【CREA夜ふかしマンガ大賞2024】《1位~5位》大賞に輝いたのは『じゃあ、あんたが作ってみろよ』
CREA WEB / 2024年9月6日 0時0分
発表!CREA夜ふかしマンガ大賞2024
夜な夜なマンガに夢中になる大人が急増する中、一昨年に誕生した「CREA夜ふかしマンガ大賞」。
眠りにつく前の自分だけのひとときに、ページをめくりながら癒され、息を呑み、泣いて笑って──。
日常のあれこれを忘れさせ、新しい世界に連れ出してくれる、今年もそんな名作が揃いました!
CREA夜ふかしマンガ大賞とは…
マンガ好きの31名の選考委員とCREA編集部員、そして読者の投票により選ばれた「思わず夜ふかしして読みたくなる」そして、「いま、CREA読者に本当におすすめしたい」作品に贈る賞。2023年7月~24年6月に単行本の新刊が発売された(ただし、合計5巻以内)、もしくは、雑誌などに最新話が発表された作品から選出。
◆1位『じゃあ、あんたが作ってみろよ』谷口菜津子
「男らしさ」「女らしさ」という言葉さえとっくにアウトな現代でも、それにこだわる人は絶滅していないのが現状。本作の主人公・勝男も見た目とキャリアこそハイスペックでも中身はバリバリの「昭和男」です。
自分は台所に立たないくせに、交際6年目の恋人・鮎美の手料理に上から目線でアドバイスする始末。完璧人生まっしぐらのつもりでしたが、なんと鮎美にプロポーズをスパッと断られ──と、痛快なイントロでスタートするのですが、この作品はいい意味で予想を裏切ってくれます。
悲嘆にくれる勝男は料理に挑戦。その難しさを知り、恋人に見放された自分から「変わりたい」と涙をこぼすのです。もちろん身についた時代遅れのジェンダーロールはすぐには変わりません。ですが、その辺りを同僚にツッこまれつつ料理に勤しむ勝男の姿がかわいくて、気付けば応援目線に。
さて、一方の鮎美も「男に愛される女らしさ」を目指してきたため「自分の“好き”がわからない」女性。気付きを得た彼女もまた「変わる」にチャレンジしていきます。現代的なテーマの物語を明るく描いた意欲作に、読者と選考委員からの圧倒的な支持が集まりました。笑って共感して、気持ちが軽くなる読み心地です。
「ジェンダーと言葉にしづらいあれこれがチャーミングに描かれていて最高」(ライター 井口啓子さん)
「毎度のことながら谷口作品なのでごはんがめちゃくちゃおいしそうです」(イラストエッセイスト 犬山紙子さん)
「自分が食べたいものを自分で作るって究極のセルフケアのひとつなのかも」(フリーアナウンサー・俳優 宇垣美里さん)
「まさか男性側を応援することになるとは……」(お笑い芸人 江上敬子さん(ニッチェ))
「この作品を読んで『人って気付けば変われるのかも!?』と思えてきました」(ブックライブ書店員 書店員すず木さん)
「『ざまぁ!』からの『このカップルどうなるの!?』という楽しみもあって良いです」(ジュンク堂書店池袋本店コミック担当 八木泉さん)
ライター
井口啓子(いぐち・けいこ)さん
イラストエッセイスト
犬山紙子(いぬやま・かみこ)さん
フリーアナウンサー・俳優
宇垣美里(うがき・みさと)さん
お笑い芸人
江上敬子(えのうえ・けいこ)さん(ニッチェ)
ブックライブ書店員
書店員すず木(しょてんいん・すずき)さん
ジュンク堂書店池袋本店コミック担当
八木泉(やぎ・いずみ)さん
◆2位『どくだみの花咲くころ』城戸志保
主人公は生粋の優等生で「触らぬ神に祟りなし」タイプの清水くん。かんしゃく持ちで度を越したマイペース変人である信楽くんとは距離を置いていたのですが―図工の時間に盗み見た彼の紙粘土作品に心を奪われ、隠れファンに。ひそかに信楽くんを観察し、その創作物に衝撃を受けて大まじめにどハマりしていく姿がおもしろすぎ!
