海外で日本の美容=J-Beautyが売れている…常識崩壊のプチプラからあの老舗まで 日本のコスメ名作4選
CREA WEB / 2024年11月1日 11時0分
海外コスメが続々日本へ上陸するということは、すなわち逆も同じ。海外ではいま、日本の美容が J-Beauty として注目を浴びているのだ。みるみる切り拓かれる新しい美容の地平から、目が離せない。(前後篇の前篇)
#1 「美しくなるためじゃない」と言い切る勇気を賞賛したい黒KANEBO
多様性への急速な流れも手伝って、アンチルッキズムがたちまち定着する中、偶然か必然か、新生デビューを遂げたカネボウが、息を呑むような衝撃的なメッセージを掲げた。
「私たちは化粧品を作っているのではない、希望を作っているのだ」「美よりも、希望を与えたい!」化粧品会社としては明らかにリスキーな提案、にもかかわらずそれを目にした時、予期せぬチカラと喜びが湧いてきたと言う人が少なくなかった。化粧品会社が、ましてやメジャーブランドがそう言ってくれることにまさに希望をもらえた形。
黒い容器になったことから「黒KANEBO」との愛称も生まれ、絶大な支持を獲得することになる。もちろん商品自体が優れたものでなければ、言葉だけが浮いてしまったはず。しかしユニークな洗顔料で注目を浴び、笑顔になれるシートマスクで新風を吹き込み、素肌になりすますファンデを大ヒットさせ、そして今春発売の口紅でついに史上No1ヒットを記録、ベスコス総なめという快挙まで成し遂げた。
「美ではなく、希望を」そう言い切れたのも、製品に対する絶対の自信があったからこそ。そして時代のニーズを見事に読み取り、性別を超えて人々の意識の変化に無理なく寄り添ったことが、稀有な成功をもたらしたのだ。
そもそも日本の化粧品が全く新しい、でも本質を突く化粧品の役割を独自のメッセージとして訴え、予想を超えるほどの共感を得たこと、美容大国にありながら美を越える価値を提案できたこと、それは日本人にとってこの上なく誇らしい。この勇敢で魅惑的なブランドに、私たち、付いていきたい。
カネボウインターナショナルDiv.
#2 本来は脇役な敏感肌ブランドが、主役級の注目を浴びる日本的意義
本来が敏感肌用は完全に傍流、日の当たらない場所で粛々と慎重なモノ作りが続けられてきた。
でもこの数年は主役に躍り出る勢い。国民性もあってか、日本は“自称敏感肌”が多く、今や7割が何らかの過敏を訴えている。
だけどキレイになりたい願望も人一倍強い国、強い肌を育てつつ安全にシワもシミもケアする有り難い敏感肌用が増え、いわば健常肌も虜にしているのだ。逆に進化の幅が大きい分、頼もしいとの賞賛を集めて。
ディセンシア
メディプラス
花王
#3 肌ラボにKATE、あっぱれな下剋上はなぜ起きたのか?
日本のプチプラ系は昔からそれなりの水準にあったが、“安かろう悪かろう”の常識崩壊の素地を作ったのが、この2ブランドではなかったか。
デパコス顔負けの濃密保湿や集中美白を1,000円レベルで次々輩出、業界を驚かせたロート製薬の「肌ラボ」。一方、設立当初から異彩を放ち今やトレンドを左右するほどの影響力を持つカネボウ「ケイト」。
もちろん資生堂や花王も安価な名品を地道に作ってきたが、強烈なインパクトを与えた2つのプチプラに業界全体が刺激を受ける形となった。
カネボウ化粧品
ロート製薬
電話番号 06-6758-1272
#4 世界の研究開発力で、資生堂はとてつもない優等生、いやほぼ天才!
エイジングケアの先進性がいかに評価を集めるかを体現する資生堂。世界最大の化粧品開発技術のオリンピック“IFSCC”において、資生堂は過去に31回受賞(第2位の企業は受賞10回)、ほとんどが最優秀賞というぶっちぎりなのだ。
全然知らなかった! と驚き慌てるはずだが、最優秀賞テクノロジーを4つも搭載した製品があるので即買いを。
エリクシール トータルV ファーミングクリーム。その恩恵に毎日浸れる幸せを噛み締めよう。
エリクシール
齋藤 薫 (さいとう かおる)
女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイストに。女性誌で多数のエッセイ連載を持つほか、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。CREAには1989年の創刊以来、常に寄稿している。
文=齋藤 薫(美容ジャーナリスト)
写真=平松市聖
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