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テレビプロデューサー佐久間宣行さんの「いま人に薦めたい愛読マンガ」9冊「圧倒的なオリジナリティ。格好いい」

CREA WEB / 2024年9月17日 11時0分

CREA夜ふかしマンガ大賞2024
選考委員31名の愛読書と「マンガを読むときのマイルール」

 この秋、発表された「CREA夜ふかしマンガ大賞2024」。選考委員を務めてくれたのは、小説家、お笑い芸人、ミュージシャン、マンガ家、テレビプロデューサー、ベテラン書店員など、各界を代表するマンガ好きの31名。

 CREA2024年秋号では紹介しきれなかった、選考委員の皆さんのほとばしるマンガ愛を大公開!

「夜ふかしマンガ大賞に推薦する作品」「人生で思わず夜ふかしして読んだ作品」「マンガを読むときのマイルール」など、マンガ好き必読のアンケートです。


佐久間宣行さんが「夜ふかしマンガ大賞に推薦するマンガ」

◆『ザ・キンクス』榎本俊二/講談社


『ザ・キンクス』榎本俊二/講談社

 錦久(きんく)家の父、母、姉、弟の4人に祖父と祖母も加えた6人が主役。人間の根源を揺さぶり肯定する「家族」コメディ。

「圧倒的なオリジナリティ。読んでいて想像できない角度に着地する構成。そのうえで最高の読後感。もともとの実力は重々承知していましたが、ここにきてさらに驚くような作品を生み出す作者の姿勢に感動しました。格好いいマンガです」(佐久間宣行さん・以下同)

◆『ようこそ!FACT(東京S区第二支部)へ』魚豊/小学館

「どのジャンルを書いても、作者にしか作れない苦みと深みと辛辣さ、それとユーモアを刻んでいるのが凄いです。不勉強にも魚豊さんが20代だと最近知って、驚きと切なさを感じました」

◆『ふつうの軽音部』原作:クワハリ、漫画:出内テツオ/集英社

「タイトル通り、普通の、何もないところから始める主人公の、普通の努力と普通の人間関係を描いている。だが、それが、人生は誰にとっても普通じゃないドラマティックなものだ、という感動を生んでいる。キャラがみな、大げさじゃない、いい人じゃないところもいい」

◆『みっちゃんの皮膚』胃下舌ミィ/SHURO(マガジンハウス)

「生きづらさとか、自分のままでいることの難しさとか辛さ、美しさみたいなことを描いていて……。それでもかけがえのない関係ができるっていう素晴らしさみたいなこともわかるような、凄い短編です」(※単行本未発売)

人生で思わず夜ふかしして読んでしまったマンガは?

◆『金色のガッシュ!!2』雷句誠/BIRGDIN BOARD Corp.


『金色のガッシュ!!2』雷句誠/BIRGDIN BOARD Corp.

『金色のガッシュ!!』の続編。100名の魔物の子が戦い合い、魔界の王となったガッシュ・ベルとパートナーの高嶺清麿が、新たな戦いに挑む異能バトルアクション。

「前作も大好きで何度も読み返すマンガでしたが、まさかの続編の喜びで手に入れた本作も夜中だったけど、朝まで何度も読み返してしまいました」

◆『うしおととら』藤田和日郎/小学館


『うしおととら』藤田和日郎/小学館

 妖怪退治の武器「獣の槍」を見つけた少年の蒼月潮が、相棒で妖怪のとらとともに、強敵妖怪との戦いを繰り広げ、その絆を深めていくバトルアクション。

「何度目の読み返しでも、始めてしまうと止まらず最後まで読んでしまうので、一時期手元に置くのをやめたほど求心力のあるマンガです」

佐久間宣行さんの「マンガを読むときのマイルール」

「カレンダーに、特別な色でちょっと先のマンガを読む予定まで記入しておきます。その時間を楽しみに仕事をします。一段落ついたら、ハイボールやビールを準備してマンガを眠くなるまで読んで、満足して寝ます」

今、最も注目している新人作家とその作品は?

◆『遠い日の陽』横谷加奈子/講談社

 写真売買から始まる、令和的奇譚……。「モーニング月例賞2023年9月期」入選受賞作(※単行本未発売。コミックDAYSで配信中)

「フリマアプリで自分の幼少期の写真を売る『チヒロくん』と、なんとなく惹かれるものがあり、それを買った男子高校生の話。テーマとその昇華のさせ方に、新人の方とは思えないセンスを感じました」

◆『美しいもの』鳥井泳/COMIC MeDu

 閉館を間近にした避暑地の美術館。ある日、遠方からやってきた少年が1枚の絵画をじっと見つめていて……。新鋭が贈る、記憶と邂逅の読み切り(単行本未発売)

「単純に1本の作品として素晴らしかったし、驚いた。美しいもの、それを感じること。そのかけがえなさ。誰にも奪えない感受性。今でもたまに読み返すし、早く次作が読みたい作家さんです」

食欲の秋に読みたくなる「グルメマンガ」は?

◆『らーめん再遊記』作:久部緑郎、画:河合単、協力:石神秀幸/小学館


『らーめん再遊記』作:久部緑郎、画:河合単、協力:石神秀幸/小学館

 ラーメン界で一大ブームを牽引したカリスマが、さまざまな場所で新しいラーメンを編み出していくグルメマンガ。

「ここにきて、またさらに面白くなっている最高のグルメマンガだと思います。泣きながらお腹が空く、そんな感情このマンガくらいしかない気が」


テレビプロデューサー
佐久間宣行(さくま・のぶゆき)さん

話題の番組を数多く手がけるほか、演出家、ラジオパーソナリティとしても活躍。近著に『ごきげんになる技術 キャリアも人間関係も好転する、ブレないメンタルの整え方』(集英社)。

■発表! CREA夜ふかしマンガ大賞2024


写真=平松市聖

眠りにつく前のひとときに、日中のあれこれを忘れさせ、新しい世界に連れ出してくれる力のあるマンガを称える「CREA夜ふかしマンガ大賞」。昨年からはじまった一般読者による投票を一次選考として、200作品以上が候補にあがるなか、2024年のナンバーワンが決定しました。

文=大嶋律子(Giraffe)

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