八ヶ岳の麓にあるハイカーの拠り所。山好きが営むオーベルジュで自然の幸を味わう長野県・硫黄岳の旅
CREA WEB / 2024年10月12日 11時0分
今度の休み、何をしよう。Netflixを観ながらベッドの上で過ごすのも悪くないけど、たまにはアクティブに冒険してみるのもいいかも――。「思いっきり自然を楽しめる場所に行きたいんだけど」「ローカルのグルメやお洒落な店も気になるよね」「車でサクッと行けるところがいいよね」
そんなウェルネスなトリップを提案する本連載では、幅広い知見を生かしてアウトドアカルチャーを提案するレーベル「焚火遊道」の猪野正哉さん、田中行太さんがさまざまな旅の楽しみ方をコーディネート。
自然もグルメも街歩きもワガママに味わい尽くすトリップ第五弾は、連載で初となる山小屋泊の旅です。メンバーは アウトドアブランド「マムート」のスタッフ西原真妃さんと、モデルの星野絵美里さん。
長野県・南八ヶ岳の玄関口ともいわれる「美濃戸口」をスタートとし、山小屋「赤岳鉱泉」で一泊。八ヶ岳の名峰の一つである硫黄岳の山頂を目指します。
赤岳鉱泉に出発! とその前に……八ヶ岳の麓でひと息つかない?
赤岳、硫黄岳、阿弥陀岳など南八ヶ岳の頂を目指すハイカーの玄関口として利用される美濃戸口。到着してすぐに歩き出してもいいですが、まぁそれほど慌てずに。
なぜなら、「美濃戸口」から1日目に目指す赤岳鉱泉までのコースタイムは約3時間。さらに今回の行程ではその先の「美濃戸口登山口」まで林道を車でショートカットする*ので、実質コースタイムは2時間ほど。
時間と気持ちに少し余裕があるので、しっかり歩けるようにまずは美味しいもので体を満たしてあげましょう。
*凹凸した林道を通るため、四輪駆動車推奨。冬季は路面が凍結する可能性があるので、事前の確認は必須です。
ちょうど美濃戸口バス停の目の前に、山小屋然としたモダンな建物が佇んでいる。吸い寄せられるようにそのドアを開くと、居心地のいいアットホームな空間が広がっていました。
訪れたのは山麓の自然に抱かれるオーベルジュ「yatsugatake J&N」。登山が好きなオーナー夫婦が営む店で、「山から下りたとき、美味しいものが食べられてお風呂に入れる場所があればいいのに」という思いから、9年前にオープンしました。JとNは、そんな二人のイニシャルなのです。
採れたての野菜やキノコなど、山麓を感じながら味わう八ヶ岳の幸
オーナーシェフJiroさんが手がける、八ヶ岳の幸をふんだんに使った自家製メニューをさっそくいただきます。爽やかなテラス席に腰を掛け、2人が注文したのは「自家製ポークカレー」と季節限定の「タマゴタケとアカヤマドリタケのクリームスパゲッティ」。
出発前にがっつりエナジーチャージしたい! とカレーを注文した星野さんの思惑通り。人気の自家製ポークカレーはボリューム満点で、ハイカーへの愛もあふれます。
「ピリリと程よいスパイスが効いていて食べやすい。彩り豊かな野菜はジューシーで甘く、肉は柔らかくて食べ応えも抜群です」
西原さんが注文した秋限定スパゲッティには、大ぶりのタマゴタケとアカヤマドリタケ(またの名をポルチーニ茸!)がゴロゴロと入っている。黄色く染まったパスタには、クリームソースときのこの旨み成分が全吸収されていました。
「香りの足しに乾燥ポルチーニがトッピングされていて、その香ばしさにうっとり。きのこの香り、食感、旨みすべてを堪能できる絶品です」
二人ともぺろりと完食し、いよいよ登山の始まりです!
本格スイーツも充実。下山後にふたたび立ち寄るのもおすすめ
じつはオーナーシェフのJiroさんは麻布CHIANTI、代官山ANDRE PACHON、原宿AUX BACCHANALES、横浜迎賓館などで腕をふるったパティシエ。料理がメインの店ですが、本格スイーツもラインナップしているのです。
これを食べずには帰れない、と心に決めた2人。スイーツをご褒美に取っておき、下山後にふたたびJ&Nを訪れました。
ご褒美スイーツに決定したのは、八ヶ岳の牛乳を使ったプリンといちごをたっぷりのせたタルト。ひと口食べると、体のなかにすっと溶けていくようなスイーツの甘さに疲れも吹き飛びます。
「新鮮なイチゴがこんなにも贅沢に食べられるなんて幸せ! 濃厚なコクとバニラの甘みが余韻をひくプリンは、何個でも食べられそうです。」(星野さん)
「Naokoさんが淹れてくれるコーヒーも、フルーティで飲みやすい。プリンはテイクアウト用が売っているので、お土産に買って帰ろうっと!」(西原さん)
モデル
星野絵美里(ほしの・えみり)
ファッション誌やファッションコレクション、大手メーカーのCM・広告に多数出演。ウォーキングやランニングなど体を動かすことが好きで、2020年に熊野古道伊勢路を8日間かけて歩いた。友人に誘われて20代半ばに始めた登山は、年に1〜2回のペースで楽しんでいる。
マムート新宿店スタッフ
西原真妃(にしはら・まき)
2016年入社。吉祥寺のオープニングスタッフを経て、2020年から新宿店に勤務。マムートに入社してから登山にハマり、休みのたびに同僚と山へ向かう。八ヶ岳エリアでは過去に赤岳、天狗岳に登ったことがあり、冬季の硫黄岳にも訪れたことがある。好きな山は屋久島。
焚火遊道
焚き火マイスター/日本焚き火協会会長
猪野正哉さん
メンズノンノモデル出身。モデルやライター、千葉市でアウトドアスペース「たき火ヴィレッジ〈いの〉」を運営するなどマルチに活躍。焚き火を中心としたアウトドアアクティビティを通して、自然の魅力を伝えるために奔走中。著書『焚き火の本』、『焚き火と道具』。
ファッションディレクター/プロモーションプランナー
田中行太さん
ブランドプレスやセールス、セレクトショップのキュレーターやバイヤーを歴任。現在は、ブランドやショップの販売戦略から企画、WEBデザイン、生産管理まで、多くのブランド・ショップのディレクション業を担う。Tシャツブランド「WHO’sMAKING...」主宰。
クレジット
<星野さん>
バックパック18,700円、Blackキャップ6,380円、Blackパンツ18,700円、Whiteジップアップフーディ19,800円、Brownチェックシャツ14,300円、GrayロゴプリントロングスリーブTシャツ8,800円、トレッキングシューズ31,900円/すべてマムート
<問い合わせ先>
マムート https://www.mammut.jp/
文=平野美紀子
撮影=深野未季
スタイリスト=永田哲也
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