小説家・深緑野分さんの「いま人に薦めたい愛読マンガ」5冊「1巻ながら作者の最高傑作となる予感」
CREA WEB / 2024年9月29日 11時0分
CREA夜ふかしマンガ大賞2024
選考委員31名の愛読書と「マンガを読むときのマイルール」
この秋、発表された「CREA夜ふかしマンガ大賞2024」。選考委員を務めてくれたのは、小説家、お笑い芸人、ミュージシャン、マンガ家、テレビプロデューサー、ベテラン書店員など、各界を代表するマンガ好きの31名。
CREA2024年秋号では紹介しきれなかった、選考委員の皆さんのほとばしるマンガ愛を大公開!
「夜ふかしマンガ大賞に推薦する作品」「人生で思わず夜ふかしして読んだ作品」「マンガを読むときのマイルール」など、マンガ好き必読のアンケートです。
深緑野分さんが「夜ふかしマンガ大賞に推薦するマンガ」
◆『スターリングラードの凶賊』速水螺旋人/白泉社
舞台はドイツとソ連による戦争真っ只中にある1942年のスターリングラード。美少年、美女、ならず者に食わせ者が敵味方入り乱れて戦う東部戦線ウエスタンアクション。
「名作『大砲とスタンプ』に次ぐ新たな戦争作品『スターリングラードの凶賊』は、知略で暗躍する謎の眼鏡男と銃をぶっ放す美貌の暴れん坊コンビが戦場を生き抜く快作で、まだ1巻ながら作者の最高傑作となる予感で満ちている。プロットは冴え、血湧き肉躍る一方、戦争と人間の核心をえぐり出す。私も戦争と人間の正体を暴きたくて小説を書いているが、宮崎駿の『風の谷のナウシカ』と同じくらい、速水螺旋人の作品には敵わないと思っている」(深緑さん・以下同)
◆『司書正』丸山薫/KADOKAWA
「SF作品集『ストレニュアス・ライフ』からずっと丸山薫のファンです。新たな作品『司書正』は、架空の古代中国宮廷が舞台…だけれど、すべての書物を諳んじられる人間『司書正』は、ほとんどコンピュータで、つまりSFだ。丸山薫のフェティシズムとこだわりが炸裂している。豊かで緻密な世界観もHBOドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』みたいなサスペンスフルな陰謀劇も読み応えがある」
人生で思わず夜ふかしして読んでしまったマンガは?
◆『僕のヒーローアカデミア』堀越耕平/集英社
無個性の少年デクこと緑谷出久が、憧れのヒーロー・オールマイトから彼の個性「ワン・フォー・オール」の後継者に指名され、最高のヒーローを目指して成長していく物語。
「超人気作だが今更と思わず読んでほしい。『正義』と『悪』について、ここまで考えて、考えて、考え抜いて、何が本当の優しさで、真にみんなを救える『善』とは何か、『普通』から外れてしまった人の怒りと哀しみはどうしたらいいのかを描き上げた作品はほかに知らない。主人公の名の由来が宮沢賢治『雨ニモマケズ』と知って大変腑に落ちた。熱く、優しく、哀しいヒーローの物語に涙が止まらない」
深緑野分さんの「マンガを読むときのマイルール」
「気になったら即買って読む。時間とお金は惜しまない」
注目している新人作家とその作品は?
◆『カグラバチ』外薗健/集英社
刀匠を志す少年チヒロが、刀匠の父を亡くし、妖術を駆使して悪と闘うバトルアクション。寡黙で冷徹なダークヒーローが復讐に生きる物語。
「大胆なコマ割りや圧巻の構図、戦闘中に数分前の和やかな会話シーンを唐突にカットバックするなどのかなり風変わりな演出を使う作家で、マンガというよりハイセンスなバイオレンスアクション映画に近い。マンガ作りの才能が光りまくっていて今後きっとすごいマンガ家になると思います」
食欲の秋に読みたくなる「グルメマンガ」は?
◆『ハクメイとミコチ』樫木祐人/KADOKAWA
森で暮らしている小さなふたりの小人、ハクメイとミコチ。家を造ったり、葉っぱを傘にしたり、昆虫や鳥の背に乗ったり……。1話完結のほっこりとした森の日常劇。
「4巻の最後に収録されている列車旅からハクミコ沼にはまりました。寒い冬、夜汽車の中の売店でおばあちゃんが食べる揚げ山芋のしゃくしゃく感。凍える真夜中に途中駅で買った熱々の生姜天とお茶。そして、列車の乗務員が無料でくれたあんまりおいしくはないけど温かく優しいコーヒー。ハクミコに出てくる食べ物はなにもかもがうまそうで、真夜中にお腹がぐうぐう鳴る」
小説家
深緑野分(ふかみどり・のわき)さん
2010年、「オーブランの少女」で第7回ミステリーズ!新人賞佳作に入選。13年に入選作を表題作とした短編集でデビュー。『戦場のコックたち』(東京創元社)、『スタッフロール』(文藝春秋)で直木賞候補、本屋大賞ノミネート。『ベルリンは晴れているか』(筑摩書房)でTwitter文学賞国内編第一位、直木賞候補、本屋大賞ノミネート。
■発表! CREA夜ふかしマンガ大賞2024
眠りにつく前のひとときに、日中のあれこれを忘れさせ、新しい世界に連れ出してくれる力のあるマンガを称える「CREA夜ふかしマンガ大賞」。昨年からはじまった一般読者による投票を一次選考として、200作品以上が候補にあがるなか、2024年のナンバーワンが決定しました。
文=大嶋律子(Giraffe)
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