山田杏奈の決意「20代をアシㇼパという役と共に生きていく」“鯉登少尉”の配役については…?
CREA WEB / 2024年10月5日 11時0分
明治末期の北海道を舞台に、莫大なアイヌの埋蔵金を巡る人々のサバイバルを描く野田サトル氏の大ヒット漫画『ゴールデンカムイ』。累計発行部数は2900万部を突破、本年1月に公開された同名実写映画の観客動員は210万人、興行収入は30億円という大ヒットを記録した。
2024年における最大の話題作と言える本作。待望の映画の続きが、「連続ドラマW ゴールデンカムイ ―北海道刺青囚人争奪編―」で描かれる。主演の山﨑賢人さんはじめ、眞栄田郷敦さん、玉木宏さんなど癖強なキャラクターたちも全員続投、ファンの期待に応えるといわんばかりの熱い布陣で挑んだ。
個性の強い登場人物たちの中でも、再現度の高さで注目を集めたのがアシㇼパ役の山田杏奈さん。北の大地を生き抜く知恵と、優れた狩猟技術を持つアイヌの少女を原作の躍動感そのままに絶妙に表現した。
CREA WEBでは山田さんにインタビューを実施。実写版ならではのアシㇼパの組み立てや心構え、そしてドラマ版から登場する人気キャラクター・鯉登少尉を務めた中川大志さんにまつわる裏話まで、たっぷりと語ってもらった。
「この役は山田杏奈がやって良かったな」と思ってもらえたら
――映画『ゴールデンカムイ』は大ヒットし絶賛されました。山田さん演じるアシㇼパも例に漏れず賞賛の嵐でしたが、反響の声をどのように受け止めていましたか?
ありがとうございます……! すごく多くの方に映画版が届いたという実感は、私自身もとてもあります。最初はアシㇼパという役をやるのに不安だった部分もあったんですけど、観終わった周りの人たちから「面白かった」、「アシㇼパ、素敵だったよ!」と言ってもらうこともあったので、安心しました。私が『ゴールデンカムイ』の世界の一部になれていたなら、すごく良かったなと思います。
――「自分で言うのもなんですが……結構ハマってたな」という感触はありませんか!?
そんな! 『ゴールデンカムイ』に限らず、「この役は山田杏奈がやって良かったな」と思ってもらえたらいいなとは、普段お芝居をするときからずっと思っていることなんです。今回は、見た目的な意味でもハマれたといいますか、おっしゃっていただけたように思ってくださる方が多かったのはすごくうれしいです。
鯉登少尉の配役を聞いて
――映画に続くドラマ『北海道刺青囚人争奪編』は、全9話に面白さが詰まっていますよね。第1話はアシㇼパの物語にもフィーチャーした回にもなりましたが、撮影していていかがでしたか?
1話は「伝説の熊撃ち」の二瓶鉄造さんの回で、レタㇻ(※アシㇼパとともに育ったエゾオオカミ)とのグッとくるシーンがあるんですよね。レタㇻはアシㇼパにとってすごく大事な存在。アシㇼパはレタㇻがいることで救われることが本当に多かったはずなので、お芝居していてもすごく感動しました。1話を見ると、2話、3話とどんどん見たくなりますし、『ゴールデンカムイ』の世界がこの先続いていくという期待感もすごく感じる1話でした。
――杉元(山﨑さん)・白石(矢本悠馬さん)との酒盛りのシーンは、とてもかわいらしかったです!
ドラマ1話の酒盛りのシーンは、映画の撮影がクランクインしてすぐに撮ったシーンなんです。まだ探り探りで、山﨑さん、矢本さんとも「始まったね!」と話していました。今も「ああ、内心ドキドキしていたなあ」というのを思い出すくらいで(笑)。あのシーンを最初に撮れたことで、皆さんとの「ここからどうなっていくんだろう」という楽しみも増しましたし、それぞれのキャラクターがこんなにも濃いんだとも思いました。感慨深いです。
――今回、ドラマから参戦されるキャストも多くいらっしゃいます。山田さんが一番びっくりした&ぴったりだなと思った方は、どなたでしたか?
皆さん、本当に強烈なんですよね(笑)。私が好きなのは、2話の萩原聖人さん(辺見和雄役)です。以前『ひらいて』という映画でご一緒したんですが、そのときも萩原さんはちょっと変な役だったんです……(笑)。今回もものすごく癖の強い役で、辺見の勢いや振り切った感じができるのは、さすが萩原さんだ、すごく素敵だなと思いました!
――「実写版だとこうくるか!」という趣きが感じられますよね! SNSでは鯉登少尉を務めた中川大志さんの配役にもすごく湧いていました。山田さん的にはいかがでしたか?
