2024年秋に読みたい「食」マンガ19選 小説家、書店員、お笑い芸人など各界のマンガ好き推薦!「真夜中にお腹が鳴る」
CREA WEB / 2024年9月6日 0時0分
食べることは生きること! 料理を通して成長したり、美味しいごはんで幸せになったり。読めばお腹が鳴ること間違いなしの「グルメマンガ」を各界のマンガ好きのみなさんが厳選。名作から新作まで、いま読むべき19作品をご紹介します。
◆『三ツ矢先生の計画的な餌付け。』松本あやか/ぶんか社
新米編集者の石田友也は、入院した先輩のピンチヒッターで、急きょ有名料理研究家三ツ矢歩の原稿の受け取り担当に任命される。先生にふるまわれる料理にすっかり胃袋と心をつかまれ……。
「ドラマ化されているふんわりボーイ・ミーツ・ダンディ・グルメラブ(笑)。ナイスミドルな料理研究家と、腹ペコ元球児との『ごはん』を通しての優しいラブが展開されます。お料理がおいしそう! そして腹ペコ大型ワンコ系彼の食べっぷりに三ツ矢先生でなくても惚れます。エロいシーンはないのでご安心を。これを読んで、雲田はるこ先生の『R先生のおやつ』を思い出しました。こちらもイケオジR先生の料理に見事に餌付けされるイケメン助手君が出てきます。お目目と心が満たされます!」(牧野さん)
推薦者
アニメイト書籍担当
牧野麻紀子(まきの・まきこ)さん
アニメイトの書籍販促(主にBL)を担当。「全国にお店があるので、ぜひ、お近くのアニメイトへ!」
https://www.animate.co.jp/
◆『らーめん再遊記』原作:久部緑郎、作画:河合単/小学館
ラーメン界で一大ブームを牽引したカリスマが、さまざまな場所で新しいラーメンを編み出していくグルメマンガ。
「ここにきて、またさらに面白くなっている最高のグルメマンガだと思います。泣きながらお腹が空く、そんな感情このマンガくらいしかない気が」(佐久間さん)
推薦者
テレビプロデューサー
佐久間宣行(さくま・のぶゆき)さん
話題の番組を数多く手がけるほか、演出家、ラジオパーソナリティとしても活躍。近著に『ごきげんになる技術 キャリアも人間関係も好転する、ブレないメンタルの整え方』(集英社)。
◆『オリオリスープ』綿貫芳子/講談社
デザイン事務所で働く原田織ヱは装丁デザイナー。食べることが大好きな彼女は、なかでも特にスープが大好きで、自宅で、レストランで、職場の給湯室で季節の「スープ」をおいしく食べる。思わず食べたくなるスープの物語。
「出てくる四季折々の食材を使ったスープのなんとおいしそうなことか! たくさんレシピを真似して作ってみたし、立ち止まりたくなるときだって、とりあえずごはん食べよう、食べられる人は強い! と元気が出てくる。読むとほっこりと幸せになる作品です」(宇垣さん)
推薦者
フリーアナウンサー・俳優
宇垣美里(うがき・みさと)さん
2014年にTBSに入社。19年に退社し、現在はドラマや舞台出演、執筆業など多方面で活躍。「週刊文春」で「宇垣総裁のマンガ党宣言!」を連載中。
◆『ハクメイとミコチ』樫木祐人/KADOKAWA
森で暮らしている小さなふたりの小人、ハクメイとミコチ。家を造ったり、葉っぱを傘にしたり、昆虫や鳥の背に乗ったり……。1話完結のほっこりとした森の日常劇。
「4巻の最後に収録されている列車旅からハクミコ沼にはまりました。寒い冬、夜汽車の中の売店でおばあちゃんが食べる揚げ山芋のしゃくしゃく感。凍える真夜中に途中駅で買った熱々の生姜天とお茶。そして、列車の乗務員が無料でくれたあんまりおいしくはないけど温かく優しいコーヒー。ハクミコに出てくる食べ物はなにもかもがうまそうで、真夜中にお腹がぐうぐう鳴る」(深緑さん)
推薦者
小説家
深緑野分(ふかみどり・のわき)さん
