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アニメイト書店員牧野麻紀子さんの「いま人に薦めたい愛読マンガ」7冊「心震えまくりの作品。続きが楽しみ」

CREA WEB / 2024年10月1日 11時0分

CREA夜ふかしマンガ大賞2024
選考委員31名の愛読書と「マンガを読むときのマイルール」

 この秋、発表された「CREA夜ふかしマンガ大賞2024」。選考委員を務めてくれたのは、小説家、お笑い芸人、ミュージシャン、マンガ家、テレビプロデューサー、ベテラン書店員など、各界を代表するマンガ好きの31名。

 CREA2024年秋号では紹介しきれなかった、選考委員の皆さんのほとばしるマンガ愛を大公開!

「夜ふかしマンガ大賞に推薦する作品」「人生で思わず夜ふかしして読んだ作品」「マンガを読むときのマイルール」など、マンガ好き必読のアンケートです。


牧野麻紀子さんが「夜ふかしマンガ大賞に推薦するマンガ」

◆『カメレオンはてのひらに恋をする。』厘てく/スクウェア・エニックス


『カメレオンはてのひらに恋をする。』厘てく/スクウェア・エニックス

 なかなか俳優として芽が出ない大学生の藤永は、オーディションに落ち続けて自信を失いかけていた。そんな中、先天性難聴の大学生のケイトと出会う。伝えたいもどかしさを持つふたりのハートフルラブストーリー。

「耳が不自由で、いろいろなことを諦めてしまいがちな青年と、表現したいことが多すぎて俳優として空回りしている青年が、手話を通じて【伝える】ことの大事さ、出会ったことの意味を見つめていく。

 障がいを感じず生きている人も、多少の生きづらさを抱えてもがいているのではないかと思います。伝えること、理解し合うことの重要さを教えられる、心震えまくりの作品です。続きが楽しみ!」(牧野麻紀子さん・以下同)

◆『ひだまりが聴こえる-春夏秋冬-』シリーズ 文乃ゆき/プランタン出版

「第1候補に『カメレオンはてのひらに恋をする。』を挙げたので、こちらもぜひ! 難聴を患い、人と距離を置きがちな大学生・杉原と、底抜けに明るい同級生の太一。ふたりが出会い、心の距離を縮めていくことで、彼らを取り巻く周囲の対応も少しずつ変わっていく。大学生から社会人へ。世間の壁は厳しいけれど、丁寧に紡がれるふたりの時間に、世界の見え方もちょっぴり変わるかもしれません。夏にはドラマ化も」

◆『ゴミ屋敷の鎌倉さん』あるくジョー/シュークリーム

「仕事のストレスから心を壊してしまい、ゴミ屋敷に引きこもってしまった鎌倉さんと、惨状を見かねて掃除を買って出た隣人の荒井。おせっかいなほどに世話を焼く荒井をなぜか拒否しきれない鎌倉さんとの奇妙な同居生活が始まる。徐々に平穏を取り戻していく鎌倉さんと同じく、荒井にも世話を焼かずにはいられない事情があった……。それぞれが魂の救済を求めて惹かれあう、そんな希望の光が差し込む物語。ぜひ読んでほしいです!」

人生で思わず夜ふかしして読んでしまったマンガは?

◆『ミステリと言う勿れ』田村由美/小学館


『ミステリと言う勿れ』田村由美/小学館

 久能整は飄々とした性格ながら観察力と弁舌に優れた大学生。さまざまな事件に巻き込まれながらも、それを解決に導いていくミステリーマンガ。

「ドラマ化もされた大ヒット作ですが、原作を読む機会を逃しており、最近読み始めました。読んでいくうちに、大好きな京極夏彦先生の『百鬼夜行』シリーズみたいだな、と。整くんのとりとめのない雑談のような会話から、次第に解き明かされる謎や心のもやもやは、京極堂の憑き物落としのよう。令和にはこれが効きます。寝る前に読むと、もっと読みたい! となりつつ、心がすっと落ち着いて安眠を誘います。大事に大事に読みたいシリーズ」

牧野麻紀子さんの「マンガを読むときのマイルール」

「いまだに電子よりも紙の書籍で読みたい派です。没入感が違うんですよね。指でページをめくる贅沢時間を含めて読書体験なので、日々の雑事を終わらせて、処々整えてからと思うと、夜遅くからの読書タイムになりがちです。結果、積読が増えています」

今、最も注目している新人作家とその作品は?

◆『君がまた描きだす線』加藤羽入/祥伝社


『君がまた描きだす線』加藤羽入/祥伝社

 とあるマンガ編集プロダクションを舞台に「自分が自分であるために」闘う女性たちの夢とリアルを描いたオムニバスストーリー。

「『マンガ』という表現手段を通じて、生きる道を見つけようともがく人々の清き挑戦の物語。3話目の、毎月届くファンレターでつながるファンとマンガ家の物語が心に染みます。伝える情熱と受け取る魂の交流。心に秘めた想いを表現することで未来は変えられるかもしれない。私も、大好きな作家さんに『ファンレター書こう……っ!』って思いました。マンガから特別な栄養を摂取している方には、ぜひおすすめしたい1作です」

食欲の秋に読みたいグルメマンガは?

◆『三ツ矢先生の計画的な餌付け。』松本あやか/ぶんか社


『三ツ矢先生の計画的な餌付け。』松本あやか/ぶんか社

 新米編集者の石田友也は、入院した先輩のピンチヒッターで、急きょ有名料理研究家三ツ矢歩の原稿の受け取り担当に任命される。先生にふるまわれる料理にすっかり胃袋をつかまれ……。

「ドラマ化されているふんわりボーイ・ミーツ・ダンディ・グルメラブ(笑)。ナイスミドルな料理研究家と、腹ペコ元球児との『ごはん』を通しての優しいラブが展開されます。お料理がおいしそう! そして腹ペコ大型ワンコ系彼の食べっぷりに三ツ矢先生でなくても惚れます。エロいシーンはないのでご安心を。これを読んで、雲田はるこ先生の『R先生のおやつ』を思い出しました。こちらもイケオジR先生の料理に見事に餌付けされるイケメン助手君が出てきます。お目目と心が満たされます!」

2024年秋に読みたい「動物マンガ」は?

◆『ねこに転生したおじさん』やじま/KADOKAWA


『ねこに転生したおじさん』やじま/KADOKAWA

「社会で頑張るおじさんの心の隙間を埋めてくれるのは、すべてねこさん。でも、そのねこさんの中身もおじさんかもしれません……!? SNSでお見かけしたときから心を鷲づかみにされてしまい……。かわいいとは言い難いおじさんたちが、絶妙にキモかわいくて最高です。そして、現実世界でねこさんを見ても、おじさんの気配を感じてニヤニヤしちゃいます(笑)。ねこのいる世界、サイコー!」


アニメイト書籍担当
牧野麻紀子(まきの・まきこ)さん

アニメイトの書籍販促(主にBL)を担当。「全国にお店があるので、ぜひ、お近くのアニメイトへ!」
https://www.animate.co.jp/

■発表! CREA夜ふかしマンガ大賞2024


写真=平松市聖

眠りにつく前のひとときに、日中のあれこれを忘れさせ、新しい世界に連れ出してくれる力のあるマンガを称える「CREA夜ふかしマンガ大賞」。昨年からはじまった一般読者による投票を一次選考として、200作品以上が候補にあがるなか、2024年のナンバーワンが決定しました。

文=大嶋律子(Giraffe)

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