皆さんの反応、ものすごくわかります。ビジュアル的にも本当に「中川さん……納得!」と私も思っていました。今回の現場で中川さんにお会いするのが初めましてだったんですけど、山﨑さんたちが「大志がやるらしいぞ……!」みたいなことを現場で噂されていらして、すごく楽しみにしていたんです。
ただ、残念なことに私は撮影自体あまりご一緒できなくて。でも山﨑さんや、ほかの皆さんが中川さんと一緒に撮影をされていて、「やばい、大志! あれはやりすぎなんじゃないか?」と、一様におっしゃっていたんですね(笑)。すごく期待値が上がった状態で完成した映像を見たんですけど、中川さんは薩摩弁もすごいですし、原作を読んだときに私の脳内で再生されていた鯉登のまんまで、本当に感動しました。
20代をアシㇼパという役と共に生きていくことになる
――コメディ、アクション、ドラマなどすべての要素が絶妙に融合しているのが、実写版の魅力の一つでもあるかと思います。演じている山田さんは、作品のどこに魅力を感じていますか?
ストーリーの中心に金塊を探すというドラマ性がありつつ、そこに濃すぎるキャラクターたちが入ってくることで、場面が変わるたびに次から次へそちらに見入ってしまうような魅力もすごくあると思います。今回“ドラマ”というフォーマットでお届けできることで、映画版とはまたちょっと違った面白さもはらんでいると思います。ドラマでは、とにかく豪華なキャラクターの皆さんが出ているので、いろいろな相乗効果で満足度の高い作品になっています。そこが魅力なのかなと思います。
――癖が強いとおっしゃっていますが、アシㇼパも十分強いですよね(笑)。
そう……ですよね! でもほかの皆さんがすごすぎて(笑)。
――これまで自分を癖の強い俳優だと思ったことはありますか?
私ですか? ないです、ないです。やっているといろいろな感覚が麻痺してくるところはあるんですが(苦笑)、アシㇼパをやるにあたって、私自身としても、今までにやったことのないような芝居感でやらせてもらっていました。新しい振り切り方をさせてもらえたなという感じはしていて、本当に楽しかったです。
――アシㇼパは間違いなく山田さんの代表的なキャラクターの一つとなり、「アシㇼパ以前/後」でこの先語られることも多くなりそうですよね。
映画が公開されて、たくさんの皆さんに観ていただいたからこそ、「アシㇼパだよね」と声をかけていただけることが非常に増えました。今回のドラマ版も、次の映画も含め、アシㇼパは今後長くやらせていただく役になっていくと思っているんです。私自身、役に対する思い入れもどんどん深くなっています。20代をアシㇼパという役と共に生きていくことになるので、もっと気を引き締めて頑張りたいです。
――20代はアシㇼパと共にという、とてもうれしいお言葉をいただきました。さらにその先、30代に向けてどんな役者になりたい、どんな役をやっていきたいなど、今見えているものはありますか?
正直、まだ全然想像がついていません。ただ、今回『ゴールデンカムイ』に参加させていただいて思ったのが、癖の強いキャラクターができる皆さんが本当にすごい、と。私は今ヒロインであったり、普通の感覚を持つ、感情移入してもらいやすい役をやらせてもらうことが多いんです。今後は、またそことはちょっと違った、ワンポイントを入れられるようなお芝居ができればと思うようになりました。そうしたら、もうちょっと広がっていくのかなと思っています。
――ありがとうございました! 最後にドラマの放送を待ち望んでいる読者に、一言メッセージをお願いします。
ドラマは映画から続くストーリーになっています。物語自体もどんどん進んでいきますし、様々なキャラクターたちが加わることで、何段も面白くなって勢いがついている作品に仕上がっています。間違いなく楽しんでもらえるはずなので、ぜひ見逃さずにご覧ください!
山田杏奈(やまだ・あんな)
2001年生まれ、埼玉県出身。2011年、『ちゃおガール2011☆』オーディションでグランプリを受賞。18年、映画『ミスミソウ』で初主演を務める。19年にヒロインを務めた映画『小さな恋のうた』では第41回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞。近年の出演作に映画『ゴールデンカムイ』、正体(2024年11月29日公開予定)、ドラマ「ゼイチョー~『払えない』にはワケがある~」など。
衣装クレジット
ジャケット 97,900円/ミラ ショーン バイ チカ キサダ(コロネット http://www.coronet.co.jp) 、ドレス 156,200円/ヴィクトリア ベッカム(イーストランド 03-6231-2970) 、 イヤカフ 17,600円/リキッド(http://liquid-jewelry.com/) 、 ブレスレット 22,000円/フリンク(http://www.flynktokyo.com) 、 リング 37,400円/フレーク(03-5833-0013) 、 シューズ 53,900円/マレーラ(三喜商事 03-3470-8233)
文=赤山恭子
撮影=鈴木七絵
ヘアメイク=菅長ふみ(Lila)
スタイリング=中井彩乃
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