「伊澤を助けるのはあかりちゃん」『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりと伊澤彩織が語る“ちさまひ”の関係の深化
CREA WEB / 2024年9月24日 11時0分
2021年に公開された映画『ベイビーわるきゅーれ』は、ティーン女子の殺し屋コンビのまったりコミカルな日常と激しいアクションで話題になりシリーズ化。さらに現在は地上波でドラマ『ベイビーわるきゅーれ エブリデイ!』(テレビ東京系)が放映中と、その世界が広がり続けている。バイオレンス描写も激しいアクション映画ながら女性ファンの推し熱量も高いという。間もなく映画3作目が公開されるのを前に、主演の伊澤彩織さん(30)、髙石あかりさん(21)にインタビューした。
自然体で臨んだ濃密な3週間
――お2人が殺し屋コンビを演じるシリーズも『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』で3作目。今回の映画では何か新たなテーマをもって臨まれたのでしょうか。
髙石 特に新しいことはしていないです(笑)。前作の『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』以降、このシリーズでは何か新しいことをするのはやめようと思っていて、私と伊澤さんはとにかく流れに身を任せようと。『ナイスデイズ』(以下、3)は特に、池松壮亮さんや前田敦子さんが参加されて、そういう皆さんに動かされていく物語だったので、私たちはそこに身を任せて、自然体でいようという感覚でした。
伊澤 そうですね。事前に準備できることはアクションの立ち回りを体に覚えさせることぐらいで、あとは現場でどれだけ自分がその空間を把握できるか、楽しめるかどうかだなって思ってました。スタッフさんや周りの人たちが作ってくれる波に自分がしっかり乗れればいいなあって。
髙石 そうそう。
伊澤 でも始まってしまえばそれすらも考える暇もない怒涛の毎日でした。撮影期間も「1」の時は1週間、「2」は2週間、「3」は3週間って、どんどん長くなってきたんです。「3」は宮崎でロケをしたんですが、その間は1日の時間感覚が3から5日間分ぐらいになっていた。もうメチャクチャ長く感じるんです。今日の朝って昨日だっけ?みたいな。
髙石 あははは。
伊澤 本当に時間が濃すぎて、楽しかったです。だから、ずっと宮崎にいるような感じでした。実際は3週間しかいなかったんですけど。
髙石 ほんとうに密度の濃い撮影で、楽しかった。私は宮崎出身なので、故郷に大好きなスタッフの皆さんと伊澤さんが来てくれてるっていうだけで、自分の中で一個「ルンッ」ていう気分が増してました。毎日ワクワクして、うれしいなって思ってました。
今までになく重く描かれた「ちさまひ」の危機
――シリーズが進むにつれて、髙石さん演じる「ちさと」と伊澤さん演じる「まひろ」の関係性も深化しているように感じますが、演じていらっしゃるお2人から見てどうでしょうか。
髙石 変わってきてると思います。
伊澤 うん。
髙石 「1」では最初にちさととまひろは組織から「ルームシェアしてください」って言われて一緒に住むことになったんですけど、「え~」っていう感じでした。「2」ではかなり信頼関係が出来ていて、阪元(裕吾)監督は「(2は)ケガを負った2人が互いをかばい合うことで一つになる」のが「ちさまひ(ちさと・まひろ)」のテーマとおっしゃってました。
伊澤 それで「2」の舞台挨拶の時に、監督は「『3』のテーマは『1人じゃない』です」と言ってて。
髙石 今回、これまでになく生きるか死ぬかっていう危機に2人が直面します。ちさとから見たまひろの命の危機、まひろから見たちさとの命の危機。そこで「1人じゃない」というテーマがくっきりしてくる。
伊澤 うん。今までより死に近づいていた感覚があった。ギリギリでちさとが駆けつけてくれる時もしかり、池松さん演じる「冬村かえで」との戦闘中もしかり、自分たちの限界を超えて死に近づく(かえでを含めて)3人というのが、今までになく重く描かれているから、自分もすごい緊張感を持って撮影していたし、試写で見た時もすごいドキドキしました。
