「ハマったきっかけは父からの 贈りもの」超人気芸人・ヤーレンズ 出井隼之介が語る底なしのコーヒー愛
CREA WEB / 2024年9月5日 17時0分
「朝起きたらまずコーヒー。遅刻しかけててもコーヒー」。そう語るのは、自称「漫才コーヒーおじさん」こと、お笑いコンビヤーレンズの出井隼之介さん。一日たりとも「コーヒーを飲まない日はない」という出井さんをここまでの熱量に導いたきっかけとは。前篇では、コーヒー愛と、おいしい店の見つけ方について伺いました。
信頼できる人たちの行く店をなぞれば運命の一杯に出合える
――出井さんのインスタグラムを参考に、コーヒー店を巡る人も増えているそうですね。出井さん自身は、どうやってお店を見つけているんですか?
コーヒーフェスや有名なロースターが集うイベントに自ら見つけに行くこともありますし、馴染みのお店に行った時にバリスタさん自身がよく行く店を聞くことも。バリスタさんと話すのも好きなので、何度か通いながらまたいい店を教えてもらいます。信頼できる人の“おすすめ”は信用できますね。集めた情報はGoogleMapにピンを立てるようにしていて、休日やステージの間に足を運ぶのが習慣。行きたい店がありすぎて、印だらけです。
――すごい数! 地方のお店も網羅されているそうですね。
それも色んな方が教えてくれた店です。地方出張が決まったら、仕事内容よりもまず、劇場や宿から近いコーヒー店をGoogleMapでチェックする方が優先(笑)。地方では新規のお店を開拓するのが楽しいんです。
僕的にアツかったのは、九州に行く機会が増えたこと。佐賀では、浅煎りコーヒーが飲める人気店「ROLE PLAYING COFFEE」の店主の方が、わざわざテレビ局までコーヒーを差し入れたことも。嬉しかったし、すごくおいしかったですね。SNSでコーヒーが好きだと発信し続けてきてよかったです。
コンビニもないような場所にロケに行く時には、好きな店で買ったドリップバッグを必ず持参します。本当は豆とミルを持っていきたいけど、そうもいかないので。コーヒーを飲まない日はないです。飲まないと、頭痛くなっちゃうんです(笑)。
――コーヒーにペアリングするお菓子や軽食目当てに行くこともありますか?
ペアリングをおすすめしてくれるお店では迷いなくスイーツも食べますね。それでいうと、大阪の「YARD Coffee & Craft Chocolate」は、チョコレートとのペアリングが抜群! 店主の中谷さんのご実家は大阪の名パティスリー。カカオの仕入れからすべてを自社で行うビーントゥバーのチョコレートを提供してくれます。
僕の淹れるコーヒーはすごくおいしいらしい
――カフェには、おひとりで行かれることが多いですか?
基本は1人ですが、配偶者ともよく行きますよ。実は配偶者がコーヒーを飲むようになったのは、僕と暮らし始めてから。まだ一緒に暮らして2年ほどですが、すでにコーヒーのオーダーが玄人じみてきました。アナエロビックナチュラルっていう精製方法があるんですけど、メニューを見ながら「とりあえずアナエロにしよっかな」って。これはすごいことだぞ……と驚いています。たぶん、僕が家で淹れるコーヒーがおいしかったってことだと思うんですよね(笑)。相方(楢原真樹さん)なんて缶コーヒーすら飲めなかったのに、僕の影響で今やコーヒー好きですもん。
――間違いなく出井さんの影響だと思います。家ではどんな豆や道具を愛用していますか?
今日、ご紹介するために最近出張先で買った熊本の「Gluck Coffee Spot」と「Coffeedot」、北海道の「Brew it by NODE」の豆を持ってきました。浅煎りが好みですが、その日の気分で豆も淹れ方も変えながら楽しんでいます。これは家にあるほんの一部。自宅の棚にはたくさん豆をストックしています。
最近手に入れたのは、「パラゴン」という道具。コーヒーは熱の反応で味が出るのですが、抽出後の空気との温度差で香りが飛んでしまうらしいんですよ。そこで開発されたのがこのパラゴンで、冷やした金属の球(アイスロック)にドリップしたコーヒーを当てることで、これまで揮発していたフレーバーの40%ほどを液体にとどめておくことができるらしいんです。
父が毎朝コーヒーを淹れる背中を見ながら育った
――家でコーヒーを飲む際のこだわりはありますか? 種類によって飲むカップを変えているとか?
そうですね。例えば、浅煎りのコーヒーを飲む時にはちょっと薄いカップにしています。うすはりグラスで飲むことも。逆に、深煎りの場合は、ぽってりとしたファイヤーキングで飲みますね。厚みのあるガラスの口当たりが合う気がして。雰囲気までひっくるめて、コーヒーを楽しみたいですね。
――そもそもコーヒーにハマったきっかけは何だったのでしょうか。
父の影響です。コーヒー関連の会社に勤めていたので、毎日自社の豆を挽いてコーヒーを淹れていたんです。その姿は今も鮮明に覚えています。子どもの頃は飲めないから、カフェオレをつくってもらって。それが好きでした。
父は芸人になることには反対でしたが、僕が押し切って勝手に一人暮らしの家を借りてしまったんです。ならばもうしょうがないってことで、送り出してくれる時にコーヒーセットを贈ってくれました。そのセットで初めて自分で淹れたのがはじまりで、毎朝コーヒーを飲むのが習慣になりました。
芸人の生活って移動も多いし、時間が不規則にもなるんですけど、コーヒーのおかげでちゃんとリラックスできてる。仕事にもいい影響を与えてくれてると思います。
ヤーレンズ・出井隼之介(でい・じゅんのすけ)
2011年に楢原真樹とコンビを結成。2014年に活動の拠点を大阪から東京に移す。M-1グランプリ2023準優勝。趣味はおいしいコーヒーを入れること。
X:@Yarlens_Dei
文=藤井そのこ
撮影=平松市聖
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