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たっぷりの桃とハーブ、シャンパンも パティスリーの奥にある隠れ家バーで 大人のために完成したパフェを

CREA WEB / 2024年8月10日 11時0分


バーのような空間で。

 美しく華やかで、おいしいものが彩り豊かに閉じこめられたパフェ。その人気は止まるところを知らず、美しさも味わいも日々磨きがかけられ、進化しています。

 グラスのなかで醸し出されるハーモニーは、まさにparfait(フランス語で「完璧」の意味)! 心躍る魅力的なパフェをご紹介します。

 今回は中野坂上にあるショコラティエ「ROND-POINT(ロン・ポワン)」へ。ペアリングも楽しめます。


扉の向こうにある甘いもの好きのための隠れ家


オーナーシェフ・ショコラティエの田中丸博文さん。

 まるでカクテルのようにハチミツやハーブの香りを繊細に取り入れた、素材の風味鮮やかなボンボン・ショコラが力強いインパクトを放つ、東京・中野坂上のショコラトリー「ROND-POINT(ロン・ポワン)」。カカオの風味際立つ焼き菓子や、緻密に構築された味わいが光る生菓子も人気を集めています。


奥の棚が扉です。

 そのスタイリッシュな店内にあるのが、ぱっと見ただけではわからない秘密の隠し扉。その先にはなんと、5つのハイチェアーが並ぶシックな装いのバーが現れます。 ミクソロジーカクテルに興味を持ち、バーに通ったり本を読んだりして勉強を重ね、バーテンダーから基本的なテクニックも学んだ経験を持つ、オーナーシェフ・ショコラティエの田中丸博文さん。


ほの暗いカウンター。

「カクテル的な発想は、とてもおもしろく、チョコレートにも取り入れています。カクテルをつくるのも好きですし、フランスのレストランで働いた経験から、デザートをつくるのも好きなので、自分でお店をやるならばバーをつくりたいし、お客様の目の前でデザートを提供できる場所をつくりたいと思っていました」と、田中丸さん。

 そして、昨年(2023年)11月からは、パフェの提供をスタート。それまではデザートコースを提供していましたが、もう少しライトに楽しんでもらいたいと、パフェに。


まさに目の前で。

「パフェも、ずっとやりたかったんです。デザートコースよりもライトとはいえ、僕らしくちゃんとつくりこんだパフェにしたい。僕がカクテルで味わっているようなわくわくするものを、パフェで体感していただきたいと思っています」と、田中丸さんは話します。

 季節の素材を主役にしたパフェは、常時2種類。ペアリングのドリンクもアルコール、ノンアルコールともに用意され、ときにはオリジナルのカクテルも。その他、さまざまなお酒やこだわりのお茶やスペシャルティコーヒーも味わうことができ、大人なパフェの楽しみが広がります。

◆桃のパフェ


「桃のパフェ」3,520円。2024年8月末まで提供予定。

 薄い桃のチュイルをまとった可憐な姿で登場するのは、旬の桃を使った「桃のパフェ」です。

「僕のなかでは、桃のデザートコースをひとつにまとめたようなパフェ。上から下へと食べ進めるにつれて、移り変わる味わいを楽しんでいただけるかと思います」と、田中丸さん。


チュイルからも桃が香る。

 提供直前にフレッシュなミントの葉をグラス全体にふわりとなすりつけ、まとわせたさわやかな香りが食欲をそそります。

 まず桃そのもののおいしさを感じてほしいと、トップにはフレッシュな桃(食べやすいよう、隠し包丁が入れられているという細やかな心配り!)をたっぷりと。桃とグレープフルーツ、ミントのソルベと混じり合い、すっきり、清涼感あふれる桃の魅力を満喫できます。


丁寧に青ユズで和えた桃。

 その下には、さわやかな青ユズで和えた角切りの桃と、ヒューガルテン(ベルギーのホワイトビール)とミントのアイスクリームが。「桃のニュアンスを持つヒューガルテンにフレッシュな桃のピュレ、フレッシュミントを合わせてアイスクリームにしました。青ユズの桃と一緒に食べると、非常に相性がいいと思います」と、田中丸さんは語ります。


ひとつひとつのパートの香りを楽しんで。

 そして、ジャスミンとハチミツのクレーム・シャンティイがまろやかさをプラス。ジャスミンティーのオリエンタルな花の香りと、ハチミツの個性的な風味と甘みが、桃のみずみずしさをやさしく包み、おだやかに調和します。

 そこから一転、力強い酸味と果実味、赤い色で鮮やかなアクセントを添えるのが、プラムとそのソースです。「桃の系統ではありつつ、異なる酸味としてプラムを合わせました。フレッシュなプラムをつぶして甘さだけ調え、角切りにしたプラムに和えています」と、田中丸さん。

 さらなるサプライズは、グラスからも透けて見える一粒のティムールペッパー(ネパールの山椒の一種)です。カリッと噛むと、しびれるような刺激と柑橘を思わせるさわやかな香りが弾けて、目が覚めるほど鮮烈! 「桃は淡い味わいなので、アクセントとしてティムールペパッパーを加えました。和食にわさびを添えるイメージですかね。香りが桃にも合うと思います」。


