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今からでも遅くない! 冬の冷えを 防ぐため取り入れたい夏の養生法と エネルギーをつける食材まとめ

CREA WEB / 2024年8月28日 11時0分

 夏をどう過ごすかで“冬の冷え”が防げるそう。国際中医薬膳師のさとうあいさんに、夏にするべき養生法を教えてもらいました。

 連日の猛暑日により、年々気温の上昇が気になりますね。エアコンのきいた室内でないと、体温の調整が難しいほどです。しかし、体を冷やすことや涼しい環境に身を置くことばかり気にしてはいませんか。

 薬膳では「冬病夏治(とうびょうかち)」という言葉があり、冬の不調は夏の過ごし方によって変わるとされています。夏の暑い時期からケアをすることで、冬に起きやすい不調に備えることができますよ。

 関節痛や冷え性、しもやけ、腰痛、喘息などは冷えが原因となる不調症状です。毎年冬にこれらの症状に悩まされる経験がある方は、夏の過ごし方を見直してみてはいかがでしょうか。


暑いからと冷たいものばかり食べていませんか?

 暑い時に体の冷える食べ物ばかり食べてしまうと、冷えの症状が出ます。冷えが原因の代表的な症状としては、

・お腹が冷たい
・下痢や軟便
・下半身のだるさ
・気力や体力の低下
・食欲の低下
・むくみやすい
・疲れが取れにくい

 などです。

 これらの症状を感じている方は、今回ご紹介する食事のケアや、生活の養生法を参考に夏を過ごしてみてはいかがでしょうか。もちろん適度にエアコンを利用して、涼を感じることも大事ですが、冬に体調を崩すことが多い方はぜひご活用ください。

◆冷たい食べ物を食べ過ぎない


年中アイスを食べている方も多いのでは?

 冷たい飲み物やアイスだけでは、実は体は一時的にしか冷えないことをご存知でしょうか。しかも、冷たいものを食べ過ぎてしまうことで、お腹の調子が悪くなったり、夏なのに冷えに悩まされたりしてしまうことにもなりかねません。

 特に気をつけたいのが

・アイスやかき氷
・刺身やサラダなどの未加熱の食事
・ビール
・アイスコーヒーなど氷入りの飲み物

 これらの食べ物を毎日食べ続けてしまうと、秋から冬にかけて体の冷えが治りにくくなると、薬膳では考えられています。


暑い地域で愛飲されているココナッツウォーターは薬膳の観点からも◎。

 効果的に体の内側を冷やす食材は、ココナッツウォーターやスイカ、パイナップル、メロン、トマト、苦瓜などです。特に南国のフルーツは、暑さによる不調を改善してくれる効果が高いものが多いので、積極的に取り入れてみましょう。


まずは1日1食だけでも温かいスープを取り入れてみて。

 そして、すでに冷えを感じている時や、冷たいものを食べ過ぎた時には、体を温める食事や食材も活用しましょう。冷たい麺料理や、生ものを食べる際には、スープ料理や蒸し料理などと合わせて食べることがおすすめです。また、体を温める食材を組み合わせることも効果的です。

<体を温める食材>
ニラ、白葱、生姜、なつめ、シナモン、鶏肉、鮭、胡椒、花椒など

◆外で適度に体を動かす


熱中症に注意しながら汗を流すことも大切。

 適度に体を動かし、汗をかくことは、冬を元気に過ごすために必須です。エアコンのきいた室内にいることが多いと、汗をかく機会が減り、夏らしい暮らしを送ることができなくなってしまいます。お仕事などで室内にいる機会が多い方は、エアコンの冷えた風が直接体に当たらないように気を付けて生活しましょう。

 室内の生活が多くなりがちですが、日光を浴びながら散歩をしたりレジャーを楽しむこともおすすめです。


涼しい海辺に出かけるのもおすすめ。

 また、シャワーだけで済まさずに浴槽に入って体を温めることも効果的です。夏はついついシャワーで済ませてしまうことも多いと思いますが、冷える室内にいた日には特に活用していただきたい方法です。

 10〜15分ほど、浴槽に入ってゆっくり体の芯まで温めることで、腰から下の冷えを防ぐことができます。夏にも関わらず、腰や膝だけ冷えている感覚のある方は、浴槽に入る養生法をぜひご活用ください。

◆汗をかいた後に食べるべき食材


しっかり汗をかいたあとは食材からエネルギーを補って。

 水分だけでなく、汗をかいた後は気や血を補うことも大事です。薬膳では汗をかくことで、体のエネルギーである「気」や、汗の生成の際に関係してくる「血」も不足すると考えられています。汗をかいた後は、体が疲れを感じやすいことからも、気が関係していると体感できますね。

<潤いと気を補う食材>
ぶどう、パイナップル、ライチ、マンゴー、パパイヤ、ココナッツ、キウイフルーツ、りんごなど

<血を補う食材>
赤身の肉、レバー、カツオ、イカ、タコ、ほうれん草、しめじ、人参、卵、黒豆、黒ごまなど

 潤いと気を補う食材は、フルーツが中心ですが、意識して食べないとなかなか普段から口にする食材ではないかもしれません。暑い日の野外でのレジャーや、汗をたくさんかいた日には、積極的に活用してみてください。フルーツ類は調理の必要がないので、食後のデザートや、おやつ休憩の際に利用してみてもいいでしょう。汗が止まらない症状がある方にも効果的な食材です。

 血を補う食材は、夏の不眠にも効果があります。なかなか寝付けなかったり、しっかり寝ても疲れが取れない方は、血の不足が関係しています。野菜にも血を補う効果はありますが、特に症状を強く感じる際には動物性の食品も意識的に取り入れてみましょう。

◆夏の過ごし方で冬の体調が変化

 薬膳では季節に合わせた養生法が大事だと考えられています。季節ごとの養生をしっかりと意識することで、次に訪れる季節を元気に過ごすことができます。特に四季による気候の変化がはっきりと感じられる日本では、季節にそった食事や生活養生が昔から重要視されてきました。

 現代では流通機能の充実や、食品栽培環境の変化から、季節に関係なく様々な食材が入手できるようになりました。しかし、その季節を元気に過ごすための食材、合わない食材の境目が曖昧になってきたのも事実です。

 特に近年では、連日の猛暑で梅雨から夏に体調を崩す方が増えていると言われています。暑さを乗り切るために、今回ご紹介した食事での養生法や生活の工夫を取り入れて、自分でできる対策をしてみてはいかがでしょうか。


さとうあい

宮城県仙台市在住の料理家。フードコーディネーターや学校講師などを通して飲食業界に携わること20年以上。現在は国際中医薬膳師の資格を取得し、子どもの不調を整える薬膳料理講座や、企業へのメニュー提案などをする傍ら、レシピライターとしても活動中。

文・撮影=さとうあい

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