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目指すのは「当時らしさ」。自宅もファッションも遊びも徹底して昭和で埋め尽くす「昭和マニア」の暮らし

CREA WEB / 2024年10月9日 6時0分

 昭和時代に建てられた中古住宅を購入し、身の回りを昭和で埋め尽くす暮らしをしている平山雄さん。『昭和ぐらしで令和を生きる』の著書もある平山さんに、「輝かしい」時代であった当時のアイテムが溢れるご自宅にて「昭和ぐらし」の魅力を伺いました。


意図していない和洋折衷のトリコに

――昭和を愛するあまり、昭和時代に建てられた一軒家を購入したそうですね。「昭和」へのこだわりはいつからですか?

平山さん 物心着いた時から新しいものには一切興味がなかったですねぇ。若い頃は海外のものに興味を持ったこともありましたが、それも古いものばかりで。自分が実際に体験したものや、馴染みのあるものを使う方がしっくりきます。僕が昭和43年生まれなので、当時の原風景がそこにあるといいますか。昭和の時代からずっと昭和が好きなんです。

――昭和の暮らしを再現したこの一軒家は圧巻ですね。

平山さん 昭和中期(1960~1970年代)の暮らしをリアルに体感したくて、昭和47年(1973年)に建てられたこの家を探して購入しました。2005年に購入したので、ここで暮らし始めて約20年になります。家具、家電、食器にいたるまですべて当時のものを集めて実際に使っているのが最大のこだわり。家で聴く音楽や読む本もすべて当時のもの。家にある新しいものといえば、仕事で使わざるをえないパソコンやスマホくらいでしょうか。あとは猫のトイレグッズくらい?(笑)。おもちゃもその当時に流行ったものですよ。かわいいですよね。


犬のおもちゃは昭和40年代に流行ったもの。

 僕が特に好きな昭和中期のものは、海外のデザインに憧れてそれらの真似はしつつも、うまく真似しきれなくて日本のテイストが入り込んでいるのが愛すべき特徴。あか抜けきれていない、絶妙なバランスに惹かれます。意図していない和洋折衷といったらいいのかな。日本人本来のセンスのようなものが隠せてないところがいいですよね。

 また、経済が上り調子で勢いに乗っている時代だったからか、色合いやデザインがアッパーなものが多いんです。カラフルでそれぞれのアイテムに元気があって力を感じさせますよね。今の時代にはまず生まれてこないデザインだよな、と見ていて惚れ惚れします。若い子を中心に昭和レトロなアイテムが注目を集めているのは、「パワーや元気をもらえるから」という理由もあるのかもしれませんね。今のデザインは良くも悪くも洗練されすぎていますから。


人気の昭和レトロのグラスも。平山さんがお持ちのものはリメイクしたものではなく、当時のもの。

調理道具もカラフルなものが多く、台所は色鮮やか。

 家中を昭和のもので埋め尽くしているので、「昭和コレクター」と言われることもあるんですが、自分のことを「コレクター」だと自称したことはありません。昭和に作られたものだからといって生活で使わないものは購入しません。家を倉庫みたいにはしたくないし、あくまでも僕が憧れる昭和には普通に存在していた当時の暮らしの雰囲気を再現したいんです。だから持っているものをさらに買い集めるようなこともしないようにしています。

昭和のものが消えていく速度を落としたい

――平山さんの好きなものが詰まったこのご自宅で、特に一番好きな場所はどこですか。

平山さん 僕が暮らす以前には、老夫婦が暮らしていたようです。天井の柄もかわいいし、すべて気に入っているのですが、特に暖炉がある応接間が好きですね。昭和中期に作られたものの根底にある、海外の雰囲気と日本人のセンスが融合されている雰囲気がこの家にもあります。購入してから一度もリフォームはしていませんし、模様替えもほぼなし。手を加えてしまうと理想的な空間ではなくなってしまうのがもったいないですから。このシャンデリアももともと取り付けられていたものなんです。昭和中期に流行した幾何学模様が描かれています。


玄関が入ってすぐにある応接間。ソファは昭和中期に作られた「カリモク」のもの。

――壁が板張りで重厚感がありますね。

平山さん ぐっときますよね。たまに、古いものに囲まれて不便ではないかと聞かれることもありますが、昭和に作られたものは機能がシンプルなので壊れにくいものも多いし、使いやすいんです。なので不便さは感じません。昭和に作られたものは、いつかは消えていってしまうかもしれません。でも僕みたいに昭和を愛する人たちがそれらを大切に使うことによって、消えていくペースは落とせるのではないかと信じています。

 この「昭和ハウス」で暮らしていると一日中、ワクワクしてられるのが何よりの幸せ。飽きることがありませんし、好きなものに囲まれて暮らすのは一つの快感でもあります。

昭和を探しに1ヶ月放浪

――純喫茶や酒場など、昭和の雰囲気が残る店も今は大人気ですよね。

平山さん 僕もそういった店が大好きで、地方まで赴くこともあります。旅の目的になるのもやっぱり昭和。昭和を求めて1ヶ月ほど放浪旅をすることも。純喫茶だったら名古屋か大阪、市場なら福岡。街によって、残っている昭和の香りが異なるのも面白い。訪れて記録したスポットは2200箇所以上にもわたります。


著者の平山雄さん。着ている洋服もすべて昭和のもの。リサイクルショップやメルカリなどで購入するそう。

 出来ることなら昭和に戻りたいですが、戻ることはできないので自分の生活だけでも昭和で満たしています。

平山雄(ひらやま・ゆう)

昭和好きが高じて2005年に昭和中期に建てられた一軒家を購入。家電や電化製品から小物類まですべて昭和時代製で揃え、完全に昭和の家庭を再現して暮らしている。休日は昭和が体感できる飲食店や街並みを訪問し、ブログ「昭和スポット巡り」でレポートしている。著書に『昭和遺産へ、巡礼1703景』、『昭和喫茶に魅せられて、819軒』がある。

『昭和ぐらしで令和を生きる』


『昭和ぐらしで令和を生きる』

定価 1,870円(税込)
303BOOKS

文=高田真莉絵
写真=佐藤 亘

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