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ライター・三浦天紗子さんの「いま人に薦めたい愛読マンガ」9冊「女性職人たちの表情に目が釘付け」

CREA WEB / 2024年10月3日 11時0分

CREA夜ふかしマンガ大賞2024
選考委員31名の愛読書と「マンガを読むときのマイルール」

 この秋、発表された「CREA夜ふかしマンガ大賞2024」。選考委員を務めてくれたのは、小説家、お笑い芸人、ミュージシャン、マンガ家、テレビプロデューサー、ベテラン書店員など、各界を代表するマンガ好きの31名。

 CREA2024年秋号では紹介しきれなかった、選考委員の皆さんのほとばしるマンガ愛を大公開!

「夜ふかしマンガ大賞に推薦する作品」「人生で思わず夜ふかしして読んだ作品」「マンガを読むときのマイルール」など、マンガ好き必読のアンケートです。


三浦天紗子さんが「夜ふかしマンガ大賞に推薦するマンガ」

◆『神田ごくら町職人ばなし』坂上暁仁/リイド社


『神田ごくら町職人ばなし』坂上暁仁/リイド社

 桶屋、刀鍛冶、紺屋、畳刺し、左官……。匠の手仕事と心意気の物語。

「人情噺のオムニバスなのですが、職人たちの仕事ぶりや矜持がとてもイキイキと伝わってきたことや、何より女性職人がたくさん登場するのが好きですね。何かに打ち込む女性たちの表情に目が釘付けになります。マクロレンズレベルで描写される肉体や道具など、とにかく画力にうっとり。この数年に出てきた作家の中でも群を抜いていると思います」(三浦天紗子さん・以下同)

◆『佐々々奈々の究明』森泉岳土/小学館

「著者自身も大のミステリーファンだそうで、山奥の別荘や密室など道具立ても本格系。推理展開と画力のハーモニーが織りなす完成度に惚れ惚れします。予備知識なしで謎解きを楽んでもらいたい」

◆『ウスズミの果て』岩宗治生/KADOKAWA

「プレデターが跋扈する終末世界。荒廃した街を彷徨いながら、誰かと出合ったり見知らぬ何かに触れたり、人間らしい営みを続けるヒロイン・小夜の背中を追わずにはいられません。相棒のクーもかわいい。無二の世界観を構築していると思います」

人生で思わず夜ふかしして読んでしまったマンガは?

◆『血の轍』押見修一/小学館


『血の轍』押見修一/小学館

 過保護な母親・静子と中学2年生の息子・静一。夏休みのある日、静一の目の前で、彼のいとこを静子が崖から突き落としたかに見えた事件が。毒母と壊れた息子の愛憎を描くサスペンスマンガ。

「昔の作品だといろいろあるのですが、この数年でいえば本作でしょうか。母と息子の歪んだ蜜月、閉ざされた家庭(社会)で育った人間の主観と、リアル社会との齟齬、愛というものの豊かさと恐ろしさ等々、迷宮をぐるぐる彷徨う心地でしか読めません。社会で理解が難しい怖い事件に触れるたび、そこに歪んだ親子関係が関わっていることが多いので、余計興味深く読んでしまいました」

三浦天紗子さんの「マンガを読むときのマイルール」

「マンガを読むときは、マンガ漬けになりたいです。最高の環境は、お気に入りのマンガ喫茶。いわゆる穴蔵みたいな場所ではなく、ちゃんと窓があって、趣味のいい新刊がいろいろとあって、ハンドドリップのコーヒーが飲めるところです。途中外出もできるので、出たり入ったり、眩暈がしてくるまで読みふけります」

青田買いした注目の新人作家の作品は?

◆『十次と亞一』コドモペーパー/新書館


『十次と亞一』コドモペーパー/新書館

 売れないマンガ家・小林十次は、ひょんなことから売れっ子の幻想小説家・大江亞一と出会う。明治・大正期の架空の下宿屋を舞台に描く、ふたりの男をめぐるミステリ。

「大正ロマンの色濃い時代を舞台にした非BL系ボーイ・ミーツ・ボーイの物語。謎解きとふたりの友情とが掛け合わされたストーリーも魅力的。本作は万年筆を使って描いたというのも驚きであり、そのタッチに惹き込まれます」

◆『花の在りか』大横山飴/KADOKAWA


『花の在りか』大横山飴/KADOKAWA

 物書きをしている主人公・三ツ郎が、子ども時代に仲のよかった真帆と再会したことから、物語が動き出す純文学的青春譜。

「青年マンガ(なのでちょっとエロ系)で数年前にデビューしているので青田買いか微妙ですが、「月刊コミックビーム」で出たこれが実質デビュー作とみていいのではと。地方の街に戻ってきた青年と女性が再会するのですが、恋愛未満の彼らの距離感がリアル。しかも彼らの宙ぶらりんな内面(居場所が決まらない、将来が見えないみたいな)と関係性と二重写しになっていて、うまい。映画を観るような作品に仕上がっています。独特の画風も含め、マークしていきたい作家さん」

◆『梅花の想ひ人』おく/KADOKAWA


『梅花の想ひ人』おく/KADOKAWA

 日本各地の民話をもとにした5篇を収録。美しく迫力のあるフルカラー作品集。

「ストーリーは、日本各地に点在する昔話がベースで、それをアレンジして作られています。ゆえに、どこかで見知った話(オムニバス。たとえば1話目は「鶴の恩返し」みたいな話)なのですが、圧巻の画力と組み合わさると、ものすごく豊かな作品になるんですね。1ページ1ページが絵画のよう」

食欲の秋に読みたいグルメマンガは?

◆『雨がしないこと』オカヤイヅミ/KADOKAWA


『雨がしないこと』オカヤイヅミ/KADOKAWA

 雨ちゃんは恋をしない。凝り始めると同じ料理ばかりを作り続ける。花山雨という女性をめぐる群像劇。

「グルメマンガとは違うんですけど、グルメというか、料理を描く場面がすごく食欲をそそるんですね。主人公の花山雨が料理好きという設定で、自家製トルティーヤでタコスを作ったり、手作り焼売を蒸したり、揚げ立てのオクラ蕎麦とか、丁寧に暮らしている感じが出ている食事は、読んでいて楽しい」

2024年秋に読みたい「動物マンガ」は?

◆『永久機関シマエナガ-シマエナガとカラスさん-さんばいめっ!』青春/KADOKAWA


『永久機関シマエナガ-シマエナガとカラスさん-さんばいめっ!』青春/KADOKAWA

 あざとかわいいシマエナガと、クールで鋭いツッコミを持つカラスが織りなす友情コメディ。

「シマエナガとカラスがコンビでボケとツッコミやっているような雰囲気の4コママンガです。妙に理屈っぽいセリフが、シニカルな笑いを誘うのでクセになります。シマエナガって実物もかわいいけれど、こうしてデフォルメしてもかわいい」


ライター・ブックカウンセラー
三浦天紗子(みうら・あさこ)さん

『CREA』『an・an』をはじめとした女性誌でのマンガ紹介や、文芸誌などで書評やインタビューを担当。著書に『震災離婚』(イースト・プレス)など。

■発表! CREA夜ふかしマンガ大賞2024


写真=平松市聖

眠りにつく前のひとときに、日中のあれこれを忘れさせ、新しい世界に連れ出してくれる力のあるマンガを称える「CREA夜ふかしマンガ大賞」。昨年からはじまった一般読者による投票を一次選考として、200作品以上が候補にあがるなか、2024年のナンバーワンが決定しました。

文=大嶋律子(Giraffe)

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