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「今日は帽子パーティよ!」、口癖は「ファンタスティス!」人を喜ばせる天才だったリサ・ラーソンの素顔

CREA WEB / 2024年12月7日 11時0分

 北欧を代表する陶芸家ながらも、その素顔はとてもチャーミングで、人を喜ばせるエンターティナーだったリサ・ラーソン。短期集中連載の第4回は、リサと公私にわたり親交が深かった「トンカチ」の佐々木美香さんと勝木悠香理さんに、リサの素顔を聞いた。

≫【連載をはじめから読む】すべては一通の手紙から始まった——北欧を代表する陶芸家リサ・ラーソンが日本で愛された17年


素顔のリサは“チャーミングでおもてなし好きのおばあちゃん”


リサの夫のグンナルさん(左)と、リサ・ラーソン(右)。スウェーデンの自宅前で。

 リサ・ラーソンとはビジネスパートナーでありながらも、おばあちゃんと孫のような関係値を築いてきた、トンカチの佐々木美香さんと勝木悠香理さん。共にものづくりをするようになった2007年から、年に1度はスウェーデンを訪れ、リサやその家族と親交を深めた。


リサの自宅に招待された佐々木さん(左)と勝木さん(右)。日本に帰国後、リサがファックスで写真を送ってくれたという。

「スウェーデンに行くときはいつも1週間前後滞在して、リサの自宅で毎日ミーティングをしていました。北欧にはフィーカというティータイムの文化があって、リサもよく“あら、もう3時だわ!”といって、お菓子と一緒に紅茶やコーヒーを用意してもてなしてくれましたね。リサはお酒も好きで、ワインやシャンパンも出してくれて、打ち合わせが終わってもみんなで楽しく飲んでいる時間が幸せでした」(佐々木さん)


「今日は帽子パーティ!」とリサが宣言。それぞれお気に入りの帽子を選んでティータイムを楽しむ。

帽子パーティ中のリサ。

 リサはとにかく気遣いの人で、”常に人を喜ばせることを考えていたエンターティナー”だったそう。

夫婦の絆に触れ、夢の時間を過ごしたサマーハウスの思い出

「プライベートのリサは、”おもしろくてチャーミングなおばあちゃん”という印象でした。リサと会うときは小さなサプライズが必ずあって、あるときは、マイキーの手ぬぐいを頭に巻いて待っていたり、またあるときは、私たちが泊まるホテルの部屋にリサが摘んだ花とメッセージが届けられていて……。思い返せば、かしこまった挨拶をしたのは最初ぐらいで、いつもつかみでくすっと笑わせてくれて、心をほぐしてくれました」(勝木さん)

 おしゃれが好きで、青が好きで、猫が好きだったリサ。よく耳にする口癖さえも、まわりの人を明るい気持ちにするものだった。

「リサはよく”ファンタスティス”という言葉を使っていました。スウェーデン語で”すごい”という意味なのですが、その言い方もとてもかわいらしくて、私たちも大好きな言葉になりました」(佐々木さん)


グンナルとリサ。

 リサを語る上で欠かせないのが、画家である夫・グンナルの存在。1952年に学生結婚してから2020年に先立たれるまで共に生活し、公私ともに最高のパートナーであり続けた。ふたりが30代の頃には、スウェーデン南端のスコーネ地方にサマーハウスを持ち、毎年夏になると2か月近くそこでのんびりと過ごしていたリサとグンナル。佐々木さんと勝木さんも、リサと知り合って2年目の夏には招かれるまでに打ち解けた。


サマーハウスに招かれた際の写真。リサと佐々木さん。

「サマーハウスにはグンナルが建てたリサのアトリエもあって、夫婦の思い出が詰まった場所という感じでした。当時リサの生活を知りたかった私は、サマーハウスで過ごす様子を写真に撮らせてほしいとお願いして、次の年に1週間寝泊まりさせてもらうことに。ふたりがお昼寝している間、私はリサのアトリエで過ごしたり、私の姿が見えないとリサが鈴を鳴らして呼びに来て……。すべてが夢のようでした」(佐々木さん)

リサとの最後の日のこと


佐々木さんの姿が見えなくなり、「Mika?」とあたりを探すリサ。

 寝食を共にする日々を通じて、リサの素顔に触れ、チャーミングで温かい人柄に魅せられていった佐々木さん。深い絆でつながっているリサとグンナルの夫婦像にも胸を打たれた。

「ある日、リサが”散歩に行こう”というので、足の悪いグンナルを置いて、珍しくふたりででかけました。リサの案内で色々な場所を巡って小高い丘のふもとまで来ると、リサの友達の家があって、立ち寄ってなにかを伝えると、おじさんが大きなカマを持って出てきたんです。すると、草を刈って道をつくりながら、丘の上まで案内してくれました。頂上に立つと、リサは双眼鏡を取り出して、サマーハウスの方向を見ながら、”グンナル~!”と叫んで手を振っていて……本当にチャーミングでユーモアのある人でした」(佐々木さん)

 このとき、リサが首に下げていたポーチには、佐々木さんと出会うきっかけになったトイカメラが入っていて、お互いのカメラで写真を撮り合ったのも忘れられない思い出に。これらの写真は、「リサ・ラーソン 日めくりカレンダー2024」に納められている。


丘の上で佐々木さんのことを撮るリサ。そのリサを撮る佐々木さん。

 コロナ前、佐々木さんと勝木さんが最後にスウェ-デンに渡航したのは2019年。その頃、グンナルは施設に入っていた。リサと一緒に会いに行くとグンナルはとても喜び、リサの若い頃のスナップや新婚旅行の写真を見せながら、思い出話に花を咲かせた。奇しくも、佐々木さんと勝木さんがふたりと会ったのはこれが生前最後となった。

「私たちは、リサとグンナルからたくさんのことを学びました。リサはアーティストとしてもすばらしい方でしたが、女性としての魅力や人間味も持ち合わせていて、改めてその偉大さを実感しています」(勝木さん)

≫【連載をはじめから読む】すべては一通の手紙から始まった——北欧を代表する陶芸家リサ・ラーソンが日本で愛された17年

***

短期連載の最終回(第5回)は、リサの人生観と葬儀について。近日公開予定です。

トンカチ

https://tonkachi.co.jp/

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文=田辺千菊(Choki!)
撮影=深野未季、平松市聖(3ページ目2枚目)
提供写真=トンカチ

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