信楽くんと接するうちに、まっとうでソツがないキャラのはずの清水くんのマヌケな部分がむき出しになってくるのも楽しみどころです。
まだ“友情”と呼ぶには生煮えすぎるふたりの関係性はどのように熟していくのか。予測不能な行動が展開されるこの小学生ワールドは極上のリラックス空間です。
「こんな魅力的なキャラクターを表現できる城戸先生は人生何周目なのでしょうか?」(honto コミック担当 荻野晶さん)
「『生きづらさ』系に見せかけつつなんだかずっとトボけている心地よさ」(編集者・元「このマンガがすごい!」編集長 薗部真一さん)
「小学生男子ふたりの関係性の真ん中に創作物があるという設定がエモすぎて……」(ライター・編集者 山脇麻生さん)
honto コミック担当
荻野晶(おぎの・あき)さん
編集者・元「このマンガがすごい!」編集長
薗部真一(そのべ・しんいち)さん
ライター・編集者
山脇麻生(やまわき・まお)さん
◆3位『環と周』よしながふみ
年齢も性別もさまざまな、人間同士の「好き」の感情をやさしく紡ぐ連作短編集。現代の夫婦、明治時代の女学生同士、独身女性と少年、復員兵の男たちに江戸時代の男女―これらの主人公の名前は全話「環」と「周」。本作はいろいろな時代に生きていた環と周の物語です。
常にそばにいるとは限らないし、激しくむさぼるような愛でもない。しかし、たったひとりの特別な相手に注がれるまなざしのかけがえのなさが深く心にしみ入ります。
この世に生まれ、大切にしたい人とめぐりあい……しかし、別れは必ず訪れる。その理を広い視野でながめ、他人と幸せな瞬間を共有するという奇跡に感謝したくなります。くり返し読むほどに味わいを増す一冊。
「人生のままならなさと、確かに存在した幸せな瞬間と。生きるということを噛みしめるような作品」(フリーアナウンサー・俳優 宇垣美里さん)
「内容や表現が凄いのはもちろん、1巻で完結する連作として怖いぐらい完璧」(ライター 門倉紫麻さん)
「一話一話が舞台を観に行ったような充実感」(マンガ司書 みさき絵美さん)
フリーアナウンサー・俳優
宇垣美里(うがき・みさと)さん
ライター
門倉紫麻(かどくら・しま)さん
マンガ司書
みさき絵美(みさき・えみ)さん
◆4位『ボールアンドチェイン』南Q太
高校生のひとり息子は愛おしく“そこそこ幸せな専業主婦”をやって来たと思いたい。けれど、夫とは家庭内別居状態の〈あや〉。
もうひとりの主人公は、性自認に揺らぐ会社員の〈けいと〉。恋人の独占欲、けいとを理解することなく自分の理想を押し通そうとする態度に辟易し、彼から離れていきます。
“ボールアンドチェイン”とは「鉄球と鎖」、すなわち足枷のこと。知らないうちに自分を縛りつけているのは社会なのか、それとも自分自身なのか。異なる世代のふたりを軸に、性別やそれに基づく古い常識にとらわれずに生きるための道程を丁寧に描く物語です。すべての人にとって間違いなく「我が事」である―己を顧みながらじっくり読みたい、今年一番の話題作。
「重要課題を日常的な物語として読ませる巧みさに感服します」(編集者・ライター・作家 粟生こずえさん)
「正体不明な息苦しさから脱却するヒントを得られる作品」(ブックライブ書店員 書店員すず木さん)
「古い性別役割や結婚観と、アイデンティティとの戦いを描く」(少女マンガ研究家 和久井香菜子さん)
編集者・ライター・作家
粟生こずえ(あおう・こずえ)さん
ブックライブ書店員
書店員すず木(しょてんいん・すずき)さん
少女マンガ研究家
和久井香菜子(わくい・かなこ)さん
5位『カメレオンはてのひらに恋をする。』厘てく
オーディションに落ち続けて自信喪失していた俳優の藤永と、先天性難聴のケイトが心を通わせていくBL作品。繊細になめらかに描かれる手話の動きの艶めいた美しさ、相手が何を伝えようとしているか見逃すまいとする熱い瞳に魅了されます。
当初、手話ができなかった藤永が芝居の応用で言葉を伝える姿には目から鱗。その“表現”の才能をケイトは≪伝えたい気持ち 伝えるしあわせ 知ってる≫と評します。