「まひろ、かっこいいじゃないですか」
――1人では敵わないかもしれない強大な敵に、ちさととまひろが2人で立ち向かうところにぐっときますね。『ベイビーわるきゅーれ』は、この種の映画としては女性のファンがとても多いような気がします。
髙石 確かにそうですね。
伊澤 私は確実に(女性のファンが)増えました。女性からすごく評判がいいというか。
髙石 だって、まひろ、かっこいいじゃないですか。みんな「惚れた」って言います。惚れちゃいますよね。
伊澤 ねえ。言ってくれてうれしいと思って。
髙石 今日はちょっとスカートなんか履いてますけど(笑)。
伊澤 えへへ。
髙石 素敵ですよね。たぶんそういうギャップにやられるんだと思うんですけど。
伊澤 女性もかなり熱量髙く推し活してくれてます。
髙石 まひろにすごく共感する部分があるって言ってくださる方も多いんです。まひろと同じように、人間関係うまくできないなとか、社会になじめないなとか思ってる人が、バーンってアクションシーンになった時に、そのギャップにキュンキュンしてしまう……キュンキュンってちょっと古いかな(笑)、でも私もキュンキュンしてるので。
伊澤 (笑)
――伊澤さんはどうですか。
伊澤 ……なんて言うんでしたっけ。シスターフッド? やっぱり私一人じゃ意味がないというか、女性2人がいて、その2人が戦うのがいいのかなと思います。今の社会って、戦いって物理的なものだけではないじゃないですか。精神的なものだったり、人間関係などでもみんなどこかしら戦っていることがあって。正直アクションで戦って見せることのほうがまだ簡単なのかもしれないです。
髙石 簡単ではないと思いますけど(笑)。
伊澤 形じゃないものと戦っている人には、まひろとちさとが2人で一緒に時間を過ごしながら何かに立ち向かっていくという姿が、どこか勇気をくれた、ちょっとした応援歌みたいな存在になれたのかなって。『ベビわる』を見た人からのお手紙を読むと、女性は特にちさととまひろに自分を重ねて見てくれてるのかなって感じます。
髙石 集団行動が苦手な2人なのに、「3」では前田敦子さん演じる「入鹿みなみ」たちと集団行動になってしまうんですけど、まひろはすごく拒否反応を示してました。「嫌です、嫌です」って。
伊澤 ちさとも入鹿と険悪になってたしね。
髙石 そうそう。ちさまひは2人がいちばんなので。
作品に生きた2人の関係性
――ちさととまひろの関係には、多少恋愛的な要素も感じられたりします?
伊澤 ないと思いますね。そこはたぶん最初から阪元監督の設定にはないと思います。もちろんどこまでが恋愛か、分けるのは難しいかもしれませんけど。
髙石 愛ではあると思うんですけどね。
伊澤 恋でもあるし、愛でもあるし、友情でもあるし。
髙石 家族愛とか。
伊澤 そうそう。不思議な関係性だよね。
髙石 名前は付けなくていいんじゃないかな。
――自然体で撮影に臨んだとのことですが、実際のお2人の関係性が作品に生きているんでしょうか。
伊澤 そう思いますね。私はあかりちゃんがちさとでいてくれた時にまひろになれるんです。自然に引っ張られていきます。
髙石 私も伊澤さんがまひろでいてくれると、ちさとになれるんです。ちさとは結局ちさとで安定しているけれど、まひろってすごい不安定で、不安定な中で爆発力があるんです。そんなまひろを、たぶんちさとは「素敵」とか「いいな」って、心の中でまぶしく思ってるんです。たぶん同じようなことが実際の私たちにも起きていて。私ってあんまり物を考えてないんですけど(笑)……。
伊澤 そんなことないよ。
髙石 伊澤さんは、不安を抱えていても、中に芯がある。そこから生まれてくる芝居と感情が圧倒的に素晴らしいので、それを私は感じていたい。それを感じた時に、私自身もすごく輝くことができると思っているんです。伊澤さんはたまに「ウジウジしててごめんね」みたいなことを言うんですけど、私はそのままがいいと思って。そのままが素敵で、だからこそものすごい輝く瞬間があるんですよ。
