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『美味しんぼ』ブーム再び!? YouTube公式チャンネルは50万人登録。ハマり過ぎて全曲美味しんぼライブを企画するサックス奏者も。

CREA WEB / 2024年10月31日 11時0分


SKAバンド「The SKAMOTTS」のリーダーをつとめる岡村トモ子さん。

 1983年に連載が開始され、グルメブームを牽引したマンガ『美味しんぼ』。累計発行部数は1億部を超えるなど、批判を含め、おおきな反響を集めた歴史的グルメマンガだが、2014年を最後に休載状態となっている。

 しかし、コロナ禍の2020年に公式YouTubeチャンネルが立ち上がると、アニメ全話が期間限定で見れる「一気見キャンペーン」を実施するなど、精力的な活動を開始。当時のファンや新たなファンを獲得し、今では登録者数50万人を記録するなど、静かなブームを予感させる状態になっているのだ(なぜかこの10月、海原雄山フィギュアの発売もされた)。

 SKAバンド「The SKAMOTTS」のリーダーをつとめ、個人としてもサックス奏者として様々なシーンで活躍する岡村トモ子さんも美味しんぼに魅了されてしまった一人。

 アニメ美味しんぼの曲をすべて完コピ、サントラのカバーアルバムを同人制作し、その解説冊子を作成するなど、その推し活はとどまることを知りません。11月2日(土)には、六本木のライブハウス「音楽実験室 新世界」で、2度目の美味しんぼライブ「美曲倶楽部vol.2」を開催することも決定しました。

 今なぜ美味しんぼなのか? 美味しんぼラバーズこと“美味しんばー”の岡村さんに美味しんぼ愛を伺いました。


美味しんぼは、物語はもちろん、音楽も素晴らしいんです!


岡村トモ子さん。

――美味しんぼにハマったきっかけは、なんだったのでしょうか?

 もともと料理番組を流しながら作業するのが好きで。何かいい番組はないかなと探していたところ、美味しんぼのアニメを見つけて、観たら止まらなくなっちゃったんです。

――どんなところに惹かれたのでしょうか?

 実は最初のきっかけは、音楽とかセリフの部分なんですよね。ラジオのように最初は流しっぱなしにしていたので、BGMが心地よいな~っていうのがあって。それで、セリフも時代がかっているというか、独特じゃないですか。「成金根性」とか(笑)。気になってしっかり見てみたら料理のイラストの構図も素晴らしいし、ストーリーとかも面白いじゃん! とハマっていったんです。

好きな話は「挑戦精神」。「近城フォトスタジオBGM」も素晴らしい


岡村トモ子さん。

――好きな話とか、思い入れのある話があれば教えてください。

 一番は「トンカツ慕情」ですね。美味しんぼ好きの中でもめちゃくちゃ人気回ですよね。もうひとつは「挑戦精神」という話で「料理の写真には挑戦精神が無い!」っていう近城カメラマンを口説き落とすために、朴葉味噌を差し入れする回です。アルバムに入っている「近城フォトスタジオBGM」は、この回で流れる大好きな曲なんです。

――アニメのサントラに入っている曲以外の曲も収録しているんですね。

 コロナ禍が始まって、ライブが全て中止になってすごく暇になったので配信ライブを始めたんです。視聴者からリクエストを募って演奏していたんですが、そのときに視聴者が美味しんぼのオープニングテーマをリクエストしてくれて、それがきっかけで「え、わたし、大好きな美味しんぼの音楽を演奏する能力を持ってる!?」と気づいて、すぐさまサントラを買い、全曲耳コピして楽譜書いて練習して。それを自分なりにアレンジして配信で生演奏したわけです。ミュージシャンである自分と、大好きな美味しんぼの音楽が交わるなんて夢にも思っていませんでした。


岡村さん私物のDVD。

――美味しんぼのサウンドトラックも、2017年に突然発表されたそうですね。

 公式のサントラCDには16曲入っているんですが、どの音楽もとても素敵なんです! でもアニメの曲ってサントラに入っている曲だけじゃないんです。アニメで流れるけど、CDには収録されていない曲もたくさんあって。「近城フォトスタジオBGM」もそのひとつです。

――マニアックですね!

