21歳になった奥平大兼がこれまでの出演作とともに4年間の自身の成長を振り返る
CREA WEB / 2024年9月27日 11時0分
2020年公開の映画『MOTHER マザー』で長澤まさみの息子役で衝撃デビューを果たした奥平大兼。初主演を務めた『君は放課後インソムニア』やミステリアスな生徒を演じた学園ドラマ「最高の教師」など、これまでの出演作を振り返ることで、自身の成長について語る【前篇】。
新人賞総ナメ後に感じた率直な気持ち
――デビュー作『MOTHER マザー』で「第44回日本アカデミー賞」など、さまざまな新人俳優賞を受賞されました。当時の心境は、いかがでしたか?
いろんな方に評価していただいて、もちろん「とても嬉しい」という気持ちがいちばんにありましたが、客観的にみて、「なぜ、自分がこの賞を獲れたのか?」ということが分かっていなかったというのが正直なところでした。同じことはできないし、「今後、自分がどうすればいいのか?」いう気持ちもありました。
その後、いろんな監督や作品と出会うことで、勉強させてもらうこともありましたし、相談させてもらうところもあったので、そこでだんだん分かってきたところもありますし、まだ分かっていないところもあります。
――そして、20年10月放送のドラマ「恋する母たち」。初の連ドラ現場であり、LGBTの少年・大介を演じました。
僕の中では『MOTHER マザー』でのお芝居や撮影の進み方というのがすべてだったので、いい意味でも悪い意味でも、それを作品に出した作品です。お芝居で感じたことをちゃんと正直に出すというのは変わりませんでしたが、作品のテイストも会話のテンポも違うわけで。
『MOTHER マザー』のときは監督に「喋りたくなければ、喋らなくていい」と言われていたので、そういう間のお芝居をしていたのですが、お父さん役の矢作(兼)さんとシーンで1分ぐらい黙っていたら、「それはさすがに長すぎる」みたいな空気になったんです。そこで連ドラと映画の違いみたいなものを痛感しました。
――続いて、21年4月放送のドラマ「ネメシス」で演じたAI開発の天才・姫川。23年の映画版『映画ネメシス 黄金螺旋の謎』にも出演されました。
2回目の連ドラ挑戦という感じだったのですが、周りの演者の方々がかなりの先輩方ばかりで、自分がその場にいることで、ものすごく緊張したことを覚えています。しかも、難しい専門用語が多い長ゼリフばかりで、「これはNG出せない」というプレッシャーもあって、結局何テイクもやらせてもらったことを覚えています。
その後の映画版に呼んでいただいたときは、同じ役でも同じぐらい年月が経った設定だったので楽しかったですし、みなさんから「なんか大人っぽくなったね」と言われて、どこか新鮮な感覚になりました。
素直な気持ちを監督に相談し、一歩一歩成長を遂げる
――22年公開の『マイスモールランド』では、嵐莉菜さん演じる在日クルド人のヒロインを温かく見守る高校生・聡太を演じました。個人的には、この頃から奥平さんの「受け芝居」から目が離せなくなりました。
川和田(恵真)さんが商業映画初監督で、嵐莉菜さんも初めての映画ということもあり、みんなで探り合いながら作っていこうという現場で、「映画2作目がこの作品で良かったな」と思っています。現場では川和田さんに、アカデミー賞を獲った後の自分の正直な気持ちを話したんですが、そのとき川和田さんが具体的に「こうした方がいいんじゃない」ではなく、「多分、考えすぎなんだと思うよ」みたいなことを言ってくださって、気持ちが楽になったことを鮮明に覚えています。そういう意味では、自分のことを分かっていく入口に立つことができた作品かもしれません。
――そして、快進撃が始まる23年。1月公開の『あつい胸さわぎ』では吉田美月喜さん演じる若年性乳がんを宣告されるヒロインの初恋相手・光輝役を演じます。
監督のまつむら(しんご)さんにも本当にお世話になっていて……何度も自分の悩みを聞いてもらっています。実は最初、別の役でお話をいただいていたんです。とてもやりがいがある役だと思いつつ、「いまの自分が成長できるのは、ちょっと大人びた光輝の方かもしれないです」という話を、まつむらさんにさせてもらいました。
それについては、今もとても感謝していますし、僕が光輝として先輩の俳優さんにタメ口で話すときに、どこか不自然になってしまうところをすぐに察して、「現場ではみんな敬語禁止」というルールを作ってくださったんです。映画を撮りつつ、そういう細かいところまで支えてくださったことはありがたかったです。
