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「決断のきっかけは“人のせい”でもいい」 元“てれび戦士”長谷川あかり(28)が22歳で引退&結婚→料理家になるまで

CREA WEB / 2024年8月18日 11時0分

 SNSで発信しているミニマムでシンプルなレシピが、「いちど作ってみたくなる」「簡単なのに新しいおいしさ」と話題を集め、フォロワーが急増している料理家・管理栄養士の長谷川あかりさん(28)。7月発売の初のパーソナルムック『長谷川あかり DAILY RECIPE Vol.1』も好評を博している。

『天才てれびくんMAX』の“てれび戦士”をはじめ、子役タレントとして活動した後、若くして引退、結婚、大学進学。そして現在は料理家として『キユーピー3分クッキング』講師なども務める長谷川さんに、これまでの日々を語っていただいた。



長谷川あかりさん。

最後の責任を自分が負えば、それでいい

――『長谷川あかり DAILY RECIPE Vol.1』ではインテリア、器使いなどご自身のライフスタイルも紹介されていますね。ベーシックなものを大事にする長谷川さんのレシピのスタンスと通じるものがあって、とても分かりやすく感じました。

 ありがとうございます。「これが長谷川です」っていう人間像がレシピとリンクしていたら、より多くの方に参考にしていただけるかな、と。私自身たくさんのレシピ本を読んできましたが、このレシピは誰が作っていて、その人はどういう生活をしてどういうものを食べているかが見えるものが好きだったんです。

 もちろん「顔はいいから料理だけ見せてほしい」っていう方もいると思いますが、一方で「へぇ、この人はこういうものが好きで、こういう価値観で普段暮らしているんだ。参考にしようかな」と感じてもらえることで、私のレシピがより身近なものになってくれたらいいなとも思っています。

――長谷川さんのレシピには、「あれ、どういう味になるんだろう?」という意外な食材の組み合わせで、でも実際に作ってみると新しいおいしさが発見できる、という楽しさがあります。

 フォロワーさんのコメントにも「長谷川の料理を作る時は、まず最初に信じることが大事だ」とありました(笑)。自分ではそんな突飛なことをしている感覚はないんですけど。でも、そうやって楽しみながら作ってくださっていることは本当にありがたいし、嬉しいですね。

――小学生の頃から子役タレントとしてテレビで活動されていた長谷川さんが、22歳できっぱり引退されて結婚、その後に大学で栄養学を学んで料理家になったという経緯を聞くと、若い時に大きな決断をいくつもされたんだなと驚きます。

 いやー、それほどの決断をしたとは言えないですね。もちろん基本的には全部自分で決めてはいるんですけど、たとえば結婚とか仕事を変えるとか、そういうところに関しては結構、人のせいにしているところがあります(笑)。

――人のせい? どういうことですか?

 どんなことでも、自分で100%自信を持って決断するって、すごく難しいじゃないですか。私も、物事があまり分かっていなかった子どもの時期に「芸能活動をやりたい!」ってその世界に入って、そのままある程度の年まできちゃった時に、辞めるという決断がやっぱりできなかったんですよね。

 ここまでやってきたのにもったいないとも思うし、人から「諦めたんだな」と思われるのもイヤだし、自分自身も負けたような気持ちになるし。だから、辞めるのも苦しい、続けるのも苦しいとなって。

――その時期に結婚が決まったんですね。

 21歳の手前で7歳年上の夫と婚約したんですが、結婚となるとライフステージが変わるわけだし、このまま芸能の仕事を続けなくても別にいいのかってふと気づいたんです。それに、「結婚するから辞めます」って言えば、諦めたみたいな見方もされないんじゃないかと、あんまり良くない考えも芽生えて(笑)。


21歳手前で婚約。結婚は「決断というほど難しくなかった」という長谷川さん。

 結婚に関しては自分一人のことじゃなく二人で決めることで、言ってみれば紙1枚の話で私自身が変わるわけじゃないから、決断というほど難しくなかったんですよね。

 でも、仕事に関しては完全に私一人で決めることだし、いろいろな関わりが複雑に絡んでくるから、より重たく考えてしまっていて。そこに結婚というものが入ってきたことによって、いい具合に背中を押されて、ちょっとそのせいにして(笑)、22歳で芸能の仕事を辞めました。

――確かに、何かの力を借りることで決断できる時もありますよね。

 決断に迷っている人って、きっとすごく真面目なんですよね。でも、決断のきっかけはもっと人のせいにしちゃっていいんじゃないかな。

 最後まで人に責任を押し付けちゃいけないけれど、誰かや何かがきっかけで「じゃあ仕方ないか(笑)」みたいな感じで方向転換することは全然悪いことではないと思うし、そうやっていかないと、多分心がすごくしんどくなる。最後の責任を自分が負えば、それでいいんだと思います。

食べられなかった高校時代が料理のきっかけに

――結婚後に短期大学に入学し、さらに4年制大学に編入して管理栄養士の資格を取得されたんですよね。栄養学を学びたいと思ったきっかけは何ですか?

