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元「このマンガがすごい!」編集長薗部真一さんの「いま人に薦めたい愛読マンガ」7冊「表紙でドキリ」

CREA WEB / 2024年9月24日 11時0分

CREA夜ふかしマンガ大賞2024
選考委員31名の愛読書と「マンガを読むときのマイルール」

 この秋、発表された「CREA夜ふかしマンガ大賞2024」。選考委員を務めてくれたのは、小説家、お笑い芸人、ミュージシャン、マンガ家、テレビプロデューサー、ベテラン書店員など、各界を代表するマンガ好きの31名。

 CREA2024年秋号では紹介しきれなかった、選考委員の皆さんのほとばしるマンガ愛を大公開!

「夜ふかしマンガ大賞に推薦する作品」「人生で思わず夜ふかしして読んだ作品」「マンガを読むときのマイルール」など、マンガ好き必読のアンケートです。


薗部真一さんが「夜ふかしマンガ大賞に推薦するマンガ」

◆『じゃあ、あんたが作ってみろよ』谷口菜津子/ぶんか社


『じゃあ、あんたが作ってみろよ』谷口菜津子/ぶんか社

 社会人カップルの勝男と鮎美。慣れないながらに作る料理を通して、ザ・昭和男がこれまでの当たり前を見つめ直すラブストーリー。

「表紙からしてドキリとした。僕もこれ……言ってないか……!? 反省と自戒。そのうえで、『ヒロイン、また似たような男のところに戻らないよな!?』とヒヤヒヤ。両方の立場で見られるバランスもいい。あー、でも、鮎美の前に現れた新しい男も、海老カツくんにちょっと似ている気も……。いい出合いがありますように」(薗部真一さん・以下同)

◆『室外機室 ちょめ短編集』ちょめ/双葉社

「個人的には、今年一番の良作。なぜか繋がってしまったWi-Fiから始まって、読む度に内容は変わるけど読む者の好きなジャンルを突いてくる謎の同人誌、魂の重さについて……。『今日は、いい映画でも観れたらなー』って夜に読んだおかげでクリーンヒット。軽快でほんのり優しくて、センスオブワンダーとミステリ的趣向に満ちている」

◆『どくだみの花咲くころ』城戸志保/講談社

「誤解を恐れずに言いますが、このマンガのジャンルはたぶん、ギャグマンガです。一瞬深刻げな絵柄とあらすじで、しばしば見かける『生きづらさ系』に見せかけつつ、なんだかずっとトボけている。そのうえで、本当に『生きづらい』のは、もしかしたら無駄に真面目な僕なのでは? と思わせる価値の逆転。このマンガ、どこにたどりつくのか!?」

人生で思わず夜ふかしして読んでしまったマンガは?

◆『ベルサイユのばら』池田理代子/フェアベル


『ベルサイユのばら』池田理代子/フェアベル

 フランス革命前後を舞台に、男装をした女性オスカルやフランス王妃マリー・アントワネットらの波乱万丈な生涯を描いた不朽の名作。

「アニメ映画化が発表になった夜、またやっちまいました。しかも、あれほど展開も重厚で、多くの感情が詰まっているのに、本編は全9巻と短いので一晩で読めてしまう。1巻の『きょうは ベルサイユは たいへんな人 ですこと…』。なんでもない社交辞令の言葉が、これほど深いとは……真の名作」

薗部真一さんの「マンガを読むときのマイルール」

「食事、移動、ベッドで。いつでもどこでもマンガが読めて幸福です」

今、最も注目している新人作家とその作品は?

◆『線場のひと』小宮りさ麻吏奈/リイド社


『線場のひと』小宮りさ麻吏奈/リイド社

「戦後」と呼ばれる時代を日本とアメリカに生きた、異なる背景やアイデンティティを持つ4人の物語。

「久しぶりに表紙買いをした。自分が多感な人間になったように感じるくらい、コマから感情がほとばしる」

食欲の秋に読みたくなる「グルメマンガ」は?

◆『ごはんのおとも』たな/実業之日本社


『ごはんのおとも』たな/実業之日本社

 たまごの黄身のしょうゆづけ×独身男子、しそみその焼きおむすび×女子大生、なすの浅漬け×おばあちゃんなど、幸せの笑みがこぼれる8つのレシピとストーリー。

「優しい話とやけにおいしそうなごはん。絵のうまい人ならほかにもいるかもしれないけど、お話と相まってこんなにおいしそうなのはなかなかないですよ」

2024年秋に読みたい「動物マンガ」は?

◆『犬と猫どっちも飼ってると毎日たのしい』松本ひで吉/講談社


『犬と猫どっちも飼ってると毎日たのしい』松本ひで吉/講談社

 天真爛漫な犬くんと、魔王のように凶悪ながら愛らしい猫さま。笑いありホロリありのコミックエッセイ。

「そりゃそうでしょう、かわいいでしょうよ、という想像を上回るハチャメチャぶり。それは、楽しいわな!」


編集者・元「このマンガがすごい!」編集長
薗部真一(そのべ・しんいち)さん

文藝春秋編集者。担当作に『週刊文春エンタ+』『証言「機動戦士ガンダム」』『「この世界の片隅に」こうの史代 片渕須直 対談集』(以上、文藝春秋)『翔んで埼玉』(宝島社)など。

■発表! CREA夜ふかしマンガ大賞2024


写真=平松市聖

眠りにつく前のひとときに、日中のあれこれを忘れさせ、新しい世界に連れ出してくれる力のあるマンガを称える「CREA夜ふかしマンガ大賞」。昨年からはじまった一般読者による投票を一次選考として、200作品以上が候補にあがるなか、2024年のナンバーワンが決定しました。

文=大嶋律子(Giraffe)

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