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加藤和樹「いつも死んでいるような役が多いから(笑)」“やればできる”という心意気でコメディに挑戦

CREA WEB / 2024年10月31日 17時0分


加藤和樹さん。

 眼光鋭くキリリとした表情で舞台を制するようなイメージが強い加藤和樹さん。いつもの王子様タイプの役柄とは真逆をいく、コメディ作品『裸足で散歩』に出演中! 不器用で振り回される姿がとてもキュートな、“コメディ作品”での演技や再び共演される皆さんの印象などについて伺いました。


毎日温かい気持ちで過ごせるコメディが楽しい


加藤和樹さん。

――2022年の初演を経て、2年ぶりの再演となります。再びポール役を務められる気持ちをお聞かせください。

 素直に嬉しかったです。少人数で楽しい作品でもありましたし、またこのメンバーでやれたらいいなと思っていたので。コメディはなかなかやる機会がないので、またポールとして舞台上に立てるのが、とても嬉しい気持ちでした。

――コメディはやればやるほど、「もっとこうしたい!」という気持ちが生まれてくるものですか?

 欲張ってはいけないのですが、この作品がわりとハッピーな作品で、お客様に温かい気持ちになって帰ってもらえるので、そういう意味では自分の普段とは違ったアプローチになりますね。大体いつも、死んでいるような作品が多いので(笑)。

 死んでいる役をやるからといって気分が落ちるようなことはないのですが、やはり毎日楽しく過ごせるので、コメディっていいなと思います。

――ポールはいろんな人たちに振り回されるような立場ですが、加藤さんにとってポールはどんな存在でしょうか?

 彼はすごく真面目なので、コリーやお母さんのバンクス夫人、そしてヴェラスコさんに対してのリアクションが一番多いんです。そういうところは初演よりも「ここでこういうリアクションが取れるな」とか「今コリーが言ったことに対して、どういう感情になるんだろう」ということを考えます。

 初演ではやはりテンポというか、売り言葉に買い言葉、丁々発止な様子をすごく重視していたんです。もちろん、今回もそういったテンポはすごく大切なのですが、お芝居の中にちゃんと感情の動きがあることを改めて詰めていきたいと思っています。前回が出来てなかったというわけではありませんが、エンターテインメントとして見せる部分もありますからね。


加藤和樹さん。

――加藤さんがご出演される作品はわりとシリアスなものが多い印象です。ご自身で演じられて、コメディ作品との相性のようなものをどう感じていらっしゃいますか?

 やはり“面白い人たち”がやるイメージみたいなものが僕の中にあるんです。もちろん、自分がその“面白い人間”かどうかは、自分自身では分からないんですが、面白いことは好きなんです。真面目な作品ほどふざけたくなるというか(笑)。すごく真面目なお芝居をやっているのに「あ、ここでふざけたら絶対に面白いのにな」と思うことは結構あります。

 でも、その面白さを演劇としてちゃんと見せなければいけないというのが難しいのだと思います。計算も必要だけど、生のお芝居の中から生まれる笑いみたいなものが作りだせたら、それが一番正解なんでしょうね。それはきっと毎回違うと思いますし。

 もちろん、絶対にここで笑わせたいみたいなシーンというのもあって、そこで笑いが来ないと寂しい(笑)。そういうところは緊張します。

――再演ということで、改めてこの作品の魅力を感じていらっしゃると思いますが、再演だからこそ伝えたい、この作品の魅力を教えてください。

 コリーが言うセリフに「何でもトライする」というのがあります。僕の座右の銘が「やればできる」。“諦めないこと”というのが僕は重要だと思っていて。人生経験が豊富になればなるほど、「これはやらなくていいかな」とキャパシティがどんどん狭まってくるんですよね。「これは自分に向いてないな」という判断能力が培われるのはすごくいいことだと思うのですが、「でも、やってみたら面白いこともあるかもね」という可能性みたいなものが、まだこんなにあるよ、というのを作品から感じてもらえるといいなと思います。

日常生活を描いたストレートプレイは“自分事”としてリアリティを感じやすいはず


加藤和樹さん。

――作品やお芝居を通して、「自分を解放すること」の大切さに気付くみたいなことは多いですか? それとも、特にこの作品がそういう気持ちにさせるという感じでしょうか?