ティムールペッパーが浮かんでいるように見える。

 そしてフィナーレは、シャンパンのジュレと桃のスパイスコンポート。ジュレにも、レコルタンマニピュラン(自社で栽培醸造を行なう小規模生産者)のシャンパンが使われ、高貴な香りが広がります。コンポートは八角、シナモンを加え、インパクトのある味わいに。めくるめく現れるさまざまな桃の表情を、最後まで楽しめます。


シャンパンは1杯2,750円、2杯目4,950円。

「桃のパフェ」とのペアリングドリンクは、「断然シャンパンです。黄金色に輝く高貴な飲み物で、ブドウの力強さにあふれ、桃のトロッと甘い感じに微発砲のシャンパンがよく合います」と、田中丸さん。こちらも、レコルタン・マニピュランのシャンパンが提供されます。

◆無花果のパフェ


「無花果のパフェ」3,520円。9月末まで提供予定。

 8月からは、イチジクの魅力を余すことなく落とし込んだ「無花果のパフェ」が登場。「イチジクはキャラメルやスパイスとも相性がいいですが、今回は青みや清涼感のあるイチジクをイメージして、果実の味と香りを最大限に生かしました」と、田中丸さん。


はちみつのチュイル。

 フレッシュなイチジクとチュイルがあしらわれたトップに鎮座するのは、イチジクの葉とヨーグルトのアイスクリームです。そのさわやかなことと言ったら!

「イチジクは、味の主張がおだやかで、表現するのが難しい部分もありますが、葉を使うとイチジクならではの香りと味わいが強烈に出るんです」という言葉通り、口溶けとともに力強いイチジクの香りが押し寄せて、清々しさが口いっぱいに。ハチミツのクレーム・シャンティイがそっと寄り添います。


イチジクの葉の風味が広がるヨーグルトのアイスクリーム。

 その下から現れるリンゴのソルベは、アダムとイブのエピソード(リンゴを食べ、イチジクの葉で体を隠し、エデンの園から追放される)にちなんだ、田中丸さんの遊び心。カルバドス(リンゴのブランデー)を造る醸造家によるジンも加えられ、リンゴの果実味がよりクリアに。しゃりっとした食感と清涼感が心地よく喉を通り抜け、フレッシュなイチジクとさわやかにマッチします。

 さらに、セミフレッドを思わせるひんやり食感のハチミツとレモンのムースは、角切りにしてイチジクとともに。ハチミツとレモンの香りをまとわせた細かい角切りリンゴのマリネが、シャキシャキとしたアクセントを添えます。


こちらも季節の香りを重ねて。

 そして、グラスの底から最後に現れるのは、夏らしくさわやかで青みのある香りを放つディルのジュレと、イチジクのソースです。イチジクのソースは、すり潰したイチジクに、イチジクの葉の香りを移した米油と、イチジクのフレッシュな葉を漬け込んだウォッカが加えられ、これがまた、ハッとするほど風味鮮やか。別添えのソースとしてもパフェとともに提供され、途中でかければ、イチジクの香りをググッと増幅させる変化球に。

 夏の陽射しと緑あふれるイチジクの庭に立つかのような、みずみずしい夏の香りに包まれて、心も体もリフレッシュしていくのを感じます。


ペアリングのドリンクは「フィグリーフウォッカ、ソーテルヌ、トニックウォーター」1,320円。

「無花果のパフェ」のペアリングドリンクには、オリジナルのカクテルを。パフェのソースに使われているものと同じく、フレッシュなイチジクの葉を最低5日間漬け込んで、香りを移したウォッカに、ソーテルヌ(甘口の貴腐ワイン)と、トニックウォーターを合わせて、果実の香りたっぷりに。甘やかさがイチジクと同調し、味わいをより一層深くします。

「デザートであれ、チョコレートであれ、目の前にある素材に自分が欲しいと思う味や香りをちょっと加えるだけで十分であり、複雑でテクニカルなことをやる必要はないというのが、僕の考え。和食やカクテルのような感覚ですね」と話す、田中丸さん。


シェフのお話を聞きながら食べられるのも楽しい。

 デザートコースが握り寿司とすれば、パフェは海鮮丼だといい、「デザートコースの世界観をぎゅっとひとつにまとめたのがパフェで、お得セットというか、ちょっとずるい食べもの。デザートコースよりもポップでわかりやすく、多くの人に楽しんでいただける食べものだと思っています。そんなパフェを入り口として、『バーはちょっと敷居が高くて入りずらい』という人にもバーの楽しみを知っていただけたら、僕としてはとてもうれしいです」。

ROND-POINT(ロン・ポワン)


外観。

所在地 東京都中野区中央2-47-2
電話番号 03-5989-1585
営業時間 <バー>13:00~14:20、14:45~16:05、18:00~19:20、19:30~20:50
日曜は12:30~13:50、14:15~15:35、16:00~17:20
<物販>11:00~19:00
定休日 月曜、不定休
●バーは予約制
Instagram @rondpoint_hirofumi_tanakamaru

文=瀬戸理恵子
写真=鈴木七絵

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