2010年、「オーブランの少女」で第7回ミステリーズ!新人賞人賞佳作に入選。13年に入選作を表題作とした短編集でデビュー。『戦場のコックたち』(東京創元社)『スタッフロール』(文藝春秋)で直木賞候補、本屋大賞ノミネート。『ベルリンは晴れているか』(筑摩書房)でTwitter文学賞国内編第一位、直木賞候補、本屋大賞ノミネート。
◆『きのう何食べた?』よしながふみ/講談社
2DK男ふたり暮らし。毎日ちゃんと仕事してごはんを作って一緒に食べる。弁護士の筧史朗と美容師の矢吹賢二の食生活をめぐる物語。
「これを超えるグルメマンガに出合える気がしません。作品としても抜群に面白いですし、メニューのチョイスが絶妙なんですよね。一時期、本作の影響でラタトゥイユづくりにハマりました」(SYOさん)
推薦者
物書き
SYO(しょー)さん
映画雑誌の編集などを経て独立。映画やドラマ、マンガ、アニメといったエンタメ系からライフスタイルまで幅広く執筆。トークイベントや映画情報番組などにも出演。
◆『目玉焼きの黄身 いつつぶす?』おおひなたごう/エンターブレイン
主人公の田宮は、恋人のみふゆと目玉焼きの食べ方を巡ってケンカをする。以来、自分とは異なる周囲の人たちの食べ方が気になり、仕事関係でも苦悩していく。
「グルメマンガが大好きなのですが、これは食べることが大好きな人にはブッ刺さるマンガだと思います。いつも食事をするときに感じる、少しの疑問や、人との違いを、これでもかと感じさせてくれるギャグマンガ。グルメ×ギャグの中では、私はトップだと思っています」(江上さん)
推薦者
お笑い芸人
江上敬子(えのうえ・けいこ)さん[ニッチェ]
2005年、近藤くみことともにお笑いコンビ・ニッチェを結成。「王様のブランチ」(TBS)「ノンストップ!NONSTOP!」(フジテレビ)などにレギュラー出演中。島根県のふるさと親善大使「遣島使」。
◆『めしばな刑事タチバナ』原作:坂戸佐兵衛、作画:旅井とり/徳間書店
とある警察署に転属してきた立花刑事。食についての知識が群を抜く立花刑事が、容疑者や同僚相手に食事に関するうんちくを語っていくグルメマンガ。
「50巻を超えましたが、1話完結なのでどこから読んでもおすすめ。最近はレシピが登場するエピソードも増えましたが、どれも簡単でおいしくておすすめです」(梅本さん)
推薦者
ブログ「マンガ食堂」管理人
梅本ゆうこ(うめもと・ゆうこ)さん
マンガに登場する料理を再現してブログ「マンガ食堂」で紹介。普段は会社員兼主婦。主な著書に『マンガ食堂』(リトル・モア)。
◆『月読くんの禁断お夜食』アサダニッキ/講談社
昼は前向きなパーソナルジムのトレーナーながら、夜になるとネガティブの波にのまれてしまう御神そよぎは、ある日、料理上手な謎多きイケメン、月読悠河と出合う。月読が作るおいしい夜食に翻弄され、癒しのひとときを堪能するそよぎの秘密のお夜食事情を描いたラブコメ。巻末には作中に登場したレシピも掲載。
「ミョウガの油淋鶏など、いくつかレシピを再現しました。まさに飯テロ」(和久井さん)
推薦者
少女マンガ研究家
和久井香菜子(わくい・かなこ)さん
ライター、少女マンガ研究家、TLノベル編集。少女マンガ研究で『マツコの知らない世界』などのメディア出演も。京都芸術大学在学中。
◆『1日外出録ハンチョウ』原作:萩原天晴、作画:上原求、新井和也、協力:福本伸行/講談社
福本伸行のマンガ『賭博破戒録カイジ』の登場人物が主人公。借金帳消しのため、地下王国で強制労働に従事している男が、1日外出券を利用して美食巡りを楽しむ様子を描いたギャグマンガ。
「グルメマンガなのかは定かではないですが……。大人の週末、一日だけぽっかり予定がない日。『何か外でおいしいものを食べようかな』『でも何を食べたらいいか思いつかない』というときに、このシリーズがうってつけ。次の休みが楽しみになる」(新川さん)
推薦者
小説家
新川帆立(しんかわ・ほたて)さん
