【崎山蒼志と27枚の風景】 インドネシア・ジャカルタの空気は、暑く、湿潤なムードに満ちていた
CREA WEB / 2024年10月3日 17時0分
「呪術廻戦」や「僕のヒーローアカデミア」などの主題歌を手がけ、幅広い層から支持を集めるシンガーソングライターの崎山蒼志さん。この夏、海外フェスへの参加のため、2度目の海外へ旅に出ました。荷物に忍ばせたのは1台の「写ルンです」。27枚のフィルムは、崎山蒼志の視線は、どんな風景を刻んできたのか。
2度目の海外、3箇所目の国、インドネシアへ
7月18日、インドシアの首都、ジャカルタに向かった。「Impact nation japan festival」というフェスに参加するためだ。インドネシアに行くのは初めてで、それどころか今年のはじめ、公演のため向かった台湾と香港が初めての海外だったので、実質2回目の小旅行、3箇所目の海外である。
早朝、成田空港に集合し、いざジャカルタへ。8時間弱なんて長時間のフライトも初めてだったし、向かうのは初めての場所。飛行機が苦手なことも含め、少々緊張気味な朝だった。そんな緊張を、ぐっとビールで押し込み、搭乗を試みる。
結果、とても快適なフライトであった。慣れない早朝集合のため、不眠気味であった体も、機内でぐっすり眠ったからか、着いた頃にはすっきりと冴え渡る。機内を降りてすぐ、事前に両替しておいた現地通貨で、自動販売機でココナッツジュースを買ってみた。これがあんまり美味しくなかった。ジャカルタ旅行での唯一の選択ミスだったように思う。
入国審査を終え、外へ出る時、ジャカルタはもう夜であった。日本とは違った具合の、湿度の高さを感じる。日本の夏のように、圧迫されるようなムアッとした湿度というよりは、全体的に空気の水分量が多いという感覚。気温も関係していると思う。思っていたより暑くない。あまり息苦しさのない空気だと思った。近代建築的な、荘厳なターミナル。出口からほど近いロータリー付近で賑わうムード。湿度にネオンが潤んでいるように感じる。慣れない言語が飛び交う。あ、そうかジャカルタに着いたのかと、ここで初めて実感した。
ジャカルタの交通事情、そしてマクドナルド
滞在中驚いたことのひとつに交通量の多さがある。聞けば大都市ジャカルタに住むほとんどの人が、自分の車、もしくはバイクを持つそうだ。どおりであちこち渋滞している。移動車の横ギリギリを何台ものバイクが通過していく。ひやひやしながらも、皆運転が軽やかで、事故を目の当たりにすることもなかった。皆運転に慣れているようだ。また、そのように自家用車の多く渋滞の絶えない都市であるため、曜日ごとにナンバーによって通れたり通れなかったりする道もあるようだ。例えば火曜日は、この数字とこの数字が入っていなきゃこの道は通れない、みたいな。聞いたことのないルールだったので、新鮮だった。
二つ目に驚いたことはマクドナルドのメニュー。国によってメニューが異なることを耳にしたことはあったが、まさかのまさか、ライスがあった。僕にはマックに米という発想がなかったため困惑したが、聞くところによるとインドネシアに住む一定層の人は、“お米”か“辛いもの”でないとそれを一食にカウントしないらしい(誇張しての発言なのかもしれないし、もちろん個人差もあると思うのだが)。お米とチキンのセットがあったので、それを頼んでみた。マックの包装紙の中からライスが現れる。妙な光景だ。塩加減の効いた揚げたチキンとライスを手で食べるスタイル。味はバッチし美味しかった。クセになる。これはハマってしまいそうだ。
クセになるといえばミーゴレン! 3日間の滞在中2食以上食べてしまった。現地のミーゴレンは凄く美味しい。また、サンバルというソース。甘みと香りに少々クセがあるものの、辛いもの好きの自分にとって、うってつけのソースであった。様々な料理に付いていた。
3日間の滞在はあっという間のものだった。現地の人々と交流する中で、インドネシアの他の地区にも興味が湧いた。ジャカルタの南、西ジャワ州の首都バンドンは、音楽やカルチャーが盛んで、自分も大好きなハードコアミュージックや、エモロックの聖地らしい。バリ島にも行ってみたい。生でケチャを堪能してみたい。
現地のムードは忘れない。そんな僕の感じたムードを写真では収めた。また訪れる時は、1カ月くらい、もっとあらゆる都市を回りたい。刺激的な旅であった。
崎山蒼志(さきやま・そうし)
2002年8月31日、静岡県出身。’18年、ABEMA『日村がゆく』への出演をきっかけに注目を集める。’21年1月27日にアルバム『find fuse in youth』でメジャーデビュー。 ‘23月8月にはサードアルバム『i 触れる SAD UFO』が発売。5月配信開始のシングル「違和感の向こうで」がリリース中。
文・写真=崎山蒼志
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