「意外と楽しいと思う気持ちの方が大きい」演出とメインパフォーマーを務める城田優が“物作り”に対して感じていること
CREA WEB / 2024年10月30日 20時30分
2020年にPEANUTS70周年を祝してスタートしたスヌーピーのオーケストラコンサート。初開催からゲストボーカルとして出演してきた城田優さんが、昨年からは演出も手掛け、公演タイトルも【billboard classics × SNOOPY『Magical Christmas Night』】に。
城田さんがこれまで培った演出の経験を生かして創り上げたPEANUTSの世界へと誘い、好評を博した。今年も昨年に引き続き、城田さんが演出とメインパフォーマーを務める【billboard classics × SNOOPY『Magical Christmas Night 2024』】が開催される。このコンサートへの意気込みを聞いた。
——昨年、始めて挑んだ【billboard classics × SNOOPY『Magical Christmas Night』】の演出にはどんな手応えを感じていますか?
テーマとして目指したのは、PEANUTSの世界への没入感を味わっていただきたいということでした。
いわゆるクラシックのオーケストラコンサートとは一味違うもので、エンターテイメントの要素をたくさん入れてショーアップしたものができたと確信しています。スヌーピーたちが住む「PEANUTS」の世界にある森の奥で開催されているコンサートの招待状が届いて、一足踏み入れるとその世界が広がるというイメージで演出をしました。この世界観を創り上げるために、オーケストラの皆様にもコンセプトをご理解いただいて、ご協力してくださいました。
——どのようなところでご協力いただいたのでしょうか?
森をイメージした世界観なので、緑や茶色の衣裳で揃えて、譜面台だとわからないように木のかぶせ物をしたり、植物を絡めたりして、譜面灯も消していただきました。お客様に没入してもらうためには、オーケストラの皆様にもPEANUTSの世界に沿った舞台演出だということを理解してもらわなければならないんです。
『Magical Christmas Night』というタイトルは僕が名付けたのですが、子どもから大人まで、世代を問わず楽しめるような時間にしたいというところから始まったプロジェクトなので、このタイトル通り、マジカルな空間になる要素が詰まったコンサートに仕上がったと思います。
物作りをする方が自分の性に合っている
——演出を任されることにはプレッシャーを感じられますか?
自分が主演として舞台に出る時のプレッシャーに比べたら、意外と楽しいと思う気持ちの方が大きくて、あまりプレッシャーを感じないかもしれないですね。もちろん、成功させたいとか、本番を無事に終えるかといった創る上でのリーダーとしてのプレッシャーはあります。
2016年に初めてミュージカルを演出してからスローペースではありますけど、1年に1、2本の作品の演出する機会がある中で、出演と演出の両方だったり、さらにプロデュースや、主演も務めるなど、結構いろんなパターンを経験しました。もしも自分がプレッシャーを過度に感じていたらここまで続けられないと思います。どちらかというと、物作りをする方が自分の性に合っていると思いますし、向いていると正直思います。
——兵庫、北海道、東京の三カ所で行われるコンサートには、それぞれにゲストボーカルが出演されます。どんな意図でキャスティングされたのでしょうか?
昨年は女性の方とのデュエットができたらいいなと考え、さらにセットリストに英語の曲があるので、英語で歌えて素敵な表現力を兼ね備えた方ということでCrystal Kayさんと清水美依紗さんにゲスト出演していただきました。今年も英語で表現できる方に、ということで、三公演のうち兵庫は森崎ウィンさん、北海道はKIMIKAさん、東京は青山テルマさんが出演してくれます。
森崎ウィンさんとは、僕が米倉涼子さんとのショーをプロデュースした時にご一緒したことがあったので、僕から直接お声がけをしました。彼が出演することで、歌のキーも変わりますし、曲の雰囲気も変わりますから、他の公演とはひと味違うものになると思います。
青山テルマさんとは僕のラジオ番組に出ていただいたことがきっかけとなって、共通の友人と一緒に遊んだり、カラオケに行ったりする間柄です。彼女の歌唱力には絶大な信頼があるのでキャスティングをしました。
そして、KIMIKAさんとは僕が声をかけて集まるカラオケの会に参加してくれたことで知り合ったんです。ちょうどこのコンサートのキャスティングを考えているときに、Zepp Shinjukuで彼女のライブがあり、プロとしてのパフォーマンスを拝見したところ歌唱力はもとより、踊りも良くて、ご自身の温かい感情がにじみ出るライブでした。彼女の創り出す世界観が僕の好みだったので、オファーしました。今回のコンサートに出演することで、より多くの方に彼女のことを知っていただけたらと思います。
クリスマスという特別な日に、マジカルな世界を味わっていただきたい
——お話を伺っていると、幅広い世代の方に楽しんでいただけそうな内容ですね。
僕としては、ぜひ周りの方を誘って聴きに来てほしいですね。幸せとか、楽しいという気持ちって、人が増えれば増えるほど、その連鎖が大きくなっていきますよね。
PEANUTSファンの方はもちろん、そうでない方にも楽しんでもらえると思いますし、終わった後にみんなで“あそこが良かったよね”とか、“これが素敵だった”とかコンサートで受け取ったものをみんなでシェアしてほしいです。
——クワイアとして加わるFYURA(エフユラ)について教えてください。
これまでは、各地のクワイアの団体に出演いただいていたのですが、今年はご縁があってFYURAに全公演出ていただくことになりました。
きっかけは、僕らのためにFYURAがちょっとしたライブのような公演をしてくれたときに、メンバーのひとり、yuzuという逸材に出会ったことでした。中学生でこんなラップとか自分のスタイル持っている子ってなかなか素晴らしいなと思って。彼女が所属していたのがFYURAだったんです。
メンバーのそれぞれが本当に個性豊かで、歌唱力も高く、同じ時間と音楽をたくさん共有していて、さらに洋楽から邦楽まで幅広いジャンルを一緒にずっと歌えるセンスを持っています。新たな魅力の1つとして、ぜひ楽しんでいただきたいです。
——【billboard classics × SNOOPY『Magical Christmas Night』2024】にいらっしゃる方へメッセージをお願いします。
音楽はオーケストラが演奏するクラシックだけでなく、ジャジーなトリオもいるので、ドラムとウッドベースのセッションやジャズピアノトリオとオーケストラの掛け算など、いろいろな要素を楽しめます。
さらにセットリストにはポップスから洋楽、そしてPEANUTSにまつわる楽曲まで入っていて、そして素晴らしい表現者であるゲストボーカルたちが、その素敵な歌声で皆様をマジカルな世界へと誘ってくれると思います。
去年ご覧になった方にも楽しんでもらえると思いますし、まだ見たことない方たちは「何これ? これってコンサートなの? ショーなの? それともミュージカルなの? 」って、はてなマークがたくさん浮かぶかもしれません(笑)。僕は、はてなマークがたくさん浮かぶものは面白いと思っているので、クリスマスという特別な日に、ぜひこのマジカルな世界を味わっていただきたいです。
城田優(しろた・ゆう)
1985年、東京生まれ。2003年ミュージカル『美少女戦士セーラームーン』で本格的に俳優デビュー。テレビ、映画、舞台、音楽など幅広く活躍。
撮影=橋本 篤
文=山下シオン
衣装=橘 昌吾
ヘアメイク=前村恵美
取材協力=Amazon Music Studio Tokyo
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