言葉を交わすこととはこんなにエモーショナルな行為だったのか。体の動き、目、表情、手話と発話と―すべてを存分に使って真摯にコミュニケーションするふたり。その愛にあふれたやりとりはまぶしく、崇高にさえ映るのです。
「コミュニケーションの表現方法は唯一無二。漫画だからできる手法に鳥肌が立ちます!」(TikTokクリエイター 書店員はなさん)
「真っ直ぐ向かい合うふたりの姿は美しく、あたたかい愛に満ちている」(コミック編集者 藤原めぐみさん)
「伝えること、理解しあうことの重要さを教えられる、心震えまくりの作品です」(アニメイト書籍担当 牧野麻紀子さん)
TikTokクリエイター
書店員はな(しょてんいん・はな)さん
コミック編集者
藤原めぐみ(ふじわら・めぐみ)さん
アニメイト書籍担当
牧野麻紀子(まきの・まきこ)さん
■電子書店各社で受賞作品の試し読み増量・クーポン配布中!
ebookjapan
https://ebookjapan.yahoo.co.jp/special/article/ja0112.html
BookLive
https://booklive.jp/feature/index/id/tk_creamanga2024
honto
https://honto.jp/cp/ebook/2024/crea-manga-awards.html
コミックシーモア
https://www.cmoa.jp/special/?page_id=240906
※クーポン配布キャンペーンはコミックシーモアのみ。
※試し読み増量・クーポン配布には有効期限がある場合があります。詳細は各社サイトをご確認ください。
文=粟生こずえ
写真=平松市聖
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
山内マリコが初めて地元・富山を舞台にした小説『逃亡するガール』11月20日刊行
PR TIMES / 2024年11月20日 13時45分
-
多様性に配慮したせいで不評とされる「アンノウン9」をマンガ家がプレイした感想は……「ちょっと違う」
ITmedia NEWS / 2024年11月17日 12時20分
-
ネットで酷評されているドラマ「龍が如く」 龍が如く大好きマンガ家も酷評するこれだけの理由
ITmedia NEWS / 2024年11月10日 12時20分
-
1話5分で読める「都道府県×ミステリー」短編集『5分でスカッとする結末 日本一周ナゾトキ珍道中 東日本編/西日本編』が発売!
PR TIMES / 2024年11月8日 19時15分
-
ジャンプ作品なのに表紙が“花一輪”。担当が「編集部に衝撃が走った」と語る、マンガ『夏の終点』作者の素顔は?
CREA WEB / 2024年10月26日 11時0分
ランキング
-
1今田耕司 セット裏で「くっついてくる」大物女優 大胆行動でスタッフ全員に「あの2人デキてた?」と…
スポニチアネックス / 2024年11月23日 21時52分
-
2「M-1」再び波乱続出 ファイナル経験コンビ多数落選にネット衝撃「信じられん」「やっぱ狭き門」
スポニチアネックス / 2024年11月23日 20時19分
-
3「放課後カルテ」第7話 平岡祐太“藤岡”の生徒への声かけ&伏線回収に注目集まる
cinemacafe.net / 2024年11月23日 23時45分
-
4A.B.C-Z塚田僚一プロデュース“塚☆リカ”活動休止を発表 本人から申し出「お勉強をしたい」「旅に出たい」【全文】
モデルプレス / 2024年11月23日 19時0分
-
573歳・奈美悦子、今年5月に犬の散歩中に転倒して大ケガ 救急車で搬送され緊急手術に
マイナビニュース / 2024年11月24日 5時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください