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熊本「奥阿蘇の宿やまなみ」を中心にめぐる、ひとりにやさしい温泉旅。カルデラが生んだとろとろの秘湯へ

CREA WEB / 2024年9月6日 11時0分

 CREAがはじめてひとり温泉を特集して7年。当時は「女性がひとりで温泉なんて!」と驚きを持って受け止められたこのテーマも、いつしか珍しくない光景となりました。

 好評発売中の「CREA」2024年秋号では、コロナ禍を経て、進化する“温泉地”を舞台に、めぐる旅を大特集しています。



阿蘇を代表する観光地の一つ、草千里。雨水が溜まってできる池と、めくるめく広大な草原。大地を踏み締めながらの散策にもってこいの場。

 活火山を有し、清らかな湧水の湧き出す水源が1,000か所以上も点在することから「火と水の国」とも呼ばれる熊本・阿蘇。豊かな温泉が湧き出るのに重要な要素が、実は見事に揃っているこの地へ、足を運んでみませんか?


セルフケアする水を求めて


九州屈指の名水、鬱蒼とした森にある池山水源。訪れると自由に水を汲んで飲むことも、手や足を浸すこともできる。

 ふだんからスキンケアに心を配るあなたなら、まずは蛇口をひねって顔を洗ってみてほしい。すると感覚的にわかるだろう。「この水はきっと肌にいい」と。

 スペイン語で“釜”を意味する火山の中心のくぼみ、カルデラ。阿蘇は約30万年前より噴火のたびカルデラがつくられ、岩の破片や粒子が大地に厚く積もった。それが水をよく通し、多くの雨が地下へと送り込まれる。そして途方もなき年月を経てミネラルを豊かに含み、マグマに近づくことで温められ、ガスや鉱物成分と混ざりあい、最後は「温泉」として、祝福されるように地表へと湧き出る。

 こうしたストーリーを知るにつけ、思わざるを得なくなる。「阿蘇の温泉はきっと、ものすごい」


阿蘇一の有名絶景スポット、大観峰。「地球の穴からエネルギーが湧き出ているよう」と地元民が絶賛する中岳火口は、運が良ければ見学も可能。

 なのに九州の温泉地と言えば、湯布院や別府は思い浮かべど、阿蘇の名は意外と挙がらない。理由の一つは「広い」から。

 阿蘇山は東西約17キロメートル、南北約25キロメートル、外輪山の周囲は約128キロメートル。周遊はもちろん、縦断だけでも1時間以上はかかる。むろん車がないと難しい。それでも行くのだ、温泉のためなら。そして広さを感じるために。


動物と自然が当たり前に共存するシーンに遭遇できるのも、阿蘇ゆえの魅力。秋には風景がすべて黄金色になる。

 されど発見は、その広さよりも奥行きだった。眩むほどの草原が悠々しく、とめどなく萌え立つ峰の奥まで見通せるばかりに、何キロメートルも先の何かにどうしたって目が奪われる。

 草をはむ馬や牛の小さな姿、ぽつねんと立つ孤高の木。いつもは数十センチメートル先の平滑なディスプレイばかり見ている目がにわかに驚き、突然の自由を謳歌している。


阿蘇一の有名絶景スポット、大観峰。

 そして水源を訪れる。湧き出る水の揺れでそこに水があった、と気付かされるほどの奇跡的な透明度。奥を覗き込んでみたならば、むした苔が山並みのようになっていて、それはさしずめ水中にめぐらされた阿蘇のジオラマのよう。


「奥阿蘇の宿やまなみ」の温泉は源泉100%のかけ流し。趣の異なる大浴場2つと家族風呂が3つあり、自由に入れる。写真は露天風呂付き客室の一つ。

 この水は、体も心もケアしてくれる。その予感が確信に変わったのは阿蘇山の向こう、産山という地域に佇む「奥阿蘇の宿やまなみ」に到着してから。

 温泉は心身めろめろになるとろとろ感、だけどキレよくさっぱり心地よい。さらに目の前で湯気を立て炊かれるお米は甘くうるおしく、地元で醸されるお酒はふくよかでこうばしい。

