デリケートゾーンのかゆみの2大原因は? 内診の痛みを軽減するコツは? 知らないと損するキホン〈産婦人科医が解説〉
CREA WEB / 2024年12月23日 17時0分
人にはなかなか相談できないけれど、実は、多くの女性が悩んでいるデリケートゾーン(陰部)のかゆみ。かゆみを引き起こす原因とその対策を産婦人科医の清水なほみ先生に伺った。
かゆみの二大原因は?
「かゆみの主な原因は、『蒸れやおりものや経血の成分による刺激』と『接触したものや感染による炎症』です。下着やナプキンが当たる範囲で起こる炎症を接触性皮膚炎と言い、予防と改善には、刺激の元となるものとの接触を減らすことが鍵になります。通気性のいい下着を穿き、おりものシートやナプキンは2~3時間おきには交換しましょう」
VIO脱毛は、蒸れの予防に効果的と言えるのだろうか。
「確かに、蒸れの軽減にはなりますが、ナプキンなどが接触する面積は増えるので、かゆみの予防という点では一長一短です。ただ、脱毛するかはご自身の好みでかまわないと思います」
対策をしていても、かゆみが出たらどう対処すべき?
「手軽なのは、冷やしたタオルを優しく押し当てること。市販薬は、スースーとする清涼感でかゆみを抑えてくれます。よくオロナインやワセリンを塗る方がいますが、かゆみに効果はありません。また、不潔にしていたからかゆくなったと勘違いし、ゴシゴシ洗って症状を長引かせるケースも多いです。洗いすぎは乾燥の原因にもなり、かゆみを悪化させます。外陰部は、目の中やその周囲と同じくらいデリケート。強く擦ることは避け、手で優しく洗いましょう。お湯だけで汚れは落ちるので、石鹸も必要ありません」
もう一つ、デリケートゾーンの悩みとして挙げられるのが、時にかゆみの原因にもなるニキビやおできのようなできもの。
「外陰部のできもので多いのが毛嚢炎。いつも同じ場所に毛嚢炎ができる場合は下着による刺激を抑えるために、違う形の下着を穿きましょう。症状が軽いなら市販薬を塗って様子を見てもいいですが、必ず薬剤師さんに相談をしてください」
そのかゆみは病気の可能性も
かゆみとできもの、どちらのケースでも市販薬を2~3日塗って改善が見られない場合は、他の病気の可能性があるので早めに婦人科を受診したい。
「かゆみを伴う病気の代表格である膣カンジダは、おりものから出ている真菌(カビ)が原因です。そのため、おりものが触れる膣のふち周辺や小陰唇の内側にかゆみが出ているときは、病気の可能性を考えましょう。反対に、かゆみが大陰唇の外側なら接触性皮膚炎の可能性が高いと言えます。
カンジダは膣内の常在菌で、免疫力が低下したときなど年代を問わずにかかる可能性のある病気。市販薬は薬剤師さんを通してしか購入できません。
できものについては、性交渉で感染する尖圭コンジローマや梅毒のこともあり得ますが、ご自身で毛嚢炎との違いを判断するのは難しいでしょう。できものやそれに伴うかゆみや痛みがある場合には、婦人科の受診をおすすめします」
内診の痛みを軽減するコツ
受診するのが確実で、治りが早いのはわかってはいても、どんな検査をするのか不安で、なかなか足を運べないという人も多い。
「性交渉の経験があり、かゆみを訴える場合には、おりものの状態を診たいので内診台に座っていただき、クスコと呼ばれる器具を膣に入れ、膣内を広げて診ます。内診が苦手な方は脚を閉じてお尻を持ち上げてしまうのですが、その体勢だと膣が締まって余計に痛みを感じやすくなるので、深呼吸をして力を抜きましょう。
内診で使う金属製の器具「クスコ」
膣内に入れておりものの状態を診たり、膣カンジダなどおりものに菌がいる場合は、クスコを挿入して膣内の洗浄をしたりする。
クスコにはサイズが複数あるので、問診票に『内診が苦手です。小さい器具を使ってください』と書いておくと安心かと思います」
不安は伝えて大丈夫。症状を長引かせないためにも、婦人科と上手に付き合っていきましょう。
●かゆみで疑われる病気
■接触性皮膚炎
主な症状
□ ナプキンや下着が当たる部分に、赤みやかゆみが出る
□ 菌は検出されない
■膣カンジダ
主な症状
□ ぽろぽろした塊状のおりものが出る
□ 灼熱感や厚ぼったい感じのかゆみが出る
■トリコモナス膣炎
主な症状
□ 泡立つようなおりものと強いかゆみが出る
■性器ヘルペス
主な症状
□ かゆみだけでなく痛みやしみる感じがある
□ 外陰部に水疱や潰瘍ができる
●できもので疑われる病気
■毛嚢炎
主な症状
□ 毛穴のあるところにできものや腫れができる
□ 表面が赤くなったり痛みがあったりする。ひどくなると破裂して膿が出る
■尖圭コンジローマ
主な症状
□ 顆粒状や鶏のトサカ、カリフラワーのような突起ができる
■梅毒
主な症状
□ 痛みのないしこりや硬いイボのようなできものができる
□ バラ疹と呼ばれるピンク色の発疹が手のひらや足の裏、顔など全身に現れる
どう選ぶ? デリケートゾーンのレスキューアイテム
●かゆみ
かゆみを鎮める成分や、かゆみの発生を抑える成分を配合。クリームやジェルなど使用感は好みで選んで。塗るとヒリヒリする場合は使用を中止し、婦人科へ。
●できもの
デリケートゾーンのできもので多いのが毛嚢炎。毛嚢炎には、抗生物質が配合された薬を選んで。いずれもデリケートゾーンに特化したものではないので、膣内など粘膜部分への塗布は厳禁。
●膣カンジダ
白色で酒粕状やヨーグルト状のおりものが出るときは、膣カンジダ専用の製品を。ただし、過去に膣カンジダの診断を受けたことがない人は婦人科へ。
●乾燥
下着の擦れによる摩擦、加齢に伴う女性ホルモンの減少でも外陰部や膣は乾燥しやすい状態に。乾燥による不快感やかゆみには、肌を乾燥から守る天然成分が配合されたデリケートゾーン専用ジェルで保湿をして、潤いと柔軟性をキープ。VIO脱毛後のアフターケアにもおすすめ。
●お話を聞いたのは……
産婦人科医 清水なほみ先生
ポートサイド女性総合クリニック ビバリータ 院長。広島大学医学部医学科卒業。日本専門医機構専門医、日本不妊カウンセリング学会認定カウンセラー。最先端の性差医療や脳科学を学び、「すべての女性に美と健康を!」をコンセプトに現場診療にあたる。近著に『まじめな人ほど報われない!?』(Clover出版)など。
文=今富夕起
イラスト=竹井晴日
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