東京大学法学部卒業後、弁護士として勤務。第19回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2021年に『元彼の遺言状』(宝島社)でデビュー。著書『競争の番人』(講談社)など多数。近著に『女の国会』(幻冬社)がある。
◆『山と食欲と私』信濃川日出雄/新潮社
週末になるとひとりで山に登り、自炊を満喫する「単独登山女子」のOL、日々野鮎美。そんな彼女の気ままな山ライフを描く登山グルメストーリー。
「山ガールが主人公の作品。鮎美ちゃんが作る山ごはんは簡単ながらも工夫がいっぱいでおいしそう! 読むと登山したくなり、山ご飯を食べたくなります!」(すず木さん)
推薦者
ブックライブ書店員
書店員すず木(しょてんいん・すずき)さん
年間読むマンガは2,000冊以上。総合電子書籍ストア「ブックライブ」編成担当で、この道10年以上のベテラン書店員。毎月おすすめの新作マンガを紹介する「月刊 書店員すず木」公開中。
https://booklive.jp/
◆『レタイトナイト』香山哲/トゥーヴァージンズ
生きるための旅をテーマに、力を持たざる者たちの冒険と、細かな暮らしのプロセスを描く異世界ファンタジー。
「本作はレタイトに住む少年が、生活に苦しむ人々や街に漂う閉塞感から、『何かがおかしい』と感じて、外の世界を見るために旅立つ物語です。グルメマンガではないのですが、旅先の食堂で『野菜もち』とか『麦ディスク』とか『みどり移し豆』とか、たくさんのマリム(定食)が出てくるんですよね。それが素朴だったり、ミールスっぽかったりするんです。香山さんの絵の魅力も相まって、全部めちゃくちゃおいしそうで」(山脇さん)
推薦者
ライター・編集者
山脇麻生(やまわき・まお)さん
マンガ誌編集を経てフリーに。各紙誌でコミック評及びコミック関連記事などを執筆。京都精華大学新世代マンガコース非常勤講師も務める。現在、11月刊行の黄表紙関連本を執筆中。
◆『雨がしないこと』オカヤイヅミ/KADOKAWA
雨ちゃんは恋をしない。凝り始めると同じ料理ばかりを作り続ける。花山雨という女性をめぐる群像劇。
「グルメマンガとは違うんですけど、グルメというか、料理を描く場面がすごく食欲をそそるんですね。主人公の花山雨が料理好きという設定で、自家製トルティーヤでタコスを作ったり、手作り焼売を蒸したり、揚げ立てのオクラ天蕎麦とか、丁寧に暮らしている感じが出ている食事は、読んでいて楽しい」(三浦さん)
推薦者
ライター・ブックカウンセラー
三浦天紗子(みうら・あさこ)さん
『CREA』『an・an』をはじめとした女性誌でのマンガ紹介や、文芸誌などで書評やインタビューを担当。著書に『震災離婚』(イースト・プレス)など。
◆『パンが焦げてもふたりなら』たな/オレンジページ
主人公は気遣い屋で心配性のはーさんと楽天家のひーさん。キッチンでの何気ないやりとりを覗く、ふたり暮らしのおいしい物語。
「おにぎりや鯛焼きといった、身近な食べ物のおいしさを確かに描写する見事さと、おいしいものを食べて暮らしていくふたりの姿が穏やかで温かい。1冊にまとまるのを楽しみに待っていました!」(みさきさん)
推薦者
マンガ司書
みさき絵美(みさき・えみ)さん
公共図書館、マンガ専門図書館の司書を経て、現在はマンガのアーカイブに取り組んでいる。
◆『ごはんのおとも』たな/実業之日本社
たまごの黄身のしょうゆづけ×独身男子、しそみその焼きおむすび×女子大生、なすの浅漬け×おばあちゃんなど、幸せの笑みがこぼれる8つのレシピとストーリー。
「優しい話とやけにおいしそうなごはん。絵のうまい人ならほかにもいるかもしれないけど、お話と相まってこんなにおいしそうなのはなかなかないですよ」(薗部さん)
推薦者
編集者・元「このマンガがすごい!」編集長