 まさにセルフケアする風景、温泉、食。すべては水でつながっていた。


「奥阿蘇の宿やまなみ」囲炉裏の火を囲み、鉄板で焼く阿蘇特産のあか牛、川魚など料理は素朴ながら豪勢。

阿蘇を、めぐる

 めぐる篇では、城崎温泉や定山渓温泉など、いわゆる温泉街のみならず、阿蘇や那須など、これまで温泉地としてはあまり特集されてこなかったエリアにも注目。インバウンド客の影響で、「泊食分離」という食事は宿の外で楽しむ文化も広がり、ひとりに優しい温泉街も増えています。

◆奥阿蘇の宿やまなみ


「奥阿蘇の宿やまなみ」

 築100年以上の古民家を活用、せせらぐ川の音が聞こえる田舎のおばあちゃん家のような古き温かき旅館。

 囲炉裏の火を囲み、鉄板で焼く阿蘇特産のあか牛、川魚など料理は素朴ながら豪勢。


「奥阿蘇の宿やまなみ」の食事時に供される自家製の漬物。常時30種類前後から、好きなものを好きなだけ。

奥阿蘇の宿やまなみ

所在地 熊本県阿蘇郡産山村田尻254-3
電話番号 0967-25-2414
客室数 10
ひとり料金/1泊2食付き 19,800円~
ひとり対応/繁忙期を除く通年可
アクセス JR宮地駅よりタクシーで約25分

◆boketto


「boketto」

 空港近くの美しい森に2つのレストラン、地元の作家ものも揃う雑貨やアパレル、ワインと焼き菓子のお店が点在。

 どの棟も異なる意匠が凝らされ、ときめきと癒しをともに味わえる。


「boketto」

boketto

所在地 熊本県阿蘇郡西原村布田834-27
電話番号 096-285-3544
営業時間 10:00~18:00(ディナー18:00~21:00 ※要予約)
定休日 不定休

◆FIL


「FIL」

 阿蘇郡南小国町の素材を活用した家具や小物、アロマ商品を手掛けるインテリア・ライフスタイルブランド。

 小国杉の精油とさまざまな天然香料からつくられるFILフレグランスは、爽やかでほのかな甘さのある香り。


「FIL」

FIL

熊本県阿蘇郡南小国町満願寺30
電話番号 0967-42-1010
営業時間 10:00~17:00
定休日 木曜

◆喫茶 竹の熊


「喫茶 竹の熊」の特等席は、半屋外の板の間。テーブル等をあえて設けず、思い思いの場所で自然と一体になれる。

 メニューは目の前に広がる田んぼのお米、高冷地ならではの在来野菜を使ったおこわなどの料理、豆乳と季節の果物でつくる甘味、土地のおいしい水で入れるコーヒーやお茶。

 またオリジナルのクラフトビールもあり。


「喫茶 竹の熊」

喫茶 竹の熊

所在地 熊本県阿蘇郡南小国町赤馬場2041
電話番号 0967-42-1010
営業時間 11:00~15:30 L.O.
定休日 木・金曜

◆Chamitsulle BAKES & HERBS


「Chamitsulle BAKES&HERBS」

「南阿蘇でハーブを育てたい」と栽培から管理、ブレンドまで一貫し行うハーブティーはフレッシュで力強く、きれいな風味。

 輪郭があり、味わい豊かなイギリスの焼き菓子とともに。


「Chamitsulle BAKES&HERBS」

Chamitsulle BAKES&HERBS

所在地 熊本県南阿蘇村中松4026-1
電話番号 070-8510-4804
営業日 10:00~17:00(売り切れ次第終了)
定休日 火~金、不定休


 「めぐる旅」と「こもる旅」をテーマに47都道府県のひとりにいい温泉宿68軒、旅の目的地になるサウナと蒸し湯10軒など、最旬の温泉スポットを特集した「楽しいひとり温泉。」は、「CREA」2024年秋号でお読みいただけます。

文=山村光春(BOOKLUCK)
写真=穴見春樹

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