 すごくいい曲なんですが、ホントにそのシーンでしか流れないんですよ! テレビの前で録音するという昭和スタイルで音を拾って、耳コピして楽譜にしてアルバムに収録しました(笑)。

――そこまでして(笑)。

 配信を続けているうちに、リアルでもライブしたいなって思って、美味しんぼ好きなミュージシャンを探しはじめたんです。楽器が上手いだけじゃダメ、美味しんぼ愛がある人じゃないとダメと思って、知っている程度ではなく、好き! オタク! という人を探し求めました。

――それでバンドを作ったんですね。

 美味しんぼを好きな人たちのことを“美味しんばー”って呼んでいるんですが、元々の演奏仲間にも意外と“美味しんばー”が隠れていて。最後の最後、ドラマーだけが見つからなかったんですが、わたしがずっとやっているバンド「The SKAMOTTS」のドラマーが実は“美味しんばー”だったことが分かって、めでたくメンツが揃い、みんなで楽しくCD作ってライブして。最高の同人活動してます(笑)。

好きが高じて、カバーアルバム&同人誌も作るように


岡村さん自作の“美味しん本”&カバーアルバム

――そしてコミケで売るという。

 そうなんです。CDだけじゃ飽き足らず、想い余って解説冊子も作って、コミケで頒布してみました。そしたら想像以上にたくさんの人がブースにきてくれて、すごく興奮しました。

 ミュージシャン目線で見ても、本当に美味しんぼの曲はどの曲もすごくイケてて、素敵なんです。曲名もすごい素敵で、「モーニングクロワッサン」とか「レモンシャーベットな思い出」とか。お洒落すぎますよね。


まさに究極。

――音楽的な魅力はどんなところでしょう?

 漫画と通ずるところがあって、その時代を色濃く反映しているというか。バブル期のシティポップサウンドが本当に最高で。象徴的なのは、ドラムにゲートリバーブっていう音響効果をつけるっていうのが、当時めちゃくちゃ流行ったんですが、それが超多用されてることが、まずめちゃくちゃアガります。それにシンセサイザーが流行っていた時代なんで、演奏にまぁまぁ電子楽器が使われてて、80年代感満載なのが魅力ですかね。あとはやっぱり私がサックス奏者なので、サックスが入っているところも超超魅力ですね。

――美味しんぼは、10年前に111巻が出て以来、漫画のほうは休載中ということになっていますが、今もなお根強いファンがいますよね。

 2020年に公式のYouTubeチャンネルが突然できて、昔のコンテンツを流しているだけなのに、登録者数が約50万人ってすごいですよね。美味しんぼは1983年から始まった漫画ってこともあって、世界観もすごく昭和でレトロなんですよね。パソコンが無いから、みんな大きな紙を広げて仕事してるし、タバコもめちゃくちゃ吸う。そういう時代資料的な文化を見つけるのも楽しかったりします。

――これからの野望を教えてください。

 とりあえずCDは3部作構想なので、まずは2作目のアルバムを作りたいですね。1枚目を作ったときにコミケに初めて出たんですが、コミケってすごいんです。音楽活動をしているだけじゃ出会えなかった人たちに会えるし、まだ見ぬ“美味しんばー”の方々とお話できたり、すごく楽しくて。

 私たちの推し活をきっかけに、公式のサントラの第2弾が出てくれたら嬉しいので、今後も“美味しんばー”としてラブコールを送っていきたいし、その熱量をライブやコミケで“美味しんばー”の皆さんと共有してきたいです。

岡村トモ子(おかむら・ともこ)


岡村トモ子さん。

山口県下関市生まれ。2008年 女性ビッグバンド「たをやめオルケスタ」をスタート。ライブ・ツアー・CD制作・衣装制作・PV制作すべてをプロデュースする。2009年「チャラン・ポ・ランタン」のバックバンド「カンカンバルカン楽団」に参加。2017年 にはSKAバンド「The SKAMOTTS」結成、リーダーとして活動を続けるほか、エッセイ本『夢も、涙も、何ひとつ』を出版するなど、幅広い活躍をしている。
OFFICIAL WEB https://ocamotts.com/
X  https://twitter.com/ocamotts
Instagram  https://www.instagram.com/ocamotts/

美曲倶楽部vol.2


美曲倶楽部のフライヤー。

日時 11月2日(土)18:00~
※開場は17:30~
場所 音楽実験室 新世界
所在 港区西麻布1-8-4 三保谷ビルB1
料金 前売 3,500円、当日 4,000円(ドリンク別)
チケット予約 http://shinsekai9.jp/ticket/
美曲倶楽部 https://twitter.com/bikyoku_club

取材・文=吉川愛歩
撮影=鈴木七絵

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