あと、前田(敦子)さんがめちゃくちゃ仲良くしてくださって、難しい一緒のシーンもラフな気持ちでいることができました。
――4月公開の『ヴィレッジ』では、横浜流星さん演じる主人公とともにゴミ処理場で働く作業員の後輩・龍太役を演じました。
監督の藤井(道人)さんは、初めて口頭で「大兼はこういうことがまだ上手くできてない」と、具体的に指摘してくれた人です。カメラ位置を意識して、お芝居することだったり、台本通り一字一句セリフを言うことだったり、技術的なことですね。それまでの作品では「自由にやってほしい」と言われることが多かったのですが、クランクインの日にそうやって藤井さんにハッキリ言われたことは嬉しかったですし、「こうした方がいい」ということも明確に言葉で伝えてくれたんです。
見た目はチャラい役なんですけれど、ちゃんと周りを見ながら、空気を読んでいるところもあるので、主演の横浜流星さんだけでなく、周りの人を見ながらお芝居をしていました。そして、クランクアップのときに「どんどん良くなったよ」とって言ってくださって、「次、この人に会ったときに、成長したところを見せたいな」と思いました。だから、『パレード』(24年)に呼んでくださったときは嬉しかったです。
当て書きの役柄を演じたドラマ「最高の教師」
――6月公開の『君は放課後インソムニア』では森七菜さんとW主演されました。心臓病である森さん演じるヒロインに寄り添う丸太役も印象的でした。
初めての主演映画でありつつ、マンガ原作の実写化なので、そこに対しての役作りや映画作りを初めて意識した作品でした。プレッシャーまではいかなくても、原作のオジロマコトさんを始め、原作の大ファンの森七菜さんだったり、いろんな方の想いを背負っていることを強く感じましたね。
とはいえ、現場では池田千尋監督も一緒に「とりあえずやってみようか」というメンタルでいることができて楽しかったです。「自分だったら、どう接して、どういう気持ちになるか?」と、丸太という役でなく、自分の感覚で森七菜さんが演じた伊咲について考えながら、台本を照らし合わせて演じました。
――さらに、7月放送のドラマ「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」では、ミステリアスな雰囲気を持つ3年D組の生徒・星崎役を演じました。同世代の俳優との学園ドラマはいかがでしたか?
初めての学園ドラマだったのですが、プロデューサーさんと監督さんが「ZIP!朝ドラマ「サヨウナラのその前に Fantastic 31 Days」でご一緒した大好きなチームで、「この役は大兼の当て書きだから、自由にやっていいよ」と言われていたんです。
「自分は、どう見えているんだろう?」と思いつつ(笑)、その自由がプレッシャーにならなかったというか、お芝居として成り立たせつつ「好き勝手やってやろう!」みたいな気持ちでした。でも、あそこまで集団で芝居することが初めてだったので、その大変さはありました。現場はめちゃくちゃ楽しかったし、いちばん記憶に残っている役かもしれないです。
――メイン回だった10話後に配信された、スピンオフドラマ「3年後の僕たちは」も印象的でした。
3年後の星崎が、当時を10分間ぐらいアドリブで振り返る企画だったのですが、星崎が3年後にどうなっているのかを考えつつ、当て書きだと言われていたので、自分の3年後もちょっと考えながら話していたんです。そうしたら、泣くつもりがなかったのに、めちゃくちゃ泣けてきちゃって、「お芝居しながら、こういう瞬間があるんだ」と思いましたね。それまで、泣こうと思って泣くときもあるし、自然と涙が出るときもありましたが、もう号泣だったんですよ。またひとつ、お芝居の面白さに出会えたような気がしました。
奥平大兼(おくだいら・だいけん)
2003年9月20日生まれ。東京都出身。20年公開の『MOTHER マザー』で俳優デビューし、同作で「第44回日本アカデミー賞」新人俳優賞、「第94回キネマ旬報ベスト・テン」新人男優賞、「第63回ブルーリボン賞」新人賞などを受賞。23年公開の初主演作『君は放課後インソムニア』などでTAMA映画賞最優秀新進男優賞を受賞するほか、24年も『PLAY! ~勝つとか負けるとかは、どーでもよくて~』『赤羽骨子のボディガード』などの公開が相次ぐ。
文=くれい 響
写真=平松市聖
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