薗部真一(そのべ・しんいち)さん
文藝春秋編集者。担当作に『週刊文春エンタ+』『証言「機動戦士ガンダム」』『この世界の片隅に 対談集』(文藝春秋)『翔んで埼玉』(宝島社)など。
◆『3分待って むぎ先輩』七路ゆうき/小学館
大学生の湯浅汐と、その教育担当である大学院生の薬師寺つむぎは、日夜研究に邁進中。そして深夜の研究室でご褒美のカップ麺を食べる。理系女子大生の青春、研究とカップ麺のラブコメ。
「カップ麺に特化したグルメマンガ。味を思い出しながら読めて、お腹が空きます。むぎ先輩と湯浅ちゃんの掛け合いにもにっこり」(藤原さん)
推薦者
コミック編集者
藤原めぐみ(ふじわら・めぐみ)さん
◆『空挺ドラゴンズ』桑原太矩/講談社
空飛ぶ捕龍船「クィン・ザザ号」に乗り、宙を舞う龍を狩る狩人「龍捕り」たちの旅を描くファンタジー。異世界グルメものとしても楽しめるマンガ。
「空と龍に魅せられた乗組員たちの冒険譚でありながら、おいしそうな龍料理が出てくるグルメマンガでもあります(実際食べることはできないのですが……食べてみたい龍料理)。毎回表紙がものすごく美しいので手に取る度に感動します。はじめは絵に惹かれ読み始めましたが、おいしそうな料理、徐々に掘り下げられるキャラクター、ファンタジーの中にあるリアル。好きが詰まった作品でした!」(荻野さん)
推薦者
hontoコミック担当
荻野晶(おぎの・あき)さん
話題作からBLまでマンガ全般をこよなく愛し、月に100冊以上読む雑食派。マンガのキャラクターを讃えるアワード「マガデミー賞」の審査員も務める。
◆『酒のほそ道』ラズウェル細木/日本文芸社
すべての酔っ払い、呑兵衛、飲み助、大虎、大酒豪、酒仙、そして飲めないけど酒場の雰囲気が好きな人に捧げた「酒飲み」指南書マンガ。
「『酒のほそ道』でバズった回をご存知でしょうか。『弁当晩酌』という回で、主人公の宗達がスーパーで半額の鮭弁当を買ってきて、晩酌するために家にある調味料で味変を楽しむという話。これは何度読んでも飽きないし、絶対家でやろうと目論んでしまう最高のグルメ回です。みなさまもぜひ読んで試してください!」(八木さん)
推薦者
ジュンク堂書店池袋本店コミック担当
八木 泉(やぎ・いずみ)さん
丸善ジュンク堂書店でコミックジャンルアドバイザーチーフを務める。コミック担当歴は20年以上というマンガの専門家。
◆『相席いいですか?』河上だいしろう/集英社
部下との関係に悩む社会人の椿と、バイトで四苦八苦の大学生の桃子。偶然、定食屋で相席したことをきっかけに始まった憩いのランチタイムコメディ。
「グルメというよりは、ふたりの関係性とランチをあわせつつの人間関係が主なマンガですが、食欲の秋にこういうのもありだよね、というおすすめ。こんな出合いはなかなかないにしろ、ひとりランチの楽しみが増えるマンガ」(近西さん)
推薦者
三省堂書店海老名店コミック担当
近西良昌(ちかにし・よしまさ)さん
18歳で書店員になり、三省堂書店海老名店に勤務。学参担当を経て、2001年から20年以上コミックを担当。マンガ大賞に第2回より選考委員として参加。
◆『ランチ酒』原作:原田ひ香、作画:高田サンコ/KADOKAWA
バツイチ、アラサーの犬森祥子。職業は頼まれたものを寝ずの番で見守る「見守り屋」で、唯一の贅沢は、仕事上がりの晩酌ならぬランチ酒。
「夜勤明けに食べるランチと飲むお酒、いろいろあったことを吹き飛ばしたいです」(コミック担当Sさん)
推薦者
大型書店勤務
コミック担当Sさん
コミック担当は気付けば30年。中堅だと思っていたらすっかりベテランの域に。マンガはまだまだ紙で買ってしまうので、部屋中マンガだらけ。
文=大嶋律子(Giraffe)
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