がしっとりと上品な甘さなので、お茶請けにぴったりです。

 特に香蘭酥は、ほかではあまり見かけることがない珍しい商品。蓮の実ペーストにパンダンリーフを絞った汁を加えており、特徴的な緑色の餡となっています。餡の中にクルミが入っているほか、パイ生地の外側にはゴマがまぶされており、飽きの来ない食感です。

新純香(シンツンシアン)

所在地 台北市中山區中山北路一段105巷13之1號1F
電話番号 02-2543-2932
営業時間 9:30~21:30(日曜10:00~18:00)
定休日 無休
アクセス MRT 中山駅2番出口から徒歩約8分


片倉真理(かたくら まり)

台湾在住ライター。1999年から台湾に暮らし、台湾に関するガイドブックや書籍の執筆、製作に携わる。そのほか、機内誌への寄稿や女性誌のコーディネートなども手がけている。

文=片倉真理、撮影=片倉佳史、片倉真理

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