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マンガ司書・みさき絵美さんの「いま人に薦めたい愛読マンガ」7冊「1話1話が観劇したような充実感」

CREA WEB / 2024年10月2日 11時0分

CREA夜ふかしマンガ大賞2024
選考委員31名の愛読書と「マンガを読むときのマイルール」

 この秋、発表された「CREA夜ふかしマンガ大賞2024」。選考委員を務めてくれたのは、小説家、お笑い芸人、ミュージシャン、マンガ家、テレビプロデューサー、ベテラン書店員など、各界を代表するマンガ好きの31名。

 CREA2024年秋号では紹介しきれなかった、選考委員の皆さんのほとばしるマンガ愛を大公開!

「夜ふかしマンガ大賞に推薦する作品」「人生で思わず夜ふかしして読んだ作品」「マンガを読むときのマイルール」など、マンガ好き必読のアンケートです。


みさき絵美さんが「夜ふかしマンガ大賞に推薦するマンガ」

◆『環と周』よしながふみ/集英社


『環と周』よしながふみ/集英社

 物語は現代編、明治時代編、70年代編、戦後編、江戸時代編、エピローグで構成されたオムニバス短編集。共通するのは環と周というふたりの名前だけで、性別も年齢も異なる。さまざまな愛のかたちを描くヒューマンドラマ。

「さまざまな立場で巡り合うふたりの物語はどれも繰り返し読みたくなる。これまで名前のついていないような関係性すら見事に描き出され、1話1話が舞台を見に行ったような充実感」(みさき絵美さん・以下同じ)

◆『mothers』草原うみ/トゥーヴァージンズ

「人と人はいつも上手くいくとは限らない。親子、兄弟、祖母と孫など、近くに居るのにわだかまる気持ちが、さらりとやわらかに描かれる。甘いばかりではないのに、物語がすとんと胸に落ちていく」

◆『ファミレス行こ。』和山やま/KADOKAWA

「大学生とヤクザ、ふたりのやりとりはそっけなくて軽妙なのに、固唾を飲んで見守ってしまうような、危うい胸の高鳴りを感じてしまう……。周囲の人々の味わい深さも楽しい」

人生で思わず夜ふかしして読んでしまったマンガは?

◆『ベルサイユのばら』池田理代子/集英社


『ベルサイユのばら』池田理代子/集英社

 フランス革命前後を舞台に、男装をした女性オスカルやフランス王妃・マリー・アントワネットらの波乱万丈な生涯を描いた不朽の名作。

「名作なのだとよくよくその名を聞き、フランス革命の話で、と前情報もたっぷり知っていたはずなのに、読みだすと『えっ! こんなに面白いの!?』と物語から離れられなくなるようなドラマチックさにのめりこみました」

みさき絵美さんの「マンガを読むときのマイルール」

「いつでもどこでも! が、むしろマイルールかも。気になる作品は、何はともあれすぐページをめくりたくなります。にぎやかなカフェでも、ひっそりとした深夜でも、すぐに面白さに浸れるのって嬉しいです」

青田買いした注目の新人作家の作品は?

◆『思春期姉弟』みそくろ/ワニブックス


『思春期姉弟』みそくろ/ワニブックス

 思春期を迎えた中学校2年生の男女双子、日野陽介とみかげを軸に描く青春コメディ。

「双子の中学生姉弟の身体と心の成長をめぐるドタバタは、気恥ずかしくもコミカルで楽しい。そして人を好きになること、本能とは? に向き合う様子は、思春期をとっくに過ぎた大人にも、なんだか繋がっているように感じられる」

食欲の秋に読みたいグルメマンガは?

◆『パンが焦げてもふたりなら』たな/オレンジページ


『パンが焦げてもふたりなら』たな/オレンジページ

 主人公は気遣い屋で心配性のはーさんと楽天家でややうっかりのひーさん。キッチンでの何気ないやりとりを覗く、ふたり暮らしのおいしい物語。

「おにぎりや鯛焼きといった、身近な食べ物のおいしさを確かに描写する見事さと、おいしいものを食べて暮らしていくふたりの姿が穏やかで温かい。1冊にまとまるのを楽しみに待っていました!」

2024年秋に読みたい「動物マンガ」は?

◆『貼りまわれ! こいぬ』うかうか/秋田書店


『貼りまわれ! こいぬ』うかうか/秋田書店

 食いしん坊で真面目な主犬公、こいぬ。ある日、会社が倒産したと告げられ、途方に暮れていると不思議な求犬広告を見つけ……。

「ちんまりした目の犬たちには愛らしさと可笑しみが同居している。かわいいうえに、読んだらすっぱり犬の世界に連れていってくれる。現実のいろんなあれこれはさておき、思わず笑ってしまうひとときを作れる、実は力強い作品だと思っています」


マンガ司書
みさき絵美(みさき・えみ)さん

公共図書館、マンガ専門図書館の司書を経て、現在はマンガのアーカイブに取り組んでいる。

■発表! CREA夜ふかしマンガ大賞2024


写真=平松市聖

眠りにつく前のひとときに、日中のあれこれを忘れさせ、新しい世界に連れ出してくれる力のあるマンガを称える「CREA夜ふかしマンガ大賞」。昨年からはじまった一般読者による投票を一次選考として、200作品以上が候補にあがるなか、2024年のナンバーワンが決定しました。

文=大嶋律子(Giraffe)

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