アクション経験豊富な渡邊圭祐に「挑戦だった」と語らせた、映画『八犬伝』の殺陣シーンとは?
CREA WEB / 2024年10月24日 11時0分
現在放送中の大河ドラマ「光る君へ」で藤原頼通を演じている渡邊圭祐さんは、王子様キャラから腕の立つ剣士まで、様々な役をものにしている俳優だ。
山田風太郎さんの小説『八犬伝 上・下』をオールスターキャストで映画化した『八犬伝』では、八犬士の一人で「孝」の珠を持つ犬塚信乃として出演する。
八犬士の中でもひときわ存在感を放つ信乃を、渡邊さんは嬉々として好演。劇中では、惚れ惚れするような殺陣も披露した。
台本だけでなく、アクションを通して役を掴んだ
――映画『八犬伝』のもとになっている小説『南総里見八犬伝』は、以前からご存じでしたか?
『南総里見八犬伝』というタイトルは知っていたんですけど、触れたことはありませんでした。今回のお話をいただいて、まず小説を読みました。『南総里見八犬伝』は映画化も舞台化もされているので、イメージを膨らませるため、映像作品も観賞しました。
シンプルに熱くなってくるというか、少年漫画のような真っ直ぐさが詰まっていて、すごく素敵な物語ですよね。
――渡邊さんは八犬士のひとり・犬塚信乃を演じています。どのような人物という印象だったんでしょう?
八犬士は全員にすごく色があるというか、個性あふれるキャラクターが揃っているんです。その中で信乃は、癖がなく、とにかく真っ直ぐで熱い男というイメージでした。
――信乃は八犬士の中でも特にスポットライトを浴びるような、真ん中に立つ存在でしたよね。オファーを受けての感想も伺いたいです。
「信乃が自分でいいんですか?」という気持ちでした。プレッシャーはありつつも楽しんでやれたらいいなと思ったので、クランクインする前からすごくワクワクしていたんです。
たしかに、役柄として自分がほかの七犬士を引っ張っていく一犬士ではあるんですけど、足りないものは七犬士に支えてもらっていたので、八犬士は「8人揃ってようやく」という感覚が僕の中ではすごく強かったです。
――ご自身が信乃を演じるイメージは、すぐつかめましたか?
台本だけを読んでもすぐにはつかめませんでした。『八犬伝』は作者・滝沢馬琴(役所広司)さんの【実】と、八犬士の【虚】のパートにわかれていて、【虚】を担当する僕たちは、とにかくアクションが多かったんです。準備もまずはアクション稽古から始まって、台本読みがあって、撮影があって、という順番でした。
そのアクションの稽古こそ、役をつかむ上で一番助けられたと実感しています。八犬士は闘い方もそれぞれで違っていて、剣の入れ方だと真向(斬り)が多いのか、袈裟(斬り)が多いのか、と個性が出るんです。そこからキャラクターが見えてくることが多かったですし、曽利(文彦)監督からは「外連味のあるお芝居をしてほしい」という言葉もいただいたので、徐々にクランクインの日までに役をつかんだという感じでした。
“小賢しい武器”を使わない真っ直ぐなアクションは初めてだった
――渡邊さんはアクションがお得意という印象が強いのですが、役の特徴を身体を使ってつかんでいくのがお好きですか?
以前、曽利さんとご一緒させていただいた作品(『鋼の錬金術師 完結編復讐者スカー/最後の錬成』)のリン・ヤオ役でもアクションがすごく多かったんです。
ただ、これまで僕がやらせてもらったアクションは、小賢しい武器を使っている役が多かったというか、トリッキーなアクションが多くて。『仮面ライダージオウ』のウォズのときもストールを投げたらCGで勝手に戦ってくれるとかだったので、変わっていますよね(笑)。
そういう意味でも、信乃のように真っ直ぐな刀を使った殺陣みたいなものはなかったんです。今回はアクションも役柄も新しい挑戦的なものになったな、とすごく思います。
――初めての殺陣はいかがでしたか?
殺陣は大変でした! ほとんど毎日体を動かしてたんじゃないかというくらい、躍動感のある日々でした。特に八犬士が全員揃って戦いに行く乱戦のシーンは、カメラの画角内で全員が完璧な殺陣を披露しなければいけなかったんです。一朝一夕でできるものではなかったですが、コミュニケーションの連携を取りつつ、いいアクションシーンが撮影できました。
アクションをする上で自分自身のこだわりというのは、そこまで持っていません。作品の中の色を大事にしながら、その中で「ここはもっとこうやれば格好よさそうかもしれない」と思ったときだけ提案させてもらいます。
プライベートのこだわりは、あえて語らない
――こだわりがない、ということがこだわりだったりします?
そうかもしれないです。例えば取材で衣装を選ぶことに関しても、プロのスタイリストさんがついてくださっていますよね。専門で学んできた方が「こういう見せ方をしたいときは、こういう衣装がいい」と選んで、マネージャーは僕をどうプロデュースするか考えたうえでその衣装にOKを出すわけじゃないですか。
どんなに自分がいいと思う服があったとしても、そこには僕の自我は入れないほうがいいと判断していますし、「自我を入れない」という自我があります。
――となると、自分のプライベートのこだわりは……?
実はめちゃくちゃこだわる人間かも(笑)。結構頑固なので、お仕事はプロの方にお任せするようにしています。プライベートでは自分の習慣や所作も含めてかなり気にしているタイプなんですけど、具体例を出すと細かいと思われちゃうので、やめておきます(笑)。
渡邊圭祐(わたなべ・けいすけ)
1993年11月21日生まれ。宮城県出身。2018年「仮面ライダージオウ」で俳優デビュー後、映画『鋼の錬金術師』シリーズ、『三日月とネコ』などの話題作に出演。現在は大河ドラマ「光る君へ」(NHK)に藤原頼通役で出演中。12月13日には映画『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』、2025年3月20日、5月1日には『女神降臨 Before/After』が公開。
衣装クレジット
ジャケット81,000円、パンツ49,000円/以上すべてKOH’S LICK CURRO(KOH’S LICK CURRO)、シャツ4,950円/Casper John(Sian PR)、その他スタイリスト私物
問い合わせ先
KOH’S LICK CURRO 03-6427-1405
Sian PR 03-6662-5525
文=赤山恭子
撮影=深野未季
ヘアメイク=荒木美穂
スタイリスト=九(Yolken)
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