伊澤 私はネガティブ7割、ポジティブ3割ぐらいでできている人間だという自覚があるんです。そのぐらいの波長の人が友達になったりとかもするので、「ネガティブなりに生きていこうな」みたいな感じになるんですけど。でも、あかりちゃんは出会った時から本当に太陽みたいな存在で、あかりちゃんがいると、現場が一段、明るくなるんですよね。それを見ていて「ああ、自分はあんなふうにはできないな」とかって……あっ、まひろと同じこと考えてる。
髙石 まひろだ!(笑)
伊澤 やっぱりこのシリーズはちょっと当て書きの部分があるので、私はすごくまひろの考えが分かるんですよ。まひろの感情が自分に浸透していく中で、弱い部分を受け入れてくれる人にいつも救われているんです。伊澤を助けてくれるのはあかりちゃんで、まひろを助けてくれるのはちさとで。今回池松さんが演じた冬村かえでは、ちさとと出会わなかった世界線のまひろと言えるんですけど、本当に私自身に置き換えても言えることで。髙石あかりに出会わなかったら私はどんなふうだったかなって思います。
髙石 同じことを思います。お互いにお互いを欲しているのを感じているし。
伊澤 あかりちゃんが前に、私たちは足りないピースをお互いが持ってる、みたいに言っていたんです。たぶんまだジグソーパズルは完成してないと思うんだけど、お互いに持ってるピースがあって、それを1個ずつ一緒にはめられているような感じがします。
――素敵な関係なんですね。
伊澤 そのぐらい快適なんです。『ベイビーわるきゅーれ』のパズルは、最初はとても小さかったのに、今はこーんなに(と手を広げる)。
髙石 大きい(笑)。
伊澤 大きい地図にどんどんなっていってるような感じがします。
『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』
2024年9月27日(金)より、新宿ピカデリーほか全国公開
配給:渋谷プロダクション
©2024「ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ」製作委員会
監督・脚本:阪元裕吾
出演:髙石あかり、伊澤彩織
水石亜飛夢、中井友望、飛永 翼(ラバーガール)
大谷主水、かいばしら、カルマ、Mr.バニー
前田敦子
池松壮亮
音楽:SUPA LOVE
アクション監督:園村健介
公式HP:https://babywalkure-nicedays.com/
髙石あかり、伊澤彩織
ヘアメイク:住本彩 or Aya Sumimoto
スタイリスト:金田健志 or Kenshi Kaneda
髙石さん ジャケット¥48,400、スカート¥44,000、タイツ¥7,150、ネックレス¥25,300
ODAHKA(S&T)/ブーツ¥33,000 ALM./イヤーカフ¥23,10、リング 右手人差し 指¥19,800 DELPHINE CHARLOTTE PARMENTIER(H.P.FRANCE)/リング 右手中指¥22,000 NUUK(gr@pevine by k3)
伊澤さん カーディガン¥64,900、ビスチェ¥143,000、スカート¥52,800、ネックレス¥31,900
ODAHKA(S&T)/シューズ¥27,500 ALM./イヤーカフ¥6,380、バングル¥9,790
HER NOISE/リング 右手薬指下¥13,700 SERGE THORAVAL(H.P.FRANCE)
/リング 左手中指¥19,250 NUUK(gr@pevine by k3)/その他 スタイリスト 私物
問い合わせ先
S&T→03-4530-3241
ALM.→https://@lmoffici@l.com
H.P.FRANCE→hpfr@nce@hrgrp.com
gr@pevine by k3→03-3464-5354
HER NOISE→INSTAGRAM@hernoise
文=CREA編集部
写真=三宅史郎
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