 高校生の頃なんですけど、子役から大人の役者に切り替わるタイミングというか、なかなかオーディションに受からなくて、結構気持ち的に落ちてご飯も食べられない時期があったんですね。

 実家の食事も喉を通らなくて、でもやっぱり何か食べなきゃいけないから、何だったら食べられるだろうってレシピ本や料理雑誌を見始めて。

 割とミーハーな人間なので(笑)、「こんなステキなご飯だったら食べたいな」と思えるような料理というか、自分の食欲のツボを探すためにあれこれ見ているうち、「こんな料理があるんだ」とか「これどんな味がするんだろう」って興味が湧いてきたんです。


料理で「自己肯定感のようなものを少しずつ取り戻せるようになりました」

――最初は食欲を取り戻すための作業だったんですね。

 はい、そこから「作りたい」というほうに気持ちが向かっていったんです。作りたい料理をどんどん作っていったら、家族や友だちがすごく喜んでくれて。自分がやりたくて作っているのに、なおかつ本に書いてあるとおりにただやっているだけなのに(笑)、こんなに人に喜んでもらえるなんてすごい!ってびっくりしました。

「どうやったらオーディションに受かるのか」とか、「どうやったら人に求められるのか」といったところですごく気持ちが落ちていた時期の私にとっては、「書いてあるとおりに料理するだけでこんなに人に喜んでもらえる世界があるのか!」ってすごく嬉しくて。

 自分が必要とされている感じをちょっと思い出したというか、自己肯定感のようなものを少しずつ取り戻せるようになりました。

――人に喜ばれることがエネルギーになったんですね。

 芸能活動をしていた頃は、何をやればオーディションに受かるのかとか、正解がないことに悩んでいました。

 でもレシピ本は、開くとそこに答えが載っている。「こうしてください」と書いてあるものに沿って作ればちゃんとおいしい料理ができて、めちゃくちゃ喜んでもらえる。

「すごい楽しいじゃん!」みたいな感覚があったので、それをみんなにも味わってもらいたいという想いが、今の自分の仕事につながっているところはあります。

「ちょっと頑張って大学に行ってみたら?」

――料理を作ることが大好きなのに、調理ではなく栄養学を学ぼうと決めたのはなぜですか?

 まず「大学に行きたい」っていう気持ちがあったからなんです。高校卒業後は芸能活動に専念していたので大学に行ってみたいという想いがありましたし、結婚した時に夫が「あかりちゃん、ちょっと頑張って大学に行ってみたら?」って言ってくれたこともあって。

――ご主人が?

 はい。それまでずっと同じことをやってきた人生だったので、「世の中にはいろんな考え方があるし、他にやりたいことがすぐ見つかるわけじゃないだろうから、大学で何かを学んで、ちょっと時間をかけてやりたいことを探してみてもいいんじゃない?」って。

 それで自分が興味のある“食”とリンクする分野を学ぼうと、まずは短大の栄養学科に入学しました。

短大から大学へ、管理栄養士の資格を取った理由

――念願かなって栄養学を学び始めたわけですね。

 でも、実際に学んでみると、栄養学って期待していたものと違っていたんですよ。

 私、もっとポップなものだと思っていたんですよね、栄養学って。「この栄養素を摂るとお肌がピカピカになります」とか(笑)、何か魔法の薬を教えてくれるような学問をイメージしていたんです。

――なるほど、栄養学と聞くと確かにそういう期待をしてしまうかも。

 つまり、巷では栄養学のそういう側面ばかりがもてはやされているんでしょうね。「美肌に効く」とかのほうがキャッチーだし面白いから。

 でも実際に大学に入ったら、もう全然違う。まず、食べ物は薬じゃない。

 当たり前なんですけど、何かを食べて直ちにどんどん体が変わるようなことがあってはならないし、そういうものじゃないところが食べ物の良さなんだと。だから、想像していたような、分かりやすい面白さのものじゃないんだって初めて気づいたんですよ(笑)。


実際の栄養学はイメージとまったく違ったという長谷川さん。

 それで短大に2年通ってようやく分かったのが、栄養学はまだ何も分からないってことで(笑)。最低でもあと2年は勉強しないとだめだと思い、そのまま大学に編入して学び、管理栄養士の資格を取りました。

「おいしいから続けてみよう」からつながる健康が理想

――大学卒業後、管理栄養士としての仕事ではなく、レシピ発信の道を選んだのはどうしてですか?

 4年間勉強しましたけど、皆さんに分かりやすく「栄養学ってこういうものだよ」って伝えられるほどの知識はまだ会得できてないと感じました。そう考えると、レシピってすごく良い存在だと思ったんです。

 レシピという日常で一番身近な媒体を通して、私が栄養素のバランスが何となく取れる料理を発信し続ける。それを試した人が、「あ、長谷川のレシピはおいしいから続けてみよう」って何となく継続してくださることによって健康になっていく。それが一番理想的なんじゃないかなって。

――管理栄養士という肩書きにこだわらず、日々のレシピから発信するということですね。

 やっぱり「管理栄養士です」っていう立場でものを言うと、結局難しい話になってしまって皆さんに響くものじゃなくなっちゃう。それより大スターが「毎日玄米を食べています」って言ったほうが興味を引くわけで(笑)。

 せめてレシピを届ける人間としてちょっとでも影響力を持って、バランスの良いおいしいレシピをコンスタントに発信していく、それをコンスタントに作っていただくというほうが、行動変容につながるんじゃないかと考えています。

長谷川あかり(はせがわ・あかり)

1996年埼玉県生まれ。料理家、管理栄養士。10歳から子役・タレントとして活動、『天才てれびくんMAX』(NHK教育テレビ、現Eテレ)をはじめ、さまざまな番組に出演する。大学で栄養学を学んだ後、SNSで始めたレシピ投稿が大反響を呼び、人気アカウントに。現在、雑誌、Web、テレビなどで幅広くレシピ開発を行っている。近著に『長谷川あかり DAILY RECIPE Vol.1』(扶桑社)、『いたわりごはん2 今夜も食べたいおつかれさまレシピ帖』(KADOKAWA)、『材料2つとすこしの調味料で一生モノのシンプルレシピ』(飛鳥新社)など。

文=張替裕子 (Giraffe)
撮影=杉山秀樹

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