コミック編集者・藤原めぐみさん「いま人に薦めたい愛読マンガ」7冊おとぎ話が舞台のダークファンタジー

CREA夜ふかしマンガ大賞2024
選考委員31名の愛読書と「マンガを読むときのマイルール」

　この秋、発表された「CREA夜ふかしマンガ大賞2024」。選考委員を務めてくれたのは、小説家、お笑い芸人、ミュージシャン、マンガ家、テレビプロデューサー、ベテラン書店員など、各界を代表するマンガ好きの31名。

　CREA2024年秋号では紹介しきれなかった、選考委員の皆さんのほとばしるマンガ愛を大公開！

「夜ふかしマンガ大賞に推薦する作品」「人生で思わず夜ふかしして読んだ作品」「マンガを読むときのマイルール」など、マンガ好き必読のアンケートです。

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藤原めぐみさんが「夜ふかしマンガ大賞に推薦するマンガ」

◆『アフターメルヘン』田島生野／イースト・プレス

『アフターメルヘン』田島生野／イースト・プレス

　白雪姫、シンデレラ、ラプンツェル、裸の王様、いばら姫…。おとぎの国の各地で役目を終えた「モノ」を回収するグリム兄弟。不思議なメルヘンの世界を舞台に描く、ダークファンタジー。

「温かくて確かな筆致で描かれる世界は、見ているだけでも楽しいです。幼いころに読んだおとぎ話を振り返りながら読み進める面白さに、知的好奇心が刺激されます」（藤原さん・以下同）

◆『カメレオンはてのひらに恋をする。』厘てく／スクウェア・エニックス

「相手に伝えたいこと、自分が伝えたいことをどう伝えるのか？　伝わるのか？　簡単で難しいのが、大切な人とのコミュニケーションなのかもしれない。真っ直ぐ向かい合う藤永とケイトの姿は美しく、あたたかい愛に満ちています」

◆『恋せよまやかし天使ども』卯月ココ／講談社

「令和らしい“つよつよ男女”のラブストーリー。桂おとぎと一刻（にのまえとき）、ふたりの表情に撃ち抜かれます！」

◆『夜明けの唄』ユノイチカ／シュークリーム

「世界観にぐっと引き込まれ、ドラマティックなシーンの連続に心揺さぶられる作品。BL読者以外にも読んでほしい！」

人生で思わず夜ふかしして読んでしまったマンガは？

◆『ガラスの仮面』美内すずえ／白泉社

『ガラスの仮面』美内すずえ／白泉社

　大女優を目指し奮闘する北島マヤの成長を描く少女マンガの大作。

「コミックスをまとめ買いして家族3人で一気読み。年下の私が読む順番も最後だったので、自然と夜ふかししていました。いつ読んでも、読み出すと止まらない！」

藤原めぐみさんの「マンガを読むときのマイルール」

「最近はすっかり電子書籍派です。通勤時にアプリで長編を読むのも日課。今は『島耕作シリーズ』を読んでいます」

食欲の秋に読みたいグルメマンガは？

◆『3分待って むぎ先輩』七路ゆうき／小学館

『3分待って むぎ先輩』七路ゆうき／小学館

　大学生の湯浅汐と、その教育担当である大学院生の薬師寺つむぎは、日夜研究に邁進中。そして深夜の研究室でご褒美のカップ麺を食べる。理系女子大生の青春、研究とカップ麺のラブコメ。

「カップ麺に特化したグルメマンガ。味を思い出しながら読めて、お腹が空きます。むぎ先輩と湯浅ちゃんの掛け合いにもにっこり」

疲れも吹き飛ぶ！　癒しの動物マンガは？

◆『いとしのムーコ』みずしな孝之／講談社

『いとしのムーコ』みずしな孝之／講談社

　山の中でガラス工房を営む吹きガラス職人のコマツさんと、彼のことが大好きな愛犬ムーコのほのぼのとした日常を描く。いつも元気でちょっとおバカなムーコは、コマツさんが犬じゃないとわかると「早く犬になれますように」と願うように…。

「書き文字で爆発するムーコの感情がかわいい！　コマツさん大好きっぷりに癒されます」

コミック編集者
藤原めぐみ（ふじわら・めぐみ）さん

文藝春秋編集者。主な担当作に『どうせ捨てられるのなら、最後に好きにさせていただきます』『パティシエさんとお嬢さん』（すべて一迅社）など。

■発表！ CREA夜ふかしマンガ大賞2024

写真＝平松市聖

眠りにつく前のひとときに、日中のあれこれを忘れさせ、新しい世界に連れ出してくれる力のあるマンガを称える「CREA夜ふかしマンガ大賞」。昨年からはじまった一般読者による投票を一次選考として、200作品以上が候補にあがるなか、2024年のナンバーワンが決定しました。

文＝大嶋律子（Giraffe）