 特にこの作品は日常のことを描いているので、それを強く感じます。観ていただく方々もよりリアリティを持って感じていただけるのではないでしょうか。こういうエンターテインメント作品は、少し現実離れした作品だと完全に“エンタメ”として捉えられることが多いいので、その中でメッセージを伝えるのはすごく難しいんです。

 でも、こういった日常の延長線上にある作品だと、自分にもちょっと当てはまる部分があるかもなど、共感してもらいやすいので、お芝居ではありますが、日常生活の中にも届くものにできたらいいですね。

――この作品は少人数でギュッと濃いお芝居を皆さんと展開されると思いますが、共演の皆さんから「常に挑戦されている」「こういう解放の仕方があるんだ」というのを学んだりされていますか?

 今回から参加している福本伸一さんが、毎回芝居をトライしていらっしゃるんです。周りは再演組でひとりだけ初参加というのは相当プレッシャーだと思うのですが、それでもどうしたら自分がいたらどう面白いかというのを考えながら毎回お芝居をされていて、そのチャレンジ精神がすごいなって思っています。

 やっぱり再演モノはどうしても身体が前回をなぞってしまうんです。頭で忘れていても身体が覚えていたりするので、なるべくなぞっていかないようにしています。僕も今回はセリフの感情のレベルや当て方などをいろいろと考えて新たにトライしています。

――福本さん以外は再演組ということで、それぞれの共演者の方々が2年前と比べて「こんなに違う!」みたいな感想はありますか?

 すごく変な言い方かもしれないのですが、松尾貴史さん、戸田恵子さんという大先輩のお二人がいい意味で何も変わってないんです! 逆に変わったと言ったら、松尾さんがさらに自由になさっている感じですかね(笑)。前回も思っていましたけど、松尾さんは本当に役作りなしでヴェラスコさんみたいな存在なんです。本当に自然体でヴェラスコさんとして舞台上にいらっしゃるので、そこはもう「さすが!」と思います。

 戸田さんも稽古の時は「セリフなんかもう全然覚えてないわよ」と言いながら、やっぱりちゃんと仕上げていらっしゃるし、その面白さに磨きがかかっていてすごいなって。お二人に共通しているのが、“間の取り方”が抜群に巧いということ。コメディにおいて“間”というのはすごく重要なんです。コンマ数秒違うだけで、そこが笑えるタイミングではなくなってしまうこともあります。お二人の姿を見ていて、そういった“間”を意識し過ぎず僕もやらなきゃと勉強させてもらっています。

 高田夏帆さんは前回が初舞台。ご本人は「まだまだ今回も初舞台みたいなものです」とおっしゃっていますが、ちゃんとコリーとして存在しているのがしっかりと見えますし、初演のときも思ったのですが、彼女自身がちょっとコリーみたいなところがあって。今回もすごく期待しています。

加藤和樹(かとう・かずき)

1984年10月7日生まれ、愛知県出身。2005年にミュージカル『テニスの王子様』で跡部景吾役を演じて脚光を浴びる。翌年の2006年4月にMini Album『Rough Diamond』でCDデビューを果たし、歌手活動もスタート。毎年CDリリースや日本武道館ほか、日比谷野外音楽堂などで毎年単独ライブや全国ライブツアーを開催するなど、音楽活動を精力的に行っている。2009年からは韓国、台湾、中国でCDデビューを果たし、上海や北京、韓国でもライブを行なう。俳優としてはドラマ・映画・舞台など幅広い分野で活躍。2021年4月アーティストデビュー15周年を迎え、「ローマの休日」ジョー・ブラッドレー役、「BARNUM/バーナム」フィニアス・テイラー・バーナム役の演技に対して第46回菊田一夫演劇賞・演劇賞受賞。ミュージカル界においては、ミュージカル『レディ・ベス』(2014年、2019年)、ミュージカル『タイタニック』(2015年、2018年)、『1789 -バスティーユの恋人たち-』(2016年、2018年)、ミュージカル『フィスト・オブ・ノースター~北斗の拳~』(2021年)、ミュージカル『キングアーサー』(2023年)など、話題作への出演が引きも切らない。2025年1月にはミュージカル『フランケンシュタイン』に出演予定。

文=前田美保
写真=深野未季

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