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「台湾人は長湯好きで、果物を食べたり3時間おしゃべりをしたり」温泉回数券のトレードも魅力の台湾“はだか湯”

CREA WEB / 2024年9月4日 17時0分

 今年6月、台湾の「裸で入れる湯」を詳細にレポートしたコミックエッセイ『台湾はだか湯めぐり 北部篇』(中央公論新社)を刊行した台湾出身の漫画家・捲猫(マキネコ)さん。制作秘話について語っていただいた前篇に続き、中篇では台湾の温泉文化についてお話を伺いました。


捲猫さん。

台湾の入浴スタイルはかなり自由

――台湾と日本ではだか湯めぐりをしている捲猫さん。温泉文化の違いは感じますか?

 日本人は裸で入浴することに慣れているというのが台湾との大きな違いですが、もうひとつ感じるのは、台湾の入浴スタイルはかなり自由ということですね。本にも書きましたが、台湾では浴室で果物を切って食べている人などもいて、初めて見たときは台湾人の私でも衝撃を受けました。

――台湾では浴室での飲食はOKなんですか!?

 もちろん禁止です(笑)。館内には禁止の貼り紙もあるのに、持ち込んでも注意されるでもなく、暗黙の了解になっています。その分、においがキツイ食べ物は持ち込まないとか、湯船から一定の距離を空けた場所で食べるとか、堂々とルールを破りながらも、ちょっとした気遣いがあるのも憎めないところです。


『台湾はだか湯めぐり 北部篇』より。

――台湾の人は温泉でどんな過ごし方をされるのでしょうか?

 台湾人は長湯好きで、浴室内で2~3時間過ごすのが普通なんです。大浴場も長く過ごせるような造りになっていて、椅子だけでなくテーブルや寝椅子が置いてあるところも多く、浴室内でおしゃべりをしたり、果物を食べたり、温泉に浸かることだけが目的ではない、幅広い楽しみ方をしているように感じます。あと、温泉回数券のトレードも醍醐味ですね。

――温泉回数券について詳しく教えてください。

 温泉回数券は、基本的に購入した施設でのみ使うことができる回数券で、1セット10枚から販売しています。常連になるとお得な30枚セットを買って、ほかの温泉の回数券を持っている人とトレードをして、湯めぐりを楽しむのが台湾流です。

 私の本を翻訳してくれた三浦裕子さんが、本で紹介している烏来の「小川源温泉」に行ったときも、脱衣所でおばあちゃんに話しかけられて、「お嬢さん、一緒に回数券を買わない?」と誘われたそうです。温泉回数券のトレードは、それぐらい台湾の温泉好きの間では浸透していますね。もし温泉回数券を買うときは、温泉がオフシーズンになる夏に買うと安くておすすめです。

温泉回数券のトレードも百戦錬磨の母

――捲猫さんはどんなときに温泉に行って、どう過ごされますか?

 私は座り仕事が多いので、長時間座ったままで体が硬くなったなと感じたとき、温泉に行きます。その時は、軽く運動をして汗をかいてから温泉に入って、湯上がりにおなかが空いたら何か食べて帰るというのが私のお気に入りの過ごし方です。

 浴室での過ごし方は、私は熱いお湯に長く浸かることが苦手なので、色々な浴槽をぐるぐる回ったり、入浴と休憩を交互に繰り返したり、浴室を出て休憩室でゆっくり過ごすというのがルーティーンですね。私の場合、取材を兼ねて行くことが多いので、休憩しながらまわりの人たちの会話に耳をそばだてて、マンガのネタ探しをするのも楽しみのひとつです。


捲猫さん。

――台湾で一緒に温泉に行く仲間はいますか?

 本に登場するキャラクターはすべて実在の人物で、その中の数人とは一緒に行くこともあります。ただ、水着着用の温泉ならOKという人も少なくないので、はだか湯に行くときは、台湾でも母と一緒のことが多いですね。母は昔セールスウーマンだったので、人と話すのが好きだしとても得意。温泉でも知らない人にすぐ話しかけて仲よくなって、温泉回数券のトレードも百戦錬磨です。その点、私はあまり社交的ではないので、母と一緒だと予期せぬことがおこって楽しいです。

――温泉に行くときの捲猫さんの必需品を教えてください。

 台湾のほとんどのはだか湯では、シャワーキャップの着用が必須なので、繰り返し使えるシャワーキャップは絶対です。あと、庶民的でリーズナブルな温泉は、貸しタオルなどのサービスがなかったりするので、タオルとボディーソープも必須。水筒とコーヒーのドリップパックも欠かせませんね。本でも持ち物リストを紹介していますが、こうした情報はお節介に思えるかも知れませんが、描いていてとても楽しかったので、日本の読者のみなさんにも、そんな細かい部分を見ておもしろがってもらえたら嬉しいです。

捲猫(まきねこ)

台湾台北出身。国立政治大学広告学科卒業。英国キングストン大学イラストレーション・アニメーション科イラストレーション専攻修士。動物を描くのが好き。大学・大学院卒業後、長らく同人誌会場に出没。独立出版物に、絵本スタイルのコミック作品『刺蝟的愛(ハリネズミの愛)』『捲兔的留英人生(捲兔の英国留学人生)』などがある。2022年、台湾・原動力文化より『捲兔的台灣裸湯:北部篇(台湾はだか湯めぐり:北部篇)』を刊行。温泉旅行と節約ライフが好き。人生の幸福とは、家族が健康であること、期限間近商品のショッピング、飲み物を買う時マイボトルを持参して5元割引してもらうこと。

文=田辺千菊(Choki!)